ライカエジソン、Brand X、ZEAL LINK…V系専門CDショップが相次いで閉店 思い出を振り返る

バンドマンからもファンからも愛され続けた「ZEAL LINK」

 先月末に渋谷店が営業終了となったばかりのZEAL LINK。高田馬場、名古屋、渋谷と3店舗が相次いで営業終了し、残るは大阪店のみとなった。渋谷店の最終日には店舗ロゴの入った巨大フラッグが感謝のメッセージで埋め尽くされ、バンドマンを含む関係者からはたくさんの花が贈られた。というのも、ZEAL LINKはたくさんの愛に満ちたCDショップだったのだ。ZEAL LINKはCDショップのみでなく、注目のバンドや若手バンドを中心とした全国ツアーの主催も行なっており、まだ知名度の低いバンドが、そのツアーから注目されることも少なくなかった。ライブ会場ではCDの即売会や握手会などを頻繁に開催し、まさに“バンドとファンとの架け橋”のような存在だった。

 さらに、ZEAL LINKの名物と言えば、愛に溢れた長文POP。ときには両手を広げても収まらないほどのサイズのPOPに、バンドや楽曲の魅力がぎっしりと書かれていて、それを見るために店舗へ足を運ぶのも惜しくないほどの完成度だった。また、先に記述したライカエジソン原宿店とBrand Xが即日閉店だったのに対して、ZEAL LINKは閉店の5日前に告知。残りの営業日で来店客への感謝を込めた閉店セールを行なうなど、店舗からヴィジュアル系シーンへの愛も感じられる最後だった。このような愛に溢れる店舗が消えたことは、「残念」の一言では片づけられない痛手だろう。

 メンバーと直接話せるインストアイベントはもちろん、CDを買いに行くワクワク感、店舗スタッフとの触れ合い、見応えのあるPOP……路面店は、サブスクリプションやダウンロードなどの音楽配信サービスでは得られない、生の体験を私たちに与えてくれる。今回の閉店ラッシュを受けても、都内にはライカエジソン東京店、自主盤倶楽部、littleHEARTS.が残り、fiveStars(名古屋市)、MAGICAL SQUARE(広島市)、SKULL ROSE(福岡市)などの専門店も各地域にある。ヴィジュアル系シーンの財産とも言える、店舗ごとに特色のある専門店に今後も足を運んでいきたい。

■南 明歩
ヴィジュアル系を聴いて育った平成生まれのライター。埼玉県出身。

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