欅坂46 土生瑞穂、コンプレックスを武器に遂げた成長 パフォーマンス中心に魅力を考察

成長を見せていく

 もともとバラエティに対しては消極的で、あまり自分を外に出していかないタイプだったが、2017年の夏頃から変化が表れた。今では司会陣の会話などへ頻繁に相槌や、いわゆる”ガヤ”を入れ、積極的に前へ前へと飛び出している。つい先日の放送でも、「たしかに」や「なぬー!」「大事大事!」などアグレッシブに声を発し、そのたびに画面に映り込んでいた。

 ”ガヤ”があると番組が華やぐ。スタジオの空気が賑やかになる。引っ込み思案なメンバーが多いグループなだけに、バラエティにおける彼女の存在はすでに欠かせないものになっている。彼女の成長は比喩でも何でもなく、グループに大きな影響を与えているのだ。そうした点でも、デビュー当初と比べると彼女は著しく成長を遂げたメンバーのひとりと言っていいだろう。

 また、2018年の年末のテレビパフォーマンスで土生がセンターに立ったことが一度だけあった。与えられた楽曲は「アンビバレント」。その時期は、同曲のセンターを他のメンバー数名が代わる代わる担当していた頃で、土生の他にはグループ内でも特にダンススキルに定評のあるメンバーたちが選ばれていた。そんななか彼女は、同曲をどこか苦しそうな表情で踊っていたのが印象的だった。悶々として、苦悩している、けれども解放的で、時おり前を見る表情は力強い。動きは常に体全体でダイナミック。そこに欅坂46という特殊なグループの中で必死にもがくひとりの女性の前向きなエネルギーのようなものを感じ、感動したのを覚えている。彼女のパフォーマンスから感じるのは、ダンスの上手さそれ以上に、それまで溜め込んでいた内面の叫びや、持て余しているパワーといったものだった。

「最近はオフの時間も自分のプラスになるように過ごしたいと思っていて、ジムに行ったり洋服を見に行ったり。特にジムにはかなりハマっています。やればやるだけ体が変わるから自信になるんです。姿勢もよくなるし、見せても大丈夫っていう堂々とした気持ちでいられる。周りからも「放っている雰囲気が変わった」って言ってもらえて嬉しかったです」(参照

 彼女が発するそうした頼もしい雰囲気は、デビューから積み重ねてきた努力のたまものなのだろう。人が放つ雰囲気、あるいはオーラといったものは、そのままステージで放つ存在感に直結する。彼女の見せる逞しい姿は、パフォーマンスで輝きたいと思っている多くのメンバーのお手本となるに違いない。

■荻原 梓
J-POPメインの音楽系フリーライター。クイックジャパン・リアルサウンド・ライブドアニュース・オトトイ・ケティックなどで記事を執筆。
Twitter(@az_ogi)

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