TBSはなぜ今、新たな音楽番組に挑戦するのか? “生中継”にこだわる『CDTVライブ!ライブ!』総合演出インタビュー
目先の視聴率ではなく、10年先にこの番組が愛されているかどうか
ーーレギュラーとなると特番とは違って、新曲をリリースするたびにアーティストが出演すると思いますが、それ以外の企画なども考えていますか?
竹永:どのアーティストが出たとしても、見てもらえる番組にしたい。そのためにはキャスティング次第で見る番組になったらダメだと思うんですよね。だから、頭はもちろんライブから始まるんですけど、途中で必ず日本全国どこかの街から中継を入れます。それは「出張ライブ!ライブ!」というコーナーで、例えば今だったら夜桜が綺麗、とか、夏には夏を感じられる場所だったり、時制に合わせてできればと思います。また、情報番組だとエンタメニュースはあるんですけど、1週間の音楽ニュースをまとめているところって意外とない。音楽でも1週間、こんなアーティストが実はこんなところでバズった、とか面白いことがたくさんあるんですよね。意外と知らないと思うので、そういう音楽ニュースを毎週入れて行こうと思っています。そして、毎週番組の最後に「名曲ライブ!ライブ!」というコーナーも予定しています。日本を代表するアーティストが、日本を代表する名曲を最後にカバーして、良い曲を聞いて毎週番組が終わっていく。
この番組はもともとライブハウスという設定なので、“終わらない番組”を作りたいなと思っていて。生放送で普通だったら、何時から何時までなのでここで終わりです、と終わっちゃうんですけど。この番組は“生中継”で、ライブハウスで起きていることを中継しているんです。理想としては、最後にきっちり終わるのではなくて、「名曲ライブ!ライブ!」が終わったら、今夜来てくれた観客だけのために今日出演してくれたアーティストの中から誰かが1曲歌ってくれる。その途中で終わるんです。スポーツ中継で、延長戦になって最後まで放送できないことがあるじゃないですか。あの感じで毎週終わりたいんですよね。放送できなかった様子は深夜の『CDTVサタデー』や、YouTube、Instagramも含めてウェブで発信しているのでそちらで見られるようにしたり、というのをこれからやっていきたいですね。
ーー新たなアーティストを発掘していく予定は?
竹永:まさに、注目のアーティスト紹介「ゲキ押し!」というコーナーも毎週やる予定です。『卒業ソング音楽祭』(3月16日放送)では秋山黄色さんに出てもらいましたが、彼のようにまだ広く世に出ていないけれど、次に売れそうだというアーティストを、専門家の人たちにピックアップしてもらって。そこから生まれるスターが必ずや出るはずだと思っています。このコーナーは、僕もすごく新鮮なんですね。僕はそんなに音楽通ではないので、むしろフラットでいようと思っていて。僕自身が「へぇ」と思うことを皆さんにも伝えたいなというのが一番です。
テレビだと、その人の代表曲を歌ってもらおうとなりがちですが、この番組では新しい曲を聞いてもらう。その曲がすごくいい曲というのを伝えるためには、僕らがどれだけフリを作れるかが勝負だと思っています。あと、ライブ感を大事にしたいので、ほぼ全ての曲をフルサイズにします。今まで“テレビサイズ”がありましたが、なんでライブでしか全部聞けないのか疑問だったんですね。曲の盛り上がりや詞の世界観って、全部聞かないとわからない部分も結構あって。『卒業ソング音楽祭』でも一部でやりましたが、やっぱりフルサイズで聞くのはとてもいいなと思いましたし、なかなかテレビでフルサイズのパフォーマンスができる機会がないということで、アーティストにも喜んでもらえたので、これからも続けていきたいです。
ーー視聴者のターゲット層はどの辺りを想定されていますか?
