米津玄師「パプリカ」セルフカバー評:幅広い世代を虜にするアレンジャーとしての手腕
サウンド面においても光る点がある。今曲で使用されるキック音と、2番から鳴り出すベース音にしっかりと厚みを持たせている点だ。テレビ放送用にといたずらに低音を削らず、現代の海外の音楽シーンのサウンド感覚にも通ずるような、中域の音を減らして低音に比重を置いた音作りが印象的。つまり、いわゆるベースミュージック的なアプローチを用いながら、日本的な情緒を作り上げるという攻めたアレンジを見せている。
「Lemon」によってシンガーソングライターとしての地位を不動のものにした米津玄師。しかし、本来は曲作りから映像制作、パッケージのデザインまでトータルプロデュースできるマルチなスキルの持ち主でもある。今回の「パプリカ」のリアレンジによって、幅広い世代を虜にできる“アレンジャーとしての米津玄師”の評価も一層進みそうだ。
■荻原 梓
88年生まれ。都内でCDを売りながら『クイック・ジャパン』などに記事を寄稿。
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