霜降り明星 粗品、パーパー ほしのディスコ、三四郎 相田周二……本格的な音楽の才能開花させた芸人たち
そして、最後に紹介したいのが菅田将暉やSixTONESもお気に入りに挙げる、しゅーじまんこと三四郎・相田周二のオリジナル曲「Standby」だ。作詞・作曲を相田自身が手がけ、ボイトレに臨みレコーディングされたこの曲は、笑ってしまうほどの本気ソング。特に菅田は〈特撮ヒーローに なれない僕だけど〉という歌詞に『仮面ライダーW』(テレビ朝日系)の主演として悩み、揺れていた当時の自分を重ねていたようで、『三四郎のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)にて熱唱。菅田は「いただけませんか?」と曲の提供を相田にお願いし、次のアルバムに入れるようにと相田自身もそれを認めている。これまで挙げてきたパターンとは少々違うが、意外なところで才能を表したという点では共通している。
リズムネタ、または歌ネタと呼ばれる芸は、お笑い芸人にとって安易に手を出してはいけない一種の劇薬とされている。「手出したらボロボロになる」「リズムネタ。ダメ。ゼッタイ」と口々に訴えかけているのは「ラララライ体操」で一世を風靡した藤崎マーケット。キャッチーで覚えられやすいリズムネタはブレイクの起爆剤として一気に認知度を広めることが出来るが、その反面飽きられるのも早い。一発屋の道を歩む覚悟が強いられる、諸刃の剣だ。だが、今年頭角を現しているのは、それらとは似て非なるクオリティの高い音楽コンテンツ。YouTubeという自由な発信の場の浸透によって、従来とは異なる「芸人×音楽」の潮流が生まれているのは確かだ。
■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter