BOYS END SWING GIRLのライブから感じたバンドのポテンシャル ツアー最終公演レポ

BOYS END SWING GIRLツアー最終公演レポ

 ここからは、そんな新しいアルバムからの楽曲を中心に展開。彼らがフェイバリットに挙げる、スピッツのポップネスを受け継いだミドルチューン「Goodbye My Love」や、ヘヴィかつ情熱的なイントロから始まる「縋-sugare-」、「僕の部屋で聞いているような気分になってほしい」と、椅子に座ってオーディエンスに語りかけるように歌った「毛布の中で抱き合って」など、様々なタイプの曲が並ぶ。さらに、力強いボーカルが心を揺さぶるアンセム「Wonder Light」や、赤ん坊の鳴き声で始まり心電図の音で終わるという、人の一生をSEで描いた実験的なナンバー「ナニモノ」など、ライブバンドとしての振り幅の大きさを見せつけた。

 「ナニモノ」のエンディングで冨塚、鍔本、白澤が順にステージを後にし、1人残された飯村が同期のリズムに合わせてドラムソロを披露。さらに白澤が加わりベースソロを展開したあと、再びメンバー全員揃ってライブ後半へ。「かかってこい渋谷ー!」と冨塚がシャウトし、「Beasts」、「Boo Let it go!!」そして「SUNNY!!」とアッパーチューンを畳み掛けた。中でも「Boo Let it go!!」は、「世の中、生きていればムカつくことってありますよね? 今日は無礼講です。あなたの嫌いなあのクソッタレに中指立てませんかー?」と冨塚に呼びかけられたオーディエンスが、「Boo!!」をシンガロングして場のボルテージは最高潮に達した。

 「リベラル・セブンティーン」ではサビでタオルを回し、本編最後の「Alright!! ~令和若者讃歌~」では、床が揺れるほどジャンプ。鳴り止まぬアンコールの中、まずは冨塚が1人で登場しピアノの弾き語りによる「クライベイビー」を披露。この日のために3カ月特訓したという心のこもった演奏と、透き通るような彼の歌声に胸を打たれた。そして、今年の冬に新たな音源リリースがあることを発表したあと、インディーズ時代からのレパートリーで、アルバムのタイトルにもなった「フォーエバーヤング」を演奏し、この日の公演をすべて終了した。

 卓越したソングライティング能力と、確かな演奏力に裏打ちされたバラエティ豊かなバンドアレンジ。新人とは思えぬ彼らのポテンシャルを、ひしひしと感じた一夜だった。

(写真=今元秀明)

■黒田隆憲
ライター、カメラマン、DJ。90年代後半にロックバンドCOKEBERRYでメジャー・デビュー。山下達郎の『サンデー・ソングブック』で紹介され話題に。ライターとしては、スタジオワークの経験を活かし、楽器や機材に精通した文章に定評がある。2013年には、世界で唯一の「マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン公認カメラマン」として世界各地で撮影をおこなった。主な共著に『シューゲイザー・ディスクガイド』『ビートルズの遺伝子ディスクガイド』、著著に『プライベート・スタジオ作曲術』『マイ・ブラッディ・ヴァレンタインこそはすべて』『メロディがひらめくとき』など。ブログFacebookTwitter

BOYS END SWING GIRL オフィシャルサイト

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