『The Legend of WASUTA』インタビュー
わーすた、“わんだふるYEAR”で得た成長と新章のスタート「他のアイドルの中には埋もれたくない」
わーすたが6月26日にリリースしたミニアルバム『The Legend of WASUTA』は、これまでもグループのイメージを大きく担ってきた、RPGゲームの世界を体現したアルバムだ。2018年4月から「わんだふるYEAR」を掲げ、12カ月連続の新曲発表とアーティストや企業など様々なコラボレーションにより広げた振り幅をさらに壮大にするカラフルな5曲が詰まっている。
そんな新譜の話はもちろんのこと、楽曲制作体制が変わりグループにとって大きな転機を迎えた「わんだふるYEAR」のこと、“世界標準”を標榜するわーすたならではの海外活動のこと、5年目に突入したこれからのこと……、彼女たちにたっぷりと語ってもらった。さらに今回新たに発表になったプロジェクト、10月に行われる代々木公園野外ステージでのフリーライブへ向け、“NEKONOTE BAND”とのスタジオライブを3カ月連続でYouTubeから世界中に発信していくという『わーすた STUDIO LIVE - ゆうめいに、にゃる!!!!! #わーすた1008』についても、その意気込みを聞いた。(冬将軍)
『わんだふるYEAR』で広がった表現の振り幅
ーー『The Legend of WASUTA』はゲームをテーマにしたアルバムになりましたね。
廣川奈々聖(以下、廣川):最初「ゲームのアルバムを作る」となったとき、ピコピコ音が入っていて、アップテンポで、というものを勝手に想像していたんですけど、いい意味で大分違いましたね。ゲームの中に起承転結があるように、5曲の中でそれが表現できている、よくできたいいアルバムになりました。
小玉梨々華(以下、小玉):どの曲も似てないですし、ストーリー仕立てになっているので、ちゃんとアルバムとして楽しんでもらえるものができたと思います。
ーーリード曲「メラにゃイザー!!!!! ~君に、あ・げ・う♪~」ですが、「うるちょこ(うるとらみらくるくるふぁいなるアルティメットチョコびーむ)」、「くらえ!必殺!!ねこパンチ★ ~私達、戦うにゃこたん【レベル5】~」に続く、必殺技シリーズ第三弾であり、「うるちょこ」から始まったトリオくんの物語は今回で完結なんですよね?
松田美里(以下、松田):はい。今回、〈メラニャイザー〉という新しい必殺技ができて、アンドロ魔ん獣をピュアにするという、「ピュアにする=倒す」ということなんですが。それで、途中まで消化しきれていなかったんですけど、最後はトリオくんの養子に迎え入れて幸せに暮らすという形で……完結しました!
廣川:無理矢理辻褄を合わせていくっていう(笑)。
ーー最後、唐突にトリオくんが出てくる(笑)。そんな坂元さんのナレーションで締めくくられますが、完結ということで感慨深いところもあったのではないですか?
坂元葉月(以下、坂元):そうですね、最後の〈おしまい。〉が、音が終わってから言っているので余計に寂しいところはありますが、そもそも「うるちょこ」に続編ができるとは思ってもなかったことなので。「うるちょこ」で初めてストーリーテラーを担当したんですが、あのときは音の中で収めることにすごく苦戦したんですね。でも、今回3回目にもなったので、一発でOKになりまして。……えっと、なんですか、“エラニャイザー”じゃなくて……。
廣川:え? なに? “エラニャイザー”??
坂元:あ、エンジニアさんっ!
一同:(大笑)
坂元:(照)。エンジニアさんにも「プロになったほうがいいんじゃない?」と言ってもらえるレベルまでになったので。今後もしかして、その後の続きのお話があった時も一発OKもらえるように頑張りたいなと思います。
ーーわーすたっぽさが全開ながらも、メロディックな曲調やサウンドは今までになかった荘厳さですよね。このアルバム自体、テーマの統一感はあるものの、これまでやってそうでやってこなかったタイプの曲ばかりですね。
廣川:今までいろんな楽曲にチャレンジして来たんですけど、今回もまた歌ってこなかった楽曲が増えましたね。
ーー新しい作家さんの曲もあったり。sasakure.UKさんの「アンバランス・アンサーズ」は歌うのが難しそうな曲ですが。
三品瑠香(以下、三品):これ、難しかったですねぇ~。とにかく譜割が大変で。私、早口が苦手なので、かなり頑張りました。歌詞も、どうにもできないことがたくさんある世界の中でも自分を持って飛び出していこう、という旅立ちの曲になっているので、とにかくカッコよく歌いました。
ーー聴きどころはどこですか?
