『KYO』インタビュー

m-floが考える、海外市場におけるJ-POPの未来 「世界に向けて売り出すには、今が最後のチャンス」

LISA「私たちにとっての「KYO」を探す作品」

ーー最新アルバム『KYO』は、m-floのそうしたアティテュードをそのまま詰め込んだ作品だと感じました。特に「HUMAN LOST feat. J. Balvin」は象徴的な楽曲です。太宰治の『人間失格』を下敷きにしたSF劇場アニメーション映画『HUMAN LOST 人間失格』のエンディングテーマで、m-floらしいユニークな音楽性を突き詰めながら、グラミー賞アーティストのJ. Balvinと華麗なフィーチャリングを果たしています。

☆Taku:「HUMAN LOST feat. J. Balvin」は、まさに理論を実践できた作品です。最初に『HUMAN LOST 人間失格』のテーマソング制作の依頼を受けて、VERBALが昨年の『SUMMER SONIC』で初来日を果たしたスーパーナイスガイのJ. Balvinに「一緒に作らないか」と声をかけたところ、快く承諾してくれました。映画の内容に寄り添ったストーリーと同時に、恋愛におけるドライな一面を描いた楽曲になっています。

VERBAL:ポリゴン・ピクチュアズの劇場アニメーション映画の主題歌で、しかもJ. Balvinがフィーチャリングで参加してくれている。これ以上ないほど奇跡的で理想的な座組みになったと思います。J. Balvinは今やトップアーティストの一人で、当然ながら何でもかんでも承諾してくれるような人ではないのですが、日本のアニメに関わることは彼らにとってとても価値があることなんです。今回、アニメ映画の主題歌だったことが、彼の琴線に触れたのは間違いないと思います。やはり、日本のアニメは世界中で愛されているのだと、改めて実感しました。

LISA:ミュージックビデオも実際に映画の監督を務められた木崎文智さんや、キャラクターデザインのコザキユースケさん、ポリゴン・ピクチュアズによる描き下ろし、デザイン、監修のもと制作されました。かっこいいので、ぜひ観てほしいです。

ーー『KYO』はアルバム全体でもしっかりとしたコンセプトがあり、一枚を通してミュージックジャーニーが楽しめるのもポイントだと感じました。

☆Taku:最近はストリーミングサービスが浸透していて、SpotifyやApple Musicではアルゴリズムでおすすめ曲を紹介してもらえるし、プレイリストで音楽を聴くのも当たり前になってきました。そうした状況の中でアルバムを出すと考えた場合、m-floはもともとアルバム一枚を通して世界観を構築したりすることに意識的でしたから、だったらアルバムを一つのプレイリストのように楽しめるようにしようと。楽曲のコンセプトがあって、そのコンセプトに繋がるインタールードがあって、しかも様々なタイプのサウンドが入っていて、という感じで、これまで以上に流れを意識した作品になっています。

VERBAL:アルバムのタイトルとなった「KYO」は、m-floとしては初めての和風タイトルで、響、京、共、境、強、狂、今日、鏡、協、興など、様々な意味を込めました。m-floは2017年に15年ぶりに3人体制で再始動することになったわけですけれど、それまで僕らは各々いろいろな次元で活動していたので、まずはそのズレを調整していく必要がありました。そうした自分たちの状況をコンセプチュアルに表現しようと考えた時、異次元やパラレルユニバースというキーワードが出てきて、そこから多面的な意味合いを持つタイトルを付けようと思い、最終的に「KYO」になりました。

ーーアルバムに収録された楽曲の多彩さをうまく表現する言葉でもあると思いました。また、今回のアルバムには、m-floの楽曲を今をときめくにトラックメイカー陣がリミックスしたミックスCD『20th Anniversary Best Mix by in the blue shirt』も付いています。こちらもm-floでしか成立しない一枚だと感じました。

☆Taku:Sweet William、tofubeats、WONK、starRoなど、今の日本を代表するクリエイターたちが参加してくれていて、幅広い音楽性の一枚になったと感じています。さらに全体のミックスをin the blue shirtことアリムラさんが担当してくれました。今の日本のシーンの面白さが感じられる一枚に仕上がっていると思います。過去の作品から今の作品まで入っているし、実際に打ち込みをしている人の感覚で聴くと、すごく楽しめるかなと。

ーー11月22日と23日には、Zepp Tokyoにて20周年ワンマンライブ『m-flo 20th Anniversary Live "KYO"』も開催されます。意気込みを教えてください。

LISA:このアルバムは、みなさんにとっての「KYO」を見つけて、それを感じてほしいという願いと同時に、私たちにとっての「KYO」を探す作品でもあります。ライブでは最新型のm-floを観てもらえると思いますので、ぜひCome Enjoyしにきてください、待ってます。

VERBAL:アルバムを引っ提げてのワンマンはけっこう久しぶりで、僕たちも今までで一番と言って良いくらい、気持ちをひとつにして向き合っています。これまでのファンのみなさんはもちろんですが、これからm-floを聴いてみようと思う人も気軽に遊びに来てほしいです。絶対に良いものを持ち帰ってもらえるように頑張ります。

☆Taku:『KYO』というアルバムリリースのライブであると同時に、m-floの20周年イベントでもあるので、"m-flo loves Who?”時代の楽曲もやる予定です。僕らが今、フレッシュだと感じている方々にも参加してもらいます。みなさんと一緒に過ごせることを楽しみにしています。

(取材・文=松田広宣/写真=林直幸)

m-flo『KYO』

■作品情報
m-flo『KYO』
CD2枚組(オリジナルアルバム + Mix CD)+DVD1枚5,500円(税込)
CD1枚(オリジナルアルバム)+DVD1枚 4,400円(税込)
CD2枚組(オリジナルアルバム + Mix CD)3,850円(税込)

■ライブ情報
『m-flo 20th Anniversary Live "KYO"』
日程:11月22日(金)、11月23日(土)
会場:Zepp Tokyo
開場/開演:18:00/19:00(2日共通)
チケット代:全自由 5,500円(税別)
参加アーティスト:Crystal Kay, Emyli, 日之内エミ, JP THE WAVY, melody., Minami(CREAM), MINMI, YOSHIKA

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2019年11月28日(木)まで

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