佐伯ユウスケの本質はライブで発揮されるーー吉野裕行をゲストに迎えた『ウラオモテンション2』レポート

 シンガーソングライターの佐伯ユウスケが1月11日に東京・Veats SHIBUYAでワンマンライブ『佐伯ユウスケ「ウラオモテンション2」』を開催した。

 「今日の主役は僕でありみなさんでもあります。それぞれの楽しみ方で、楽しんでください」といった、佐伯本人のアナウンスで始まったサービス精神たっぷりのライブ。『弱虫ペダル』や『Dr. STONE』など人気のアニメテーマソングを歌った他、声優の吉野裕行をゲストに迎えるなどして18曲を披露。歌あり、バンドメンバーやゲストを巻き込んでの笑いあり。ウラもオモテもない“これが佐伯ユウスケだ!”といったライブを展開した。

ゲストに声優・吉野裕行。笑いと聴かせの応酬

 2006年から佐伯youthK名義で、作家活動を開始した佐伯ユウスケ。西野カナ、関ジャニ∞、ナオト・インティライミ、Nissyなどに楽曲を提供している他、近年は吉野裕行を始めとした声優の楽曲やキャラクターソングを数多く手がけている。シンガーソングライターとしての顔と、作詞作曲家としての顔。その両面を1つにして聴かせ、佐伯ユウスケという1人のアーティストの全部をお届けしようというのが、この『ウラオモテンション』だ。第1回目を2018年5月に東京・渋谷WWWで開催、この日はそれから約1年半ぶりのワンマンライブとあって、多くのファンや関係者、交流のある声優が詰めかけた。

 佐伯ユウスケのライブに触れた最初の感想は、「これがシンガーソングライターのライブ?」というものだ。楽器を奏でながら心の機微をセンシティブに歌う、もちろんそういう面も多々あるが、そうしたいわゆるシンガーソングライター像を浮かべていると、少々肩すかしを食らう。この日のオープニングもまるでシュールなコントのようで、そのとぼけた表情で会場を爆笑させていた。

 その勢いで、人気アニメ『弱虫ペダル NEW GENERATION』エンディングテーマ「ナウオアネバー」になだれ込むと、ポップで疾走感のあるサウンドと爽快さのあるサビメロが会場に広がる。観客は手拍子をしながら一緒に歌って、会場は早くも1つになった。また「シューティングスター」では、ファンキーなリズムに合わせてマイケル・ジャクソン風に腰を振った。パワフルでポップな、楽しくてハイテンションのステージに、観客はもれなく笑顔になって楽しんでいた。

 セルフカバーコーナーでは一転、極上のポップナンバーをストレートに聴かせた。入野自由に提供した「見果てぬ世界、繋がる想い」、柿原徹也に提供した「僕さ」。そして、西野カナの「たとえ どんなに…」と「好き」を、キーボードの弾き語りで聴かせた佐伯。温かく包み込むようなサウンドと、美しくも耳馴染みがよく胸を打つメロディ、そしてスッと心に染みこんで来る佐伯の歌声。さっきまで会場を爆笑させていた佐伯ユウスケと本当に同一人物なのだろうか? と思うほどのギャップで、観客を魅了した。


 ゲストコーナーでは、声優・吉野裕行が登場してライブをさらに盛り上げた。2人のやりとりは、もはや漫才でも観ているかのよう。そして「\わっしょい/」を2人で歌い、観客と一緒にタオルを回して盛り上がりは最高潮。トークでは『弱虫ペダル』の話題で盛り上がり、その流れで吉野が演じた荒北靖友のキャラクターソング「唯我独走」を熱唱。この曲をライブで歌うのは吉野も初めてとのことで、ファンはこの貴重な機会に、パワフルな楽曲にノッて手を揺らしてジャンプした。そして、吉野が浪川大輔と組んでいるユニット・Uncle Bombに提供した「Bye Bye Bye」を歌う時は、吉野が℃-uteの「Bye Bye Bye」を歌うというボケもかませつつ、このしっとりとしたミディアムバラードナンバーに、美しいハーモニーと共に切ない想いを乗せた。

関連記事