The Individualism of BEYOOOOONDS ~ビヨーンズの個性と発展~

BEYOOOOONDS 清野桃々姫、多彩な特技磨く“パリピ”なアイドル? キャラクター性を徹底解説

新特技はトーキングモジュレーター

 ヒューマンビートボックスに続いて、清野は新たな特技を習得しようとしている。それはトーキングモジュレーターだ。ギターやシンセサイザーの音色を変化(モジュレート)させるエフェクターの一種で、トークボックスと呼ばれることもある。演奏者はビニールチューブを口にくわえて、ギターもしくはシンセの音を口の中へ伝え共鳴させることで、楽器音と人の声が混ざったような独自の音を出すことができる。

 元々はギター専用のエフェクターで、1970年代にジェフ・ベックやAerosmithなどロックシーンのギターに使われていたが、ソウル/ファンク系ミュージシャンのスティービー・ワンダーやザップがシンセサイザーにも使うようになる。トーキングモジュレーターを使用した有名曲としては、ザップ「I Can Make You Dance」やBon Jovi「Livin' On A Prayer」など多数。

Zapp - I Can Make You Dance (Official Music Video)
Bon Jovi - Livin' On A Prayer (Official Music Video)

 ハロプロファン的には、アンジュルムのシングル曲「大器晩成」のレコーディングで、鈴木俊介がギターを弾く際にビニールチューブを口にくわえていた映像でおなじみだろう。

MUSIC+36 アンジュルム「大器晩成」レコーディング#02 (ギター・ベース・パーカッション編)、中島卓偉・ラベンダー カウントダウンライブ映像他 (01/09/2015)

 なお、トーキングモジュレーターとヴォコーダーは混同されがちだが、厳密には異なる。ヴォコーダーは口から出た声をマイクで拾って、シンセサイザー内で音を変化させて出力するという方式であり、いってみればデジタル的。トーキングモジュレーターはアナログ的だ。ヴォコーダーを使った有名曲はKraftwerk「The Robots」やYMO「Technopolis」など、どちらかというとテクノ畑での使用例が多い。

 さらにややこしいのは、近年ではオートチューンという方式も出てきたことだ。これはPC上のプログラミングで人声にエフェクトをかけて変化させるというソフトウェアであり、使用例としてはDaft Punk「One More Time」やPerfume「ポリリズム」が有名だろう。上記3つの例いずれも、最終的に出てくるのはロボット的な声なので一緒くたにされがちだが、そこに至るまでのプロセスが異なるということだ。

 また、「#お家でもビヨンズ」というハッシュタグとともに、「眼鏡の男の子」「都営大江戸線の六本木駅で抱きしめて」の2曲のアカペラバージョン動画が公開されている。この2曲では、清野のヒューマンビートボックスと小林萌花のピアノがバックトラックをかたちづくり、そこにメンバーの歌声が重なっていくという基本構造。さらに清野はトーキングモジュレーターやヴォコーダーでアクセントを加えている。この動画はBEYOOOOONDSのメンバーそれぞれの特技を駆使した上で成り立っているのが感動的だ。

『「眼鏡の男の子」BEYOOOOONDSアカペラバージョン~前編~』
『「眼鏡の男の子」BEYOOOOONDSアカペラバージョン~後編~』
『「都営大江戸線の六本木駅で抱きしめて」BEYOOOOONDSアカペラバージョン』

 これら動画で清野の現時点でのヒューマンビートボックス、トーキングモジュレーターおよびヴォコーダーの成果が発揮されているが、ここからさらに発展して、特技を活かしたBEYOOOOONDSオリジナル楽曲が発表される未来が待ち遠しい。

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