GLIM SPANKYの“温故知新”の絶妙なバランスはどう培われている? 松尾レミ&亀本寛貴に聞く

GLIM SPANKY、“温故知新”のバランス感

希望を持って茨の道に飛び込んでいく人たちにエールを

ーー (笑)。もう一つのタイアップ曲「Tiny Bird」では、挑戦することの大切さや難しさを歌っていますよね。

松尾:実はこの曲、去年の夏くらいに出来てたんですよ。「すごくいい曲が書けた!」って盛り上がって、一番いいタイミングで出せるようにあたためておいたんです。それでドラマのタイアップの話が出た時に「バラードがいい」というリクエストがあって。この曲だったらジョージ・ハリスンの初期ソロ作のような、ストリングスを大々的に導入したロックなバラードになると思って歌詞を書き始めました。

 ちょうどその頃、すごく仲良くしていた友人たちが、仕事を辞めたり、東京で目指した夢を諦めて実家に帰ったり、私を含めてターニングポイントが重なっていたんですよね。「一歩踏み出すことの怖さ」とか「メリットデメリット関係なく、環境を変えることの恐怖」というものを、いつも以上に強く感じていた時期で。

ーーそうだったんですね。

松尾:今の状況をどうしても変えたいとき、変えるべきとき、どこかに希望を見出したいと思うとき、きっと私たちは「今よりも良くなる」という希望を持って茨の道に飛び込んでいくと思うんです。そういう人たちへのエールとなるような楽曲があったらいいなと。

ーー〈真面目に働く平凡なこの暮らしにさよなら 読めない明日の方が命は喜ぶよ〉とか、〈どこかへ渡る小さな鳥みたいに 震えて進め どんな世界も〉というラインにグッと来ました。

松尾:ありがとうございます。あと、これも私の友人の話なのですが、長く付き合っていた恋人と別れ、しかも仕事を変えなきゃいけない時期に、ふと私に「今まで全然好きじゃなかったベタな恋愛の曲が、街中でふと流れてきた時にすごく感動しちゃったんだよね」と話してくれて。そのエピソードを思い出した時にAメロの〈響くことのなかったあの歌が 突き刺さった〉というラインが生まれました。

 今まで嫌いだったものが急に好きになったり、環境を変えたことで新しい感性が芽生えたり、そういう経験ってきっとみんなあると思うんですよね。そうやって好きなものが広がっていくのは、「希望」でもあるんじゃないかなという思いをこのラインに込めました。

ーーグリム自身は、何か新しいことに挑戦していますか?

松尾:亀はいつも、新しいものに対して敏感だよね。サブスクの音質を聴き比べたり、今流行っている音楽に対していつもアンテナを張っていたり。そういうところを私はすごく尊敬しています。

亀本:そう?(笑)。

松尾:だからこそ私は、自分の好きなものをディープに掘り下げていますね。今は60年代のアシッドフォークとか……当時、数百枚とかしかプレスされていなかったレア盤のリイシューを探したり(笑)、そのアートワークを楽しんだり、そういう方向にどんどん進んでいます。当時、コミューンで作ってライブ会場で手売りしていたような音源や、手書きの歌詞カード……そういうDIY精神の中に、本当のサイケデリアがあるんじゃないかと思って最近はハマっていますね。

ーー現在『Velvet Theater 2019』の真っ最中ですけど、そこではOverLightShowのリキッドライトショーを導入したそうですね。それも新たな試みといえるのでは?

松尾:リキッドライトはもともと大好きで。デビューシングル曲「焦燥」のMVでもやってもらったんですよ。それを私はライブでもやりたかったんですけど、「(予算的に)まだ無理だ」と言われてしまって。それが悔しくて「いつかやりたい」とずっと思っていたんです。しかも今回、味園ユニバースやキネマ倶楽部のような素晴らしい会場だし、それに賛同してくださるお客さんも増えた。全てが重なって、リキッドショーを始めるなら今のこのタイミングしかないということでお願いしました。

GLIM SPANKY「焦燥」Music Video

ーー念願のリキッドライトショーはどうですか?

松尾:もう、めっちゃ最高です。まるで1968年のフィルモア・イーストという気分ですね(笑)。自分たちが目指す、「温故知新」の精神につながるステージが出来てとても嬉しいです。

ーー松尾さんが昔の音楽を掘り下げ、ソングライティングに活かし、そこに亀本さんが現代的なプロダクションを施していくという。GLIM SPANKYの音楽性は、本当に絶妙なバランスで成り立っていますよね。

亀本:僕はThe Beatlesが大好きなんですけど、彼らは当時、常に新しいものを取り入れて、「一番新しいものを作ろう」という意識が強かったと思うんですよ。アルバムを出すごとに、いや、曲を作るたびにそう思っていたはずで。最近だとArctic Monkeysがそうですよね。彼らってアルバムごとに、見た目も含めて「こいつら誰だよ?」ってくらい変わる。そこがめちゃめちゃカッコいいんです。バンドってそういうものだと思っているから、グリムでも僕は常にそういうモードでやっていますね。一度作ったものは、もう「古いもの」として毎回更新していくというか。

ーーまさに「Tiny Bird」の〈古いあのギターも手放して旅立つんだ〉という歌詞の世界に通じますよね。

亀本:そうですね。レコーディングでギターを入れるときも、「バンドだからまあ、歪みのギター入れるでしょ」みたいな、何の疑いもなく弾くことには違和感があるんですよ。ちゃんと毎回、そこに疑問を持つべきというか。「ここはギター、本当に要るのか?」みたいな気持ちは常に忘れないでいたいですね。

ーーそろそろ、次のアルバムに向けての準備を始めているところですか?

