中国版“プデュ”新シリーズ『青春有你2』、人気上昇中の理由 BLACKPINK LISAらの参加など、4つのポイントから解説

見どころPOINT 3:視聴者を勇気づける“エンパワーメント性”の高さ

 この番組が練習生に課すチャレンジは、自分を知り、自分のスタイルで輝くことだ。技術はもちろん、仲間と絆を深めながら内面的にも成熟したエンターテイナーを育成することに重きを置いている。その過程での彼女たちの行動や発せられる言葉には視聴者をエンパワーメントするメッセージがたくさんつまっており、視聴者の中には練習生に自分の姿を重ね合わせ、希望を託すような気持ちで応援している女性も多いようだ。

 なかでも話題になったのが、マレーシア出身の練習生・蔡卓宜(ツァイ・ジュオイー/Joey Chua)のコメントだ。彼女は自身の経歴が理由で、番組出演に対しネット上で悪質な誹謗中傷を受けた。これはガールズアイドルと処女性についての議論に関係することなのだが、番組内でその一件に関する思いを涙ながらに語り「だから自分を愛し、自分らしく、勇気を持って前に進んでいこう」と力強く拳を振りかざす。ほかの練習生や視聴者の涙を誘ったこのシーンはネット上でも拡散され、国境を超えて多くの女性を勇気づけた。

YouthWithYou 青春有你2 Clip: JOEY CHUA recalls her experiences and bursts into tears 蔡卓宜忆往昔仙女落泪 | iQIYI

見どころPOINT 4:膨大な放送量とドラマチックな演出

 韓中日の“プデュ”系番組の中で、演出面において最もゴージャスなのが中国版だ。ミッションステージでは楽曲にあわせた照明、背景映像、舞台装置、撮影方法を駆使し、練習生の魅力を最大限引き出している。さらに、それぞれのパフォーマンスが始まる前には別撮りで編集された各チームのコンセプチュアルなイントロムービーが挿入され、視聴者の高揚感を助長。パフォーマンスにスローモーションを多用するところも“中国プデュ”ならではで、シンクロ率や実際のスキルが正確に伝わりづらいという短所はありつつも、ドラマチックに見せる力はピカイチだ。

グループ別バトル Team A 『MAMA-Chinese Version』

 また、各話約2時間、週2回配信と放送量が膨大で、レベル分けテストも3話にわたって配信するなど本編でたっぷり公開。ステージ評価以外にも別チームの課題曲に挑戦し、練習室でパフォーマンスを撮影する「練習室ミニテスト」が用意されるなど、それぞれが自身の強みや弱みを理解し、パフォーマンスでアピールする機会がより多く与えられているような印象を受ける。

 例えば、言葉の壁を乗り越えながら、ひた向きに練習に取り組む姿が評価された日本人練習生・七穂(稲垣七穂)も、このミニテストで新境地を開拓。ステージに立つ姿は練習生たちから「天使」「仙女」と称され、バラードを中心としたボーカルで力を発揮していたが、ミニテストでは「MAMA-Chinese Version」でこれまでのイメージを一新し、蔡徐坤から“ベスト練習生”に選ばれるなど、驚きの成長を遂げた。残念ながら現在は脱落してしまったが、今後の活躍に期待したい。

練習生や講師から絶賛された「MAMA-Chinese Version」

 なお、今年はTencent Videoにて元EXOのLUHANとTAO、f(x)のVICTORIAが講師として参加する『創造營2020』、YOUKUではEXOのLAYが総合司会を務める『少年之名』と、そのほか大手動画配信サイトでもオーディション番組が制作・配信される予定だ。そちらも英語字幕版が配信されるようなので、今後の展開に注目したい。

■後藤涼子
編集・ライティングユニットomo!(オモ)として、ガイドブックや韓国エンタメ等の書籍・雑誌・コンテンツ制作に携わる。日韓の俳優やアーティストのインタビュー、翻訳・通訳コーディネートも。著書に『Seoul guide 24H』(朝日新聞出版)ほか。インスタグラムアカウント@ryoco_omo

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