荻原梓のチャート一刀両断!

=LOVE、シングル6作目にして初首位に 指原莉乃による色彩豊かな言葉選びと“声”を活かしたサウンドアレンジ

 サウンドにおいては、もの寂しいピアノの響きと繊細なギターの音色、ドラマチックなストリングスのアレンジによって、美しくも儚い女性の心象風景が浮かび上がる。淡々と鳴り続けるキックの連打は、主人公が忘れようとしている〈記憶〉からまるで必死に逃れるかのように、気持ち速いくらいのテンポでAメロを駆け抜けていく。サビ直前の語り部分や、サビでの〈ズルいよ〉〈ズルいね〉の語尾が伸びて主旋律と重なる場面は、同グループが声優を兼業し“声”を商品としていることを最大に活かした特徴的な作りだ。サビ始まりであり、それが落ちサビ(ボーカル以外のトラックのボリュームを落としたサビ)である点からも非常に“声”に自信を持っていることがうかがえる。

=LOVE(イコールラブ) /「ズルいよ ズルいね」【MV full】

 カップリング曲には、ポップなキャラソン風の「Sweetest girl」、爽やかなロックチューンの「推しのいる世界」、姉妹グループである≠MEによるストレートなロックナンバーの「「君の音だったんだ」」といった様々なテイストの作品が収録。表題曲の切ない世界観とは打って変わって明るい楽曲が並んでいる。

 繊細なサウンドと特徴的なボーカルワーク、そして姉妹グループも参加したカップリング曲によって、シングル6作目にして初めて記録したオリコンチャート首位。同グループの今後のさらなる飛躍に注目だ。

■荻原 梓
88年生まれ。都内でCDを売りながら『クイック・ジャパン』などに記事を寄稿。
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Twitter(@az_ogi)

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