『1限目モダン』インタビュー
レトロな少女、1stアルバム『1限目モダン』の懐かしさと新しさ 相対性理論に影響受けた2人ならではの“日常の見つめ方”
「女性の口からこう言ってほしい、ということが多い」(成山)
ーー普通の男性は知らないような単語を、成山さんはどのように自分の中でインプットされているんでしょう?
成山:普段何気ない会話の中で見つけたり、聞いたりするんですよね。例えばDiorのマキシマイザーっていう化粧品は、バイト先の後輩だった女の子たちが「デパコス買ってきました」「何買ったの?」「Diorマキシマイザーです」「なにそれ?」って言ってた会話の中から入ってきた言葉で、あ、使えるかもしれないって思い出したり、Twitterに流れてきた単語で、これ使おうかなとか思うこともあったり。
ーー成山さんの楽曲では、女性が大きなキーワードになっている?
成山:男の立場から言いたいことがそんなにないんですよね。女性の口からこう言ってほしいとか、女性が言うからおもしろい、可愛く聴こえるみたいなことが多いと思うんですよ。ある種ツールの面もありつつ、理想化された女性像を具現化するのがクリエイティブとして楽しい。そういう捉え方ですかね。
ーーリスナーの立場としては、どういう歌詞が響きますか?
成山:恋愛ソングや感情的な音楽はあまり響かないタイプの人間なので、聴いてて「なんでこんな歌詞が書けるんだ!?」って思った時が一番感動しますね。タルトタタンに「しょうがないマイラブ」という曲があるんですけど、〈あなたはわたしを誰かのようには/愛せない でも 仕様がない〉とか〈わたしはあなたを昔のようには/愛せない でも 仕様がない〉とか歌われていて、こんな歌詞どうやって出るんだ! みたいな。しかも男性が書いているとわかったときはすごく感動しますね。
佐藤:同じことを、私は成山さんに思っていますよ。
成山:僕の勝ちですね。
佐藤:なんだそれは(笑)。
ーー(笑)。世に投げかけたい主張を歌にしていく可能性はあると思いますか。
成山:そういうものを作りたいと思ったら全然ありえますね。今のところ作ろうと思ってないだけで、毛嫌いしているわけでもないんですよ。ジョージ・オーウェルの『動物農場』って小説があるんですけど、登場人物が全員動物で、豚たちが主人公なんです。ソ連の批判というか、皮肉がきいているんですよ。そういう作品を作るのはありえると思うし、やってみたいですね。
佐藤:今ある曲に出てくる主人公もみんなひねくれているんです。同世代の中では、ちょっと大人びた女の子。でもまだガキだな、みたいな少女もめっちゃ出てくる。そんなイメージがありますね。
ーー新宿とか西八とか、具体的な東京の地名が出てくるのも印象的です。
成山:僕も佐藤餓死も九州出身で、東京に憧れがあるんです。僕も大学時代に東京にいたんですけど、東京の中で繰り広げられるドラマを曲にするのは、ある種、気持ちが良いものでして。西八もそうだし、新宿経由もそうだし、学生時代に縁が深い土地名が多いので、思い出を入れるという要素もありますね。
ーー成山さんの中に明確にやりたいことや好きなものがあるわけじゃないですか。一緒に活動する中で、餓死さんもそういう欲って出てきましたか?
佐藤:成山は、歌詞的にメスみが深いじゃないですか。それをもっと濃く抽出した曲とかも歌ってみたいし、普段とは違う歌い方だったり曲もやってみたいと思います。例えば、作詞を私がやったり、作曲もやったりとか。今までにやったことがないようなやり方で曲を作ってみるのもありかなと思って。現段階で2人でギターを入れてみたり、実験的なこともしているんです。もっと幅広くやっていけたらなと思います。
ーーこの先、レトロな少女でどんなことをしていきたいと思いますか?
成山:NHKの『みんなのうた』でかけてほしいってずっと言っているよね?
佐藤:『みんなのうた』、かけてほしいです!
成山:僕は2点ございまして。まずは集団行動と対バンをしたいです。真部脩一さんをステージ横から見たい。本当に憧れなんです。もうひとつは、これからもっともっと良い曲を書いていきたいですね。
■リリース情報
レトロな少女 1stアルバム『1限目モダン』
9月9日(水)発売 ¥1,800(税抜)
<収録曲>
1.さんすうのこたえ
2.教頭先生異状なし
3.恋の及第点
4.いつかのマキシマイザー
5.西八行き最終バス
6.私の大総統
7.おしえてオサム
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