香取慎吾、萩本欽一と久々の共演 二人のタッグから感じたテレビの本質的な役割

 だが、そんなふうにちょっぴりムチャなことをやりながらも、みんなが「楽しい」とつい笑ってしまう。エンターテインメントの世界とは、そうであってほしいと思うのだ。もちろん、多くの人が見るものだからこそ、多方面に気を配る必要はある。だが、気を使いすぎた結果、まるで地雷を避けるだけのようなやりとりでは、ワクワクするのは難しい。

 「欽ちゃんは友だち! 本当はそうじゃないんですけど(笑)。本当はとっても大先輩ですし、友だちっていうと欽ちゃんに褒められると思うんで」と、公式HPの動画インタビューに答えている香取のように、気を配りながらも、気を使いすぎない信頼関係を楽しんでいればこそ、見る人を笑顔にするのではないだろうか。

 そして「ギリギリのお話でも駆けつけますので、また呼んでいただけたら」と、また遊ぶ約束を取り付けるかのように結んだ。さらに、香取はTwitterでこうつぶやいていた。「いつまでも慎吾ちゃんでいさせてください! 欽ちゃんのように」。

 この年齢もキャリアも全く違う、普通に生きていたら知り合うことなどなかったかのようなふたりが、テレビ番組という媒体で出会い、化学反応を起こして、友だちになってしまう奇跡。それはきっと現実社会でも起こりうること。楽しい番組を介して、あるいは好きなコメディアンやアイドルを通じて、新たな友だち(NAKAMA)ができることを私たちは知っている。

 香取と萩本の番組を見ていると、そんなテレビの本質的な役割を再確認させられるようだ。願わくば、こんな番組が今回限りで終わらないことを。また、「いよいよ始まる!」とテレビ画面の前で放送開始時間をワクワクして待つ、バラエティ番組を届けてほしい。

(文=佐藤結衣)

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