THE CHARM PARK、原点とこの先の未来が交差した10カ月ぶりの単独ライブ 多彩な編成で聴き手を癒した暖かな空間

 THE CHARM PARKは音楽に何を託してきたのか、彼の表現の源泉を見るような時間だった。コロナ禍によって多くの活動が制限された中、実に10カ月ぶりのワンマンライブである。場所はBillboard Live YOKOHAMA。ここ数カ月積極的に配信ライブを行ってきたTHE CHARM PARKだが、やはりオーディエンスを前にして、仲間と共にステージの上で演奏するのは格別だろう。この場に集まった観客も、言葉は発さずともきっと彼の音楽に興奮していたと思う。開始時間が過ぎ会場に期待の色が満ちる中、ライブは彼の弾き語りで静かに幕を開けた。

 この「静けさ」こそ、今のTHE CHARM PARKの象徴するものだろう。1曲目は2月3日にリリースすることが発表された、新作『Bedroom Revelations』に収録される「until you fall asleep」。慈しむようにそっとつま弾かれるアコギに、彼の柔らかい歌声が乗っていく。続く「in heavenly peace」も新作に収録予定の楽曲で、演者は彼ひとり。打ち込みのシーケンスをバックに、しっとりとした歌を聴かせていた。彼のプライベートルームに招かれたような、心安らぐ時間が流れていく。

 夏頃に取材した際、「今はバックグラウンドミュージックに興味がある」と言っていたTHE CHARM PARK。「聴く人の意識を邪魔しないような音楽を作りたかった」とは、本人の弁である。そうしたBGMになる音楽をコンセプトに、アルバムを作る予定だったこと、その最初の一歩目が「ad meliora」だったことを語ってくれていた。つまり、本ライブの3曲目のまでが来年以降の彼のモードと言ってもいいだろう。

 BGMへの意識は、間違いなくコロナ禍の状況を踏まえて強くしていったはずだ。彼は暗い時代に対し、愛情で応えようとしているのだと思う。元々オーガニックな音質や、包み込むような暖かい声が魅力の音楽家だが、改めて彼の表現は生活に寄り添うものへと向かっているのだろう。この日最後のMCで、「今だけは幸せであって」と口にしていた。それこそが彼の音楽の本質である。THE CHARM PARKの音楽は暖かく、癒すように聴き手に流れていった。

 「ad meliora」からはバンドメンバーを招いてのステージである。登場したのは金藤稔人(Piano)、小川洋行(Ba)、神谷洵平(Dr)と、お馴染みの面々。これまで幾度となく演奏してきた4人が、久々に楽器を鳴らし合う喜びを、互いに噛みしめていたように思う。

 また、4曲目の「Open Hearts」以降のセットリストが、ほとんどインディーズ時代に発表した楽曲だったこともこの日の特徴だろう。誰もが自分自身を見つめる時間を持つことになった2020年、肩の力を抜いて、自身の原点に立ち返った歌を歌おうとしたのかもしれない。

 思い切りエレキギターを弾き倒す「Dear Sunshine」は、前半のハイライトである。いわばTHE CHARM PARKのギタリストとしての性を垣間見る瞬間で、ギター少年として育った彼にとって、きっとライブの中で最も気持ちの良い時間のひとつのはずだ。

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