森朋之の「本日、フラゲ日!」vol.199

MWAM、堀込泰行……アーティスト同士のつながりから生まれる化学反応 コラボ&カバー作品をピックアップ

堀込泰行『GOOD VIBRATIONS 2』

 『GOOD VIBRATIONS』(2017年)に続くコラボレーションEP第2弾『GOOD VIBRATIONS 2』には、独特の揺れるビート感が気持ちいい「Sunday in the park + STUTS」(“6月の晴れた公園”を描いた歌詞、STAY HOMEな日々に聴くと泣けてしまう……)、ギターの多重録音による浮遊感のあるアレンジが心に残る「強く優しく + TENDRE」、先鋭的なエレクトロニカとSF的世界観を映し出す歌が響き合う「蟻と惑星 + machìna」などを収録。堀込泰行の王道のポップセンスと気鋭のクリエイターたちによる化学反応を味わえる作品に仕上がっている。個人的にもっともツボだったのは、スカートとの共演による「サンシャインガール + SKIRT」。ポール・マッカートニー、XTC、さらにはエミット・ローズ的なマニアックなポップス感に思わずニヤリとしてしまう。

堀込泰行 EP「GOOD VIBRATIONS 2」ティザー映像
Sano ibuki『SYMBOL』

 12編の空想上の物語からなるデビューアルバム『STORY TELLER』によって、アーティストとしての独創的なスタイルを提示したSano ibuki。新作『SYMBOL』は、『STORY TELLER』の舞台となった街(“emerald city”)の黎明期から行く末までを5編のストーリーで描いた作品。緻密に組み立てられた物語、登場人物たちのキャラクターと音楽が絡み合い、まるで映画を観ているような感覚に捉われる。トオミヨウ(あいみょん、菅田将暉など)、河野圭(森山直太朗、絢香など)、akkin(ONE OK ROCK、阿部真央など)というトッププロデューサーとともに作り上げたサウンド、語り部としての役割を備えたボーカルも豊かな広がりを見せている。アコギ弾き語りで、生身の歌を響かせる「記念碑」も聴きどころ。

Sano ibuki「SYMBOL」全曲ダイジェスト

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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