<[NOiD]>永井優馬氏が語る、SUPER BEAVERとの出会いやレーベル運営の意義「人生背負ってるつもりで一緒に歩んでいきたい」

[NOiD]永井氏が語るレーベルの意義

「バンドがいるからレーベルがある」

ーーメジャー再契約というトピックも変わらない歩みの中にあるということは、最新シングル『ハイライト / ひとりで生きていたならば』を聴いて改めて感じました。

永井:そうですよね。もちろんメジャーに行ったらタイアップもついていくと思うんですけど、ビーバーは<[NOiD]>だけの時代から、9時台のドラマ主題歌(フジテレビ系『僕らは奇跡でできている』)もやれているので。「メジャーだから主題歌をやる」のではなくて、元からそうやってきているからこそ、変に見えないんじゃないかなって思います。

SUPER BEAVER 「ハイライト」 MV
SUPER BEAVER「予感」MV

ーーコロナ禍の話も出ましたけど、<[NOiD]>の運営としても大きな影響があったのではないかと思いますが、いかがですか。

永井:eggmanはもともとライブハウスの会社ですけど、今の状況でライブハウスが稼働できなくても動くスタッフの人数は一緒で、家賃も同じだけかかるわけで、その中で会社に貢献できることって何だろうっていうある種の責任感はそれぞれのスタッフが持っていて、どのバンドのチームもそうですけど、今自分たちが動かずに収入がゼロになってしまうと、本当に会社全体で倒れてしまうじゃないですか。これはお客さんに知ってもらう必要がないことではあるけれど、自分自身すごく意識しています。

ーー会社としてももちろんですし、やっぱりバンド側からしてもチームがいることっていうのは、こういう状況だからこそ大きいんじゃないかと思います。音源を出すだけじゃない、レーベルとマネジメントの真の意味が大事になっているんじゃないかなって。

永井:そうですね。<[NOiD]>はしばらくやってないんですけど、『TALTOナイト』(<TALTO>所属アーティストで回るツアーイベント)を見てると、やっぱり羨ましいというか......羨ましいって言ったら、「<[NOiD]>もやれよ」って言われると思うんですが(笑)、今はそれぞれのバンドがそれぞれでやれているからこそ、集まる必要ないと思っていて。でも、数年前は<[NOiD]>もAmelieまでの3バンドで対バンやったりしていたので、いずれまたそういうタイミングは来ると思ってます。これだけ長くやってないからこそ、いつの日か面白いことが起きると思ってて欲しいですね。逆に<TALTO>は東阪にプラスして各地回るのが通例ですし、マカロニえんぴつもしっかり先輩を立てて一緒にやるのがいいんだと思うんですよ。それがヤユヨのためにもなっているし。今年は中止になっちゃいましたけど、会社全体の『murffin night』っていうイベントはあって、「俺が一番カッコいいんだ」っていうメラメラしたイベントを社内でやれているのは面白いと思いますね。

ーーちなみに永井さんがもともと憧れていたレーベルってあったんでしょうか。

永井:昔から本当に好きで、どんなバンドがCD出してもそのロゴが入ってれば買っていたのは、<CATCH ALL RECORDS>です。TOTALFATやNorthern19がいたところ。あとはやっぱり<PIZZA OF DEATH RECORDS>かな。以前とあるライブで、お客さんで来てたカップルの男の子が<PIZZA OF DEATH>のロゴ入りTシャツを着て、隣の彼女が<[NOiD]>のロゴ入りTシャツを着てたんですよ。その2人の背中のロゴが並んで歩いてるのを見たときにめちゃくちゃ感動して、嬉しかったですね。そう思うと、かつて<PIZZA OF DEATH>のTシャツ着てる人を見て「自分も<PIZZA>のTシャツ買いたい!」と思ったあの感覚と、どのバンド聴いてもカッコいいと思える<CATCH ALL>に出会えてたことは、今の仕事にも強く影響しているかもしれない。<[NOiD]>もアプローチは違うけど、どのバンドを聴いてもカッコいいじゃんって思われたいですね。SUPER BEAVERがメジャーで出すCDにも、<[NOiD]>のロゴが入っているんですけど、これからなきごとのCDを見かけた人が<[NOiD]>のロゴに反応して聴いてくれて、それで好きになってくれたら嬉しいですよね。それを自分は<CATCH ALL>や<PIZZA OF DEATH>に教えてもらったし、例えば<PIZZA>のコンピレーションCDにいきなりF.I.Bが入ってた時の衝撃みたいな......当時無名なのにバコーンって持って行かれるような、あの感覚をやりたいなとは思います。

F.I.B -promised place(OFFICIAL VIDEO)

ーー<[NOiD]>もまさにそんなレーベルになってきていると思いますが、これからのレーベル運営において最も大切になってくるのはどんなことだと思いますか。

永井:レーベルがあってバンドがいるわけじゃなくて、“バンドがいるからレーベルがある”ということだと思います。レーベルだけあっても意味ないし、意思疎通ができない関係だったらレーベルなんてぶっちゃけただの箱でしかない。本当ならSUPER BEAVERが<SUPER BEAVER>っていうレーベルから出せばいいだけの話なんですけど、カッコつけてレーベルを作ってる以上は、本当にバンドの人生背負ってるつもりで一緒に歩んでいきたいなと思ってます。基本的には、ひたすら好きなことをやって欲しいし、若いバンドには「君たちが歩くのはこのレールです」って言うんじゃなくて、道は自分たちで決めてもらって好き勝手やればいい。けど、やり方だけは間違えないように、ちょっとだけ多く経験してきた分、教えてあげられるポジションでいたいなと。そしてどのバンドも、50歳、60歳になってレジェンドバンドになれていたとしても、今と同じように横で一緒に仕事していたいなと思ってますね。

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連載「次世代レーベルマップ」バックナンバー

Vol.3:<TRUST RECORDS>綿谷剛氏
Vol.2:<murffin discs>志賀正二郎氏
・Vol.1:<small indies table>鈴木健太郎氏 前編後編

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