松尾:テーマは結構前から何となく考えていますね。「こういうアートワークで、こういう歌詞世界で」みたいなことは、亀と話し合っています。まだちょっと内緒なんですけどね(笑)。

 ただ、さっきも言ったように『Velvet Theater 2019』でディープな世界観を提示しているところなので、それを曲でも表現したいのと、今趣味で集めているレコードや文学、アートの世界を現代の感覚と自分の言葉で落とし込めたらいいなと思っています。これまではアルバムのスパンが結構短かったから、そういうことをじっくり考えていられなかったんですよ。ようやく創作らしい創作を考える時間があるので楽しみです。

亀本:結構スパンが空いたし商業的にもガツンといけるものにしたいな。それは最低ノルマとしてある。そういう挑戦も面白いと思っているからさ。

松尾:そうだね、二人のそういう要素が組み合わさったアルバムになったらいいなと思っています。

(取材・文=黒田隆憲)

■リリース情報
『ストーリーの先に』(ABCテレビ・ドラマL『Re:フォロワ ー』主題歌)
発売日:11月20日(水)

・完全数量限定盤(CD+グッズ)
価格:3,960円(税込)
CD:
1.ストーリーの先に
2. Breaking Down Blues
3.Tiny Bird 全3曲収録
グッズ:松尾レミデザインのボディバッグ
※本画像のデザイン(柄)、本体の色はイメージ。実際の商品とは異なる。

・初回限定盤(CD ※ライブ音源収録)
価格:1,980円(税込)
CD:
1.ストーリーの先に
2. Breaking Down Blues
3.Tiny Bird 全3曲収録
+ライブ音源(2019.6.8豊洲PIT)

ライブ音源収録内容:
Love Is There/TV Show/ハートが冷める前に/The Flowers/In the air/愚か者たち/Hello Sunshine/All Of Us/To The Music/Looking For The Magic/闇に目を凝らせば/話をしよう

・通常盤(CD)
価格:1,430円(税込)
CD:
1.ストーリーの先に 
2. Breaking Down Blues
3.Tiny Bird 全3曲収録

<購入特典>
CD1枚につき1枚、特典として「ポストカード」をプレゼント。
① TOWER RECORDS オリジナル絵柄
② Amazon.co.jp オリジナル絵柄
③ 楽天ブックス オリジナル絵柄
④ その他CDショップ及びWEBストアオリジナル絵柄
※ポストカードの絵柄は決定次第のご案内。
※一部店舗では取り扱いなし。予約・購入前に希望の店舗へ要確認。
※特典は先着で数量限定。

予約&ダウンロード

■ドラマ情報
ドラマL『Re:フォロワー』
キャスト:西銘駿 塩野瑛久
和田雅成 喜多乃愛 谷口賢志 / 中島早貴 原田佳奈 八神蓮 萩野崇
松尾貴史 的場浩司(友情出演) / 佐藤流司

ABCテレビ(関西)2019年10月6日(日) スタート 毎週日曜よる11時35分~
テレビ朝日(関東)2019年10月5日(土)スタート 毎週土曜深夜2時30分~
※ほか地域でも放送予定、地上波放送終了後、TVer・GYAO!にて見逃し配信あり。

番組公式ホームページ

■ライブ情報
(イベント出演)
12月10日(火)【神奈川】「エアトリ presents 毎日がクリスマス 2019〜KING ROCKERS Vol.6〜」(出演:THE King ALL STARS/GLIM SPANKY)
12月14日(土)【石川】夜の本気ダンス「AUTUMN JACK OF SEA TOUR」(出演:夜の本気ダンス/GLIM SPANKY)
12月19日(木)【東京】「CHAI presents CHAIとみてみチャイ」(出演:CHAI/Have a Nice Day!/GLIM SPANKY)
12月26日(木)【大阪】「FM802 RADIO CRAZY 2019」
1月12日(日)【北海道】「NO MATTER LIVE」(出演:GLIM SPANKY/HEY-SMITH/KEMURI/NAMBA69/ヤバイTシャツ屋さん)

(ワンマンライブ)
『Velvet Theater 2019』
11月28日(木)【東京】キネマ倶楽部 THANK YOU SOLD OUT!!
11月29日(金)【東京】キネマ倶楽部  THANK YOU SOLD OUT!!

 ■関連情報
GLIM SPANKY オフィシャルサイト
GLIM SPANKY オフィシャルモバイルサイト「FREAK ON THE HILL」
GLIM SPANKY ユニバーサルミュージック サイト

サイン入りチェキプレゼント

GLIM SPANKYのサイン入りチェキを1名様にプレゼント。応募要項は以下のとおり。

応募方法

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※当選後、住所の送付が可能な方のみご応募ください。個人情報につきましては、プレゼントの発送以外には使用いたしません。
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リアルサウンド 公式Twitter

<応募締切>
2019年12月2日(月)まで

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