三品:いちばん気合い入れて歌ったところは、落ちサビの〈ワールド イズ スタンバイ~〉っていう部分ですね。
ーー“三品節”が炸裂するところですね。
三品:それ、ほんとによく言われるんですよっ! レコーディングの時も「ここは、“三品節”で」って(笑)。
廣川:この曲、めっちゃ“三品節”がいい!
ーー独特のシャクり方とか、シャウト混じりに歌うのがめちゃくちゃカッコいいんですよね。意識してやってるわけではないんですか?
三品:何も考えずに歌った時が“三品節”ですね。勢いのままに歌うのがそれです。
ーー他のみなさんはどうですか? この曲に関して。
廣川:ゲームっぽいサウンドでボカロっぽくもあるから、無機質に歌いつつも、この歌詞の想いや世界観に寄せて歌うことがすごく難しくて。「無感情に感情を出す」というか、単純に感情を出せば良いという曲ではないから。
松田:私は昔からボカロが大好きで聴いていたので、この曲は最初に1回聴いただけで早く歌いたいと思いました。サビの〈1ターンで世界は変わらないけど〉、「~けど」という言葉をつけながらも〈世界を駆け巡ろうぜ〉 〈世界を振り回そうぜ〉という強い気持ちで立ち向かっていく……こういう歌詞も大好きだし、無機質な感じで歌うこともわりと好きだったので、歌いやすかったです。だから瑠香とは全然違うんですけど、あまり気張らずというか、深く考えずに好きなように気持ちのまま歌えたかな。すんなり歌えた感じはあります。
ーー無機質とはまた違うテイストですが、「誰も悪くない」もクールな歌が映える曲ですよね。
三品:おしゃれっぽくカッコ良く歌うけど、歌詞はよくわからないという(笑)。
小玉:「真剣にふざけてる」というのがぴったりな曲だと思います。曲中に敵の魔王が出てくるんですけど、そのセリフに、悪役ながらもいろんなことを考えていたり、魔王自身もいろいろなことと戦っているんだっていう、ちょっと深いメッセージも込められていて。歌詞はふざけてるんですけど、曲自体はカッコいいというギャップ。そして、ちゃんとメッセージ性、伝えたい思いもしっかりとある……というのはわーすたの楽曲には結構多いんです。私はこのアルバムの中でいちばん好きな曲ですね。
ーーこういう歌い方もできるようになったんだなぁ、と思ったんですよ。「大人っぽい」というだけではない表現力というか、言葉に表情があるとでもいうか、艶がある。
三品:「わんだふるYEAR」で、12カ月連続で新曲発表をしていった中、本当にいろんなジャンルの曲を歌わせてもらって。メンバーそれぞれが表現力含めていろいろ成長できた1年だったので、今この曲を出してそういう風に思ってもらえるのなら、やって来てよかったなぁと思います。
ーーやっぱり「わんだふるYEAR」は、わーすたにとって大きな1年でしたか?
小玉:曲がメンバーの成長を引っ張ってくれたというか。いろんなチャレンジをさせていただける機会もいっぱいあって。多くの経験をして、着実に成長できたなと自分たちでも思える1年でした。
ーーその成長によって、変わったことはありました?
松田:自分たちのやりたいことに対する想いがより明確になりました。正直、「期待に応えなきゃ」という気持ち、プレッシャーが重かったこともあったんです。でも、終わってみると、この1年でやってきたことは何も間違いではなかったし、「もっとこうしたいな」「こういう景色が見たいな」という目標も新たにできるようになりました。「振り幅が広がった」っていう言い方がぴったりだと思います。