One World、Nirvana Tribute、PlayOn Fest......オンライン上に引き継がれた海外チャリティーライブの現在

 多くの音楽フェスが中止や延期を余儀なくされる中、チャリティーを目的としたバーチャル音楽フェスも注目されている。ワーナー・ミュージック・グループは「WHOのための新型コロナウイルス感染症連帯対応基金(COVID-19連帯対応基金)」への支援のために、バーチャル音楽フェス『PlayOn Fest』を開催した。Coldplayやエド・シーラン、The Flaming Lipsなど総勢70組の貴重なライブパフォーマンス映像を実際の音楽フェスさながら、タイムテーブルに沿って72時間に及び配信した。特に注目を浴びたのは、昨年凶弾に倒れたニプシー・ハッスルのデビューアルバム『Victory Lap』発売記念公演の映像だ。あまりライブ映像が残っていない彼の貴重な秘蔵映像を目にし、亡くした才能の大きさを再認識した方も多いのではなかろうか。

PlayOn Fest (Music is NOT Cancelled) Trailer

 これまでチャリティーライブは寄付金を最大化するため、たくさんの観客を集めた大掛かりなイベントとなる傾向があった。例えば1985年に開催された史上最大級のチャリティーライブ『ライヴエイド』は、アメリカのJFKスタジアム、イギリスのウェンブリースタジアムを満員にするなど大規模なライブイベントとなった。『ライヴエイド』の熱狂の様子は映画『ボヘミアン・ラプソディ』(2018年)でも印象的に再現されている。慈善の志に賛同した観客が一堂に会し、大きなムーブメントを起こしてきたこれまでのチャリティーライブだが、コロナ禍ではその舞台はオンライン配信に引き継がれている。まだまだ終わりの見えない新型コロナウイルスとの闘いだが、音楽を通じた支援の輪は着実に広がっているようだ。まずは自分の手の届く範囲を守るために「STAY HOME」を実践し、余裕があるのであれば賛同できるチャリティー活動に寄付をしてみる。そんな些細な助け合いの気持ちによって「細き流れも大河となる」のではなかろうか。

■Z11
1990年生まれ、東京/清澄白河在住の音楽ライター。
一般企業に勤務しながら執筆活動中。音楽だけにとどまらず映画、書籍、アートなどカルチャー全般についてTwitterで発信。ブリの照り焼きを作らせたら右に出る者はいない。
Twitter : @Z1169560137

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