MAMAMOO、結束の強さを見せつけたステージ 2度目の来日公演を観て
そんな和やかなムードも、9枚目のミニアルバムの収録曲「My Star」やエキゾチックに迫る「gogobebe -Japanese ver.-」といった最新のナンバーで一転し、客席は一気にヒートアップ。興奮冷めやらぬままにソロコーナーに突入した。「HELLO」(ソラ)、「25」(フィイン)、「Be Calm」(ファサ)と比較的じっくりと聴かせるナンバーが多い中、いちばん印象に残ったのは「SELFISH」で軽やかなラップを響かせたムンビョルだ。アルバム収録のバージョンと違い、ボサノバのテイストを前面に出したライブ向けのアレンジを施し、歌心のあるフロウを十分にアピールした。
童話風アニメーションの上映とコミカルなやりとりで楽しませてくれた彼女たちは、そろそろコンサートの終盤ということで、ファンと一体になれる熱いナンバーを連発する。「あなたより私の方が高い!」とフィインがシャウトしながらスタートした「Taller than You」、4人それぞれの特徴を生かした歌とラップで聴かせる「Um Oh Ah Yeh」、パワフルなR&B「Décalcomanie -Japanese ver.-」など、どの曲も自立した女性の力強さや美しさが感じられ、MAMAMOOがガールクラッシュ(女性が憧れる女性)の代表格と呼ばれる理由がよくわかる。
エレクトロポップやファンク、ディスコをミックスした華やかなサウンドで大ヒットした「Yes I am」をラストに歌いあげ、大盛り上がりを見せた本編はここで終了。アンコールで再び登場した4人は「涙そうそう」(作詞:森山良子/作曲:BEGIN)、韓国でのデビューヒット曲となった「Mr. Ambiguous」、最後にMAMAMOOをトップグループに押し上げた「You're the best」を披露して約2時間のステージを終えた。
曲の途中でいくつかの映像が流れたものの、バックダンサーやゲストもなく、基本は彼女たちの歌とダンスのみ。しかしながら最後まで飽きさせることなく進行できるのは、ひとえに4人のメンバーの実力の高さゆえだろう。またどの曲もいつも以上に胸に響いたのには理由があった。「スタンバイしているときに聞こえてきたファンのみなさんの歓声で泣きそうになったんです。その気持ちに応えて一生懸命歌いました」とステージで語ったファサ。きっと他の3人もそう感じたに違いない。メンバー全員が思いをひとつにして臨んだ今回の公演は、MAMAMOOのキャリアの中でとても大切なものとなるはずだ。
■まつもとたくお
音楽ライター。ニックネームはK-POP番長。『ミュージック・マガジン』や『ジャズ批評』など専門誌を中心に寄稿。ムック『GIRLS K-POP』(シンコー・ミュージック)を監修。K-POP関連の著書・共著もいくつか。LOVE FM『Kore“an”Night』にレギュラーで出演中。