『フリースタイルダンジョン』3代目モンスターの特徴は? 新たなドラマ性にも期待

 そして、3代目モンスターに期待される成果のひとつには、モンスター同士による強い結束があるだろう。放送開始当初より、フリースタイルバトルを地上波で扱う物珍しさや、勝敗がハッキリと明示されることから、多くのヘッズを生み出してきた『フリースタイルダンジョン』。同番組の歴史を振り返っていくと、いつからかその勝敗を超えて、モンスターが“チーム”として一枚岩になっていく過程にこそ、面白さを見出していたことに気づく。彼らが“チームメイト”の勝利に喜び、時にハイタッチさえしてしまう姿に、微笑ましさを抱いた視聴者もきっといるはずだ。

 そんなモンスター同士の結束を生み出した張本人といえるのが、初代モンスターのDOTAMAだろう。チャレンジャー時代より「ディスの極みメガネ」と称されていたものの、自身のモンスター就任時には対戦相手のデータを分析してモンスター間で共有するなど、チームをまとめる参謀的な役割を全うしてきた。

 結果的に初代モンスターは今なお、“原点にして頂点”といえる存在感を発揮しているほか、2017年6月には『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)への出演を果たすなど、当時よりヒップホップシーンを大きく牽引。モンスター全員の信頼関係があってこそ、それほど大きな功績を残すことができたのだろう。

 そんな彼らの推薦を受けて、その礎を時にプレッシャーとして重く受け止めたのが2代目モンスターだ。なかでも裂固は、同じ『高校生RAP選手権』出身の先輩であるT-Pablowから叱咤激励を浴びせらたことも。時には連敗を続けながらも、終盤にはBASEやミステリオらの4人抜きを見せるなど、大きな飛躍を遂げてくれた。また、同じく2代目の輪入道は、初代モンスターの漢 a.k.a.GAMIの“コンプラ”に対するストッパーを外したほか、TK da 黒ぶちやpekoらともベストバウトを繰り広げてきた。2代目モンスターの織りなすドラマ性もまた、『フリースタイルダンジョン』の欠かせない見どころだったに違いない。

 R-指定は、10月初旬の放送回で「ディスとか勝ち負けの先にあるものをダンジョンは提示していかないとダメ」とまっすぐに語っていた。一回きりのバトルに完結せず、シリーズ物ならではのコンテクストを築けることこそ、『フリースタイルダンジョン』に多くのフォロワーが集う理由ではないか。だとすれば、3代目モンスターの進むべき道も自ずと見えてくるはず。そんな彼らの初陣をまずは心して見守りたい。

(文=一条皓太)

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