竹永:10代から20代、30代など、若い方に見てもらいたいですね。僕はずっとスタッフに、目先の視聴率ではないよ、と言っていて。目先の視聴率を求めるなら、VTRを入れて、名曲のアーカイブを繋ぐ、ということもできるんですけど。そうではなくて、10年先、今10代の人が20代になった時にこの番組が愛されているかどうかでやっていこう、というのが大きなテーマなんですよね。まずは僕は10年先に後輩に渡す番組を作るというのが今回の使命だと思っていますし。そういう意味では、アーティストに出たいと思ってもらえる番組になることが1番大事かなと思うんですよね。だから、アーティストに愛を持って接しようとか、そういう雰囲気作りもしていこう、とにかく熱を伝えよう、とずっと言い続けていますね。
ーー各種SNSを開設するなど、ウェブ展開に力を入れている印象ですが。
竹永:毎日映像を作って公開して、頑張ってますよ。何人かに、音楽番組の未来になるかもしれないから新しいものを作っていこう、と声をかけて。あとはやりたいスタッフだけ集合してと言ったら、若いスタッフたちがみんなやりたいって、一生懸命やっていますよ。深夜も含めてうまく連動していきたいなと思っています。
ーー番組を通じて一番伝えたいことは?
竹永:難しいですね。もちろん音楽ではあるんですけど、その向こう側にはアーティストの思いや熱があるので、それをぜひ感じてもらえるといいな、と。そのために我々はどんなことでもしようと思っています。あと、月曜日の夜って「また明日からあるな」と憂鬱じゃないですか。だから、この番組を観て、良い曲を聴いて楽しい気分になってもらいたいですね。そして、この番組で良いと思った音楽を火曜日から通勤や通学の電車で聴いてもらえたらいいなと。音楽情報もたくさん紹介していきますし。
ーー最後に、この番組の一番の強みや魅力はどんなところにあると思いますか?
竹永:余分な要素がないことですかね。何よりアーティストが頑張らないと成立しない番組なので、それが他の番組とはだいぶ違うと思います。僕たちは、おそらくテレビで初めて「ノーカットフルサイズでいいですよ」とアーティストのみなさんにお伝えしています。視聴率という意味では、それが果たしていいことなのか悪いことなのかはわかりませんが、歌を大事にしていることを視聴者の皆さんに知ってもらいたい。この曲って後半はこんな風に盛り上がっていくんだとか、この番組でこそ楽しめる部分をぜひ楽しんで見ていただきたいです。
■番組概要
『CDTVライブ!ライブ!』
放送日時:3月30日(月)スタート よる7:00~10:57(生放送)
(通常回はよる10:00~10:57)
進行:江藤 愛(TBSアナウンサー)
<出演アーティスト ・歌唱曲一覧(※出演アーティスト50音順)>
嵐 テレビ初披露の楽曲を含むSPメドレー
iri 「Sparkle」
EXIT×Da-iCE「I got it get it feat.Da-iCE」
Uru「あなたがいることで」「プロローグ」(※テレビ初披露)
AKB48 ※放送までのお楽しみに。
Official髭男dism「I LOVE...」「宿命」
Kis-My-Ft2 SPメドレーなどを披露
King & Prince「シンデレラガール」「Memorial」「君を待ってる」「koi-wazurai」「Mazy Night」
三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE「R.Y.U.S.E.I.」「Movin’ on」(※テレビ初披露)
GENERATIONS from EXILE TRIBE「ヒラヒラ」(※地上波初披露)
SixTONES「lmitation Rain」※さらにもう1曲歌唱予定。歌唱曲は放送でのお楽しみに。
Snow Man 「D.D.」※さらにもう1曲歌唱予定。歌唱曲は放送でのお楽しみに。
DA PUMP 「Heart on Fire」
乃木坂46「帰り道は遠回りしたくなる」「しあわせの保護色」「シンクロニシティ」「制服のマネキン」「何度目の青空か?」
日向坂46「ソンナコトナイヨ」
Foorin「パプリカ」
FLOWER FLOWER「CHE.R.RY」「夢」
三浦大知 「I’m Here」
森山直太朗 「さくら(独唱)」
Little Glee Monster「世界はあなたに笑いかけている」