アルバム『レインボウグラビティ』インタビュー

虹のコンキスタドールが語る、アイドルとしての姿勢 「どんな状況でも楽しい気持ちになってもらえる存在であり続けたい」

 虹のコンキスタドールが6月17日、約2年半ぶりのアルバム『レインボウグラビティ』をリリース。毎日がお祭り騒ぎのような賑やかさがありながら、でもフッと泣けるようなエモーショナルさも兼ね備えた彼女たちの魅力に、ますます引き込まれる作品になった。また、自粛期間中にインドア派の本領を発揮してファンが増えるという現象もあったという。的場華鈴、鶴見萌、岡田彩夢の3人にリモートでインタビュー。アルバム制作の裏側や、コロナをものともしない虹コン流の存在感の発揮の仕方など聞いた。(榑林史章)

外出自粛期間のもどかしい気持ちを代弁した「夕暮れグラデーション」

ーーアルバムは2年半ぶりですけど、どんなアルバムになりましたか?

的場華鈴(以下、的場):今作にはベストアルバムの前に出した曲や、グッズシングルや配信でリリースされていた曲も収録していて。それをCDで聴いてもらえるので嬉しいです。

岡田彩夢(以下、岡田):虹コンのアルバムはジャケット写真がオシャレという流れがあって。今回は少しオトナっぽさとインスタグラム感を意識したので、今風の虹コンを楽しんでいただけると思います。

鶴見萌(以下、鶴見):この2年半はすごく濃くて、収録曲を見ると全部が主役級で。どんどん虹コンの“重力”が強くなっていることが、アルバム収録曲からも実感してもらえるんじゃないかなって思いますね。

的場:あと、今までのアルバムには卒業したメンバーが参加した曲も収録されていたんですけど、今回はそういう曲がないんです。今のメンバーで丸2年以上誰一人欠けることなくやってきたことの証となる1枚なので、今の虹コンを存分に楽しんでほしいです。

ーー今の12人の歴史が収まっていると。新曲のお話をうかがっていきますが、リード曲「夕暮れグラデーション」はどんな曲ですか?

的場:よくメンバーと話すんですけど、「エモ爽やかな楽曲」がやっときたねって。今までの虹コンのエモい曲は、重い曲が多かったんです。こういう“笑いながら泣けるみたいなエモさ”は、今回が初めてじゃないかって思います。

鶴見:エモ爽やかな曲をやりたいってずっと言ってたんです。野外に合いそうだし、早くライブで歌いたいですね!

ーー昨年結成5周年を迎え6年目の虹コンだからこそ、よりエモさを感じる歌詞だと思いますが、それぞれ歌詞で好きなところは?

的場華鈴

的場:的場は、1番のBメロの〈「大丈夫、焦らなくてもいい」なんて 他人(ひと)は言うけどいつだって その言葉で焦るんだ〉です。焦らなくていいよって言われるとかえって焦っちゃうのが、自分も含めてまさに虹コンで。どうしてこんなに虹コンのことが分かるんだろう〜って。

鶴見:私は、2Aの〈足元をかすめていく 思い出の笑い声 10年先の僕は何処にいるのかなぁ〉ですね。過去に思いを馳せつつ、もちろん不安もありながら、でも先を見ているところが、すごく良いなと思います。先日現体制での2周年を迎えたんですけど、その時も昔のことをいろいろ思い出したし、このメンバーでどこまで行けるかな〜って考えていたので、まさしく今の自分の気持ちと重なります。

岡田:私は1Aの〈今日の僕は夢に近づけたのかなぁ〉で、歌詞をもらった時に「絶対ここを歌いたい」って思っていたら、その歌割りをいただけたので嬉しかったというのもあるんですけど……。でもアイドルだったらこの気持ちは、きっとみんなあるんじゃないかなって思うんです。目標となるものがあって、1回1回ライブを重ねたり日々のお仕事をしていく中で、今日の自分は大丈夫だったかなって後悔したり、進んで行けているのか不安になったり。今もライブ活動ができない中で、毎日悩みながら過ごしていて。そういう心境と歌詞が、すごくリンクします。

ーー常に自分に問いかけている言葉なんですね。

岡田:そうですね。

鶴見:調子が良くない日は、どうしたってあるから。それを振り返りながら、いつか大丈夫になるはずだと信じて、また明日も生きていくみたいな感じです。

的場:そういう部分では私たちのことだけじゃなく、今夢を持っているすべての人に刺さる曲じゃないかって思う。「夕暮れグラデーション」のMVを見て聴いてくださった方で、「外出自粛期間中のもどかしい気持ちを代弁してくれている」と言ってくださっている方もいました。

ーーMVは、今の時期だからこその撮影スタイルになりましたね。

的場:はい。時間のある時に個々で撮ってものを繋いであって。

鶴見:珍しくみんな私服なんですよ。良い意味でリラックスした、メンバーの私服が見られます(笑)。

岡田:あとメンバーが歌っている下に出てくる歌詞は、そのメンバーの手書きで。こういう“エモ爽系”の曲は、歌詞の言葉が胸に滲みることが多いから、歌詞を手書きにすることでより“エモ爽感”を感じてもらえると思います。

鶴見:サビは12人全員が1つの画面に映るんですけど、サビでずっと全員が映るMVは今までなかったので、すごく新鮮な気持ちになりました。

ーーMVの最後でステージに全員が集まっている後ろ姿の写真が映りますが、あれがすごくエモいですね。

的場:写真はファンの方から募集した虹コンの好きな写真や夕暮れの写真を使っていて、その写真は確か2年くらい前の冬に開催した『全国征服!5th Anniversary レインボウツアー』の追加公演のリハーサル中のひとコマで。

岡田:ファンの方からも「最後の写真で涙腺が崩壊した」というコメントがたくさんありました。

【MV】虹のコンキスタドール「夕暮れグラデーション」(虹コン)

ーーユニット曲も収録されていて、「天文学的ノンフィクション」は、赤組の楽曲。今日のメンバーでは鶴見さんと的場さんが参加されていますが、こういうワチャワチャした感じは、すごく虹コンらしさを感じます。

鶴見:そうですね(笑)。

岡田:虹コンには赤組と青組があって、私が所属する青組の「真夜中のテレフォン」という曲が先にあって、その時から赤組のみんなもオリジナル曲が欲しいと言ってて。「真夜中のテレフォン」はしっとりめでクラブでかかってそうな曲ですけど、それとは真逆のテンションで、はっちゃけて元気な赤組にぴったりのすてきな曲だと思います。

的場:サイゼリヤでピザを食べながら「こういう曲がほしいよね」って、話し合ったその場で企画書を書いて、プロデューサーのもふくさんに全員で一斉メールを送って作っていただきました。

鶴見:青組と真逆の雰囲気であることやメンバーの名前が歌詞に入っているところなど、メンバー発信のアイデアを形にして下さって、メンバーの理想が詰まった曲になっています。

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