シングル「We’ll be fine」インタビュー
ReNが語る、「We’ll be fine」言葉に込めた思い 「少しでも希望を見出す気持ちが大切」
音楽は同じような感情を持っている人を集めてつなげる力がある
ーーインスタライブなども積極的にされていましたが、何か気づいたことはありますか?
ReN:普段のライブよりも、アーティストとファンとの距離が近いなと思いました。僕自身、「ファン」というのは呼び名に過ぎなくて。突き詰めれば人間同士の付き合いだし、今の時代、アーティストはステージを見上げるだけの存在ではなくなってきているんですよね。ステージに上がる前の姿も、今はSNSなどで観られるじゃないですか。そこでみんなとも繋がれるわけですし。
もちろん、近いからこそ起こりうる弊害もあると思うんですけど、そこは上手く工夫しポジティブに使っていけたらいいなと思っていますね。
ーー配信ライブが、生のライブの代替ではなく、新たなコンテンツとして進化していったらきっと面白いことになるだろうし、すでにその兆しもありますね。
ReN:僕もそう思います。いずれにせよ、アーティストの表現場所が増えていくのはいいことだなって。
ーーただその一方、コロナ以降SNSがより自分の生活に浸透したことで、以前よりも意見の対立や誹謗中傷合戦のようなことが頻繁に起きています。
ReN:コロナそのものにも辟易させられたけど、それに付随して嫌なニュースもたくさんありましたよね。他人事とは思えないことが、この最悪なタイミングで起きていて。この状況下では希望もなかなか見出せないし、不安のスパイラルが増幅していく一方というか。
ーーそんな中ReNさんは、Black Lives Matter(BLM)について感じていることについてもツイートされていました(参考)。
ReN:何かニュースを観て衝動的にワーッとなっても、一度ちゃんと頭を冷やして冷静になってから書き込むようにしているんですけど、それでもやっぱり……難しいですね。BLMもそうですし、ちょっと前に起きた有名人への誹謗中傷の件もそうですが、今ここで起きていることがどれだけ深刻なのか、本気で考えて受け止めている人はどのくらいいるのかなとも思うんです。
ーーというのは?
ReN:良くも悪くもSNSって、いろんなニュースが同時に目に飛び込むじゃないですか。例えば「iPhone新しいのが出る!」というつぶやきのすぐ下に、誰かが自殺したニュースについてのリツイートがあったりして。それを見て、一喜一憂している人たちもきっといると思うんですよ。
ーーそうですね。目にした情報に対し、ただ反射的に書き込んでいる人も多いと思います。
ReN:同じ次元で捉えてはいけない情報が、同じ場所から届けられることに対し、少し冷静に考えなければいけないですよね。何かを言わずにいられなくなったり、言ったところで次の瞬間には忘れちゃったり。例えばBLMに関しては、今回たまたまある事件が引き金となってこれだけ大きな関心ごとになっているけど、実際はもっと前からずっと存在していた問題じゃないですか。そのことを僕らはちゃんと知るべきだと思うんです。海外のインフルエンサーを真似てアイコンを真っ黒にしたり、ハッシュタグをつけて一言呟いたり、そんなふうに形だけで反応して、それで終わりにしてしまっていいのかと思うんですよね。
ーー「このムーブに乗らなきゃ」みたいな、ある種の同調圧力に近いものを感じる時はありますね。
ReN:いちいちアクションを起こさなくても、まずは何が起きているのかを知って、その背景を調べて理解する。それだけでも僕は全然いいと思うんです。単なる一過性のムーブメントなどではないわけだから。
ーー分かります。何よりも大切なのは「関心を持つこと」「知ること」だと僕も思っていて。それに対して「意見を言わないのは、黙認しているのと一緒だ」と言わんばかりの意見を見ると、ちょっとモヤモヤしてしまいます。何事にも白黒はっきりさせなければいけないのかと。
ReN:ある出来事に対して意見がないのは少しも悪いことじゃないし、むしろ意見を出せなくて当たり前だと思うくらい複雑な問題だってあるわけじゃないですか。「これ、一体どういうことなのか考えてみようよ」と深く思考を巡らせることは大切ですけど、何かしらの答えがなければいけないはずはないと思うんですよね。まずはニュースを受け止め、自分がどう思うかを大切にする。「誰が悪いんだ?」「こいつが悪い」「いや、こいつの方が悪い」みたいな話になっていくのは、やはり少し違うんじゃないかなと僕は思っています。
ーー先ほどのクリント・イーストウッドの話も、今のBLMの話もそうですが、常にReNさんはバランスを大事にしているし、常に希望を見出そうとしている。そこがファンからも信頼されているのでしょうね。
ReN:ありがとうございます。自分が歌ってきた楽曲を振り返ったとき、今までは苦しいときには苦しい歌を歌ってきたし、それが「力」になったけど、こういう状況の中では、今起きている最悪な状況にばかり目を向けるのではなくて、「いつかこの状況も過ぎ去り、必ず笑える日が来る」と思いたいんですよね。どんな時でも嫌なことは起きているし、なくそうとしても無くせないからこそ、少しでも希望を見出す気持ちが大切なんじゃないかと。それは、自分自身にそう言い聞かせているところもあるんです。
それに、人に対して優しい気持ちでいるためには、自分自身が優しさに満ち溢れてないと絶対無理だなって。自分の中に不安や不満があると、そんな余裕は生まれなくなるじゃないですか。きっと今の世の中は感情を別の物事に左右されやすくなっているというか。余計な物事に自分の感情を支配されたりするから、どこか自分自身の心を守る場所も絶対必要だなと思いました。そういう場所は、一人でいる時はより大事になるような気がします。そして音楽は、そういう同じような感情を持っている人を集めてつなげる力があると思うので、今回の楽曲「We’ll be fine」もそういう力になれたらいいなと思っていますね。
ーー早くこの曲を、またみんなで歌える日が来ることを願っています。
ReN:まだまだライブが出来る状況ではないけど、時間がかかっても必ずできると僕は信じているし、それを指くわえて待っているだけじゃなくて、これからも楽曲をどんどんリリースしていきたいです。そして、しかるべき時にそれをみんなと一緒に肌で感じたい。それまでは、今しかできないことに集中するだけですね。
■リリース情報
「We’ll be fine」
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「We’ll be fine (English Version)」
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「We’ll be fine (Acoustic Version)」
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■ライブ情報
『ReN ONE MAN「HURRICANE」TOUR 2019-2020』
振替公演(Tour Final)
9月23日(水)ZEPP DiverCity (Tokyo)
OPEN 18:00 / START 19:00