TOMORROW X TOGETHER (TXT)が“魔法”テーマに表現した、アップデートされた若者像

 また、音楽的な面ではポストパンクやエクスペリメンタル、ニューウェーブといった韓国でのニュートロ(ニューレトロ)ブームを反映したジャンルや、ディスコやファンク、テクノのようなBTSの楽曲ではあまり見られないジャンルの楽曲にチャレンジしている。K-POP定番のハウスやR&Bもトロピカルハウスや90年代末期のスローR&Bなど、より音楽シーンの流行が意識されているようだ。「Roller Coaster」では楽曲制作にメンバーのヒューニングカイが参加しているものの、基本的にスタッフが中心となって制作しているからこそのフレッシュでトレンディなバリエーションと言えるのかもしれない。今作もSlow Rabbitを筆頭にADORA・Supreme boi・パンシヒョクがメインで参加しているが、前作以上に海外の作曲家も多く、10人以上の大所帯で共同制作した楽曲が目立つ。

 先輩グループの世界的人気拡大により、デビュー時から必然的にその影響を受けざるを得ないTXTだが、今のところはかなりはっきりとBTSとの差別化を図ろうとしているのが感じられる。一方でBTSのメンバーをロールモデルとしていると語るように、BTSにも見られたカル群舞や少年性をベースにした世界観という共通項目もあり、グループと共に事務所全体のイメージも構築されつつあるように思う。BTS自身もTXTのデビューにより、後輩活動を応援したりする姿から「後輩とのケミ」という新たな魅力の一面を得たと言えるのではないだろうか。また、デビュー即アメリカでショーケースを行ったり、VLIVEなどのウェブコンテンツを積極的に更新しているのも、過去にBTSが行ってきた伝統のプロモーションスタイルである。日本では9月の『東京ガールズコレクション』で初舞台を踏んだばかりのTXT。またデビューして半年ほどだが、今後の活動や変化が気になる存在である。

■DJ泡沫
ただの音楽好き。リアルDJではない。2014年から韓国の音楽やカルチャー関係の記事を紹介するブログを細々とやっています。
ブログ:「サンダーエイジ」
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