「12 Sweet Stories」第5弾リリース「オリオン」インタビュー

FUKIが新曲「オリオン」を通して見つけた、“自分らしい歌”

より自分の素を出せた 

ーータイトルにもなっている“オリオン”というモチーフを使ったのはどうしてだったんですか? オリオン座は冬の星座として知られていますよね。

FUKI:夏とか秋にも見えるらしいんですけど、一般的には冬の星座ってことになっていますもんね。でも、オリオン座って夜空でパッと見つけやすいから子供の頃からすごく身近に感じていたし、好きな人とのシチュエーションにも登場しやすいじゃないですか。「あのとき一緒にオリオン座を見たな」「オリオン座を見るとあの人を思い出すな」とか。だから今回は夏の終わりを意識した曲だけど、あえて使うことにしたんです。実際できあがった歌詞を見てみると“オリオン”というワードはすごく目立つし、いいフックになったなって思いますね。

ーー歌詞には〈真っ白にこの街が染まる頃 二人は何をしてるかな?〉というフレーズがあって。少し先の未来、冬の自分たちのことにも思いをはせているから、そこで冬の星座である“オリオン”というワードが効いてくる感じもありますよね。

FUKI:うんうん。そのフレーズが入った2番のAメロが個人的に一番気に入ってるんですよ。私はいつも「今が大事」っていう気持ちで曲作りをしているけど、恋をしてると少し先の未来を考えてしまうことって絶対あるじゃないですか。「明日一緒に帰れるかな」とか「クリスマスは一緒にいられるかな」とか。特に夏の終わりにはそういうことをより考えがちだと思うし。なので今回はそういった要素を絶対入れたいなって思ってたんですよね。

ーー素敵な歌詞だと思います。ちなみに、この「オリオン」のジャケ写でFUKIさんが着ているTシャツに「UNION」と書かれているのには何か理由があるんですか?

FUKI:それみんなに突っ込まれますね(笑)。これは狙ったわけじゃないんですよ。気づいたら、「あ、“オリオン”と“ユニオン”似てるね」っていう。偶然です(笑)。

ーー了解です(笑)。歌のレコーディングに関してはいかがでしたか?

FUKI:今回の制作はほんとにギリギリだったんですよ。曲を書いてからトラックダウンまでに5日くらいしかなかったから、もう「ヒーッ!」って感じで(笑)。メロディと歌詞がカラダの中に入りきらないままでのレコーディングだからけっこう不安でしたね。でも自信がないまま歌うとそれは声に出てしまうから、その状況を楽しみつつ、めっちゃ集中力を高めて臨みました。

ーー平メロは言葉数がけっこう詰まっていて、低いトーンのボーカルになっていますね。

FUKI:はい。AメロBメロでは好きな人との思い出を振り返って懐かしんでいる歌詞になっているので、独り言をつぶやくように歌いましたね。自分の中でしゃべりながら回想しているというか。キーは低いけど、表現の部分ではすごく歌いやすかったです。

ーーそしてサビでは心の中の思いがパッと弾けるようなボーカルになっていて。メロディに込められたせつなさをFUKIさんのボーカルがより増幅させてくれています。

FUKI:あーうれしい。ありがとうございます。確かに今回のサビのメロディはいいものが書けたなっていう実感はあって。ただ、そこまで大きな起伏があるわけじゃないから、普通に歌ってるだけだと感情の感じられない歌い方になってしまう難しさがあるんですよ。

ーー7月に配信された「Long Distance」と同様の難しさですか。

FUKI:そうそう、まさに(笑)。今回も怒られながら歌いました。「そんな歌い方だと何の感情も届いてこないぞ」って。メロディ自体はAメロBメロより全然歌いやすいはずなんですけどね。メロディが完全にカラダに入りきっていなかったのもあって、かなり表現に関しては悩みました。ただ、時間がなかったことでより自分の素を出せたところもあった気がするんですよ。いろいろ考えはしたけど、結果的には相手に対して言いたいけど言えない思いを爆発させるようなイメージでストレートに力強く歌ったテイクが採用になったので。

ーー歌詞の世界観にバッチリはまったボーカルだと思います。

FUKI:自然とそういうアプローチにはなったんですけど、できあがったものを聴いた時にはちょっと自分的に懐かしいニュアンスだなって思ったりもしたんですよね。デビュー曲の「キミじゃなきゃ」に近い雰囲気があるというか。「すごくいい曲になったな」って我ながら思いました(笑)。

