BUMP OF CHICKEN、UNISON SQUARE GARDEN、RADWIMPS…新作に共通する構造
それを踏まえた上で最後に紹介したいのは、RADWIMPSが7月19日にリリースしたニューアルバム『天気の子』だ。
このアルバムは、新海誠監督作品『天気の子』のために書き下ろされた楽曲が収録されており、映画のサウンドトラックのような位置付けの作品となっている。
RADWIMPSとしての作品というよりも、企画アルバムに近しい存在のアルバムだ。が、ここで強調したいのは、タイアップありきの作品集でありながらも、この作品はRADWIMPSとしての作家性が色濃く出ているということだ。というよりも、RADWIMPSが持つ世界観が、新海誠監督の映画の世界観と共鳴しており、RADWIMPSが作家性を発揮すればするほど、映画の本質と交錯していると言ってもいいかもしれない。
この作品は全31曲中、劇伴は26曲。ゲストボーカルとして三浦透子がマイクを取る作品が2曲あり、普通のアルバムとは構成が大きく違う。そのため、1曲1曲を独立して聴いて楽しめるアルバムになっている。一方で、アルバムを曲順通りに聴くことでRADWIMPSの作家性も堪能することができるようになっている。アルバムの最後に配置されたボーカル曲「大丈夫」が言葉の強いバラードソングであり、アルバム全体を総括するようなメッセージ性の強い作品になっているのも、きっと偶然ではないだろう。
なぜ、この3作品はそういう構造を取っているのだろうか? 戦略的な部分もあるのかもしれないが、それだけではないだろう。おそらく、ここで紹介したバンドは作家性が強く、どういう体裁の作品をリリースしたとしても、自然と自分の表現したいものに引き寄せられていくのだと思う。1曲1曲を独立させることができるアルバムを作ったとしても、アルバムだからこそ描ける“何か”=自己表現を作品の中で行なう。タイアップソングであっても、ベストアルバムであっても、企画アルバムであっても、それが自分たちと紐づいた作品である以上、彼らの作家性を強く感じられるものになるのだろう。
■ロッキン・ライフの中の人
大阪生まれ大阪育ち。ペンネームにあるのは自身が運営するブログ名から。人情派音楽アカウントと標榜しながら、音楽メディアやTwitterなどで音楽テキストを載せてます。