ーーここ最近のFUKIさんは柔らかいボーカルを聴かせてくれることが多いけど、今回のサビのような強い声も大きな魅力としてデビュー時から持ち合わせていましたからね。

FUKI:そういう部分を久しぶりに出せたから懐かしく感じたんだと思います。Twitterなんかを見てると、「オリオン」の感想として「FUKIちゃんっぽいね」って言ってくれてる子がけっこう多くて。最初は「どこでそう感じてくれたのかな?」って思ってたけど、そういった声の表情の部分が影響してるのかもしれないですね。8月に出たOTODAMAでこの曲を歌った時に、「あ、こういう曲なんだな」「こう歌えばいいんだな」みたいなことがよりわかった実感もあって。なのでこれからまたライブで歌っていくのが楽しみです。

ーーこの曲をきっかけに告白人口がグッと跳ね上がるといいですよね。

FUKI:そうですね。もちろん実際に告白できたら一番ではあるけど、告白できない、相手へ伝えられない思いをこの曲を聴くことで消化してもらってもいいと思うんですよ。どうしても告白できない状況の人もきっといるだろうから。私自身、自分からは絶対告白なんてできないタイプなので、好きという感情が生むもどかしさを私と一緒に感じて欲しいです。もちろんね、この曲をもって告白して成功したよっていう報告もぜひお待ちしてます!

ーーこの曲の到着とともに今年の夏も終わろうとしていますが。夏好きなFUKIさんとしては今どんな気持ちですか?

FUKI:寂しいですよね。心が「うっ!」ってなる。でもね、そういう感覚になってる自分も好きなんですよ。ちょっと痛い感じですけど(笑)。

ーーいやでもその感覚もわかります。その寂しさに浸ってしまうというか。

FUKI:陽が短くなってすぐに暗くなってしまったりとか、まだ暑さもあるけどちょっとずつ過ごしやすくなってくる感じとか、そういう変化を感じながら帰り道に好きな音楽を聴くと最高なんですよね(笑)。「オリオン」もみんなにとってのそういう曲になってくれたらいいなあ。

ーーちなみにFUKIさんの中の夏の終わりにマッチするベストソングというと?

FUKI:えー! なんだろうな? 全然夏の終わりを歌った曲ではないんだけど、フジファブリックの「PRAYER」はすごく合いますね。大切な人との出会いを回想しながら、今を歌っている曲なんですけど、爽やかで、でもちょっと切ない感じが夏の終わりにピッタリで。これを帰り道に聴くと「ゾーッ!」ってなります(笑)。

ーー泣いてしまうってことですか?

FUKI:はい(笑)。でもその涙は悲しいわけではなく、“あったかせつない”からなんですよね。語彙力がなくてほんと申し訳ないですけど(笑)、すごくいい曲なのでみなさんも聴いてみてください。

ーーでは最後に、来月の“月刊FUKI”の予告をお願いします。

FUKI:はい。「12 Sweet Stories」の第6弾となる次回は、10月30日“初恋の日”をテーマにした曲になります。曲はこれから作ることになるんですけど、“初恋”にまつわる歌詞は自分的に得意なんじゃないかなとは思っていて。とりあえず9月中にビアガーデンに行って(笑)、いい曲を作りたいと思っておりますので楽しみにしていてください!

(取材・文=もりひでゆき/写真=竹内洋平)

「12 Sweet Stories」インタビュー

・第1弾「KISS.」
FUKIが語る「KISS.」への思いと12カ月連続リリースへの挑戦「大切なのはやっぱり“今”」
・第2弾「Our Love Story」
FUKIが語る、「Our Love Story」で得たものと「12 Sweet Stories」の充実
・第3弾「Long Distance」
FUKI、“遠距離恋愛”テーマの「Long Distance」で挑戦したこと「頑張る勇気を持ってもらえたら」
・第4弾『COVER FOR LOVERS VOL.1』
FUKI×TEE「12 Sweet Stories」特別対談 二人が語る「ベイビー・アイラブユー 」とラブソング観

FUKI「オリオン」

■リリース情報
「オリオン」
発売:9月17日(火)
配信先はこちら

オフィシャルサイト

関連記事