小田和正のアンコールはいつまでも続いていく 『ENCORE!! ENCORE!!』横浜アリーナ公演レポ

古希とは思えない、エネルギッシュさとハイトーン

「知っている曲があったら積極的に、でも隣の人に迷惑がかかるほど大声では歌わないようにしながら、楽しんでほしいと思います」

 そう観客に投げかけた小田。全29曲のセットリストには、「言葉にできない」を始め、「Yes-No」や「YES-YES-YES」など、オフコース時代の楽曲も多数含まれていて、オフコースをリアルタイムで体験している40~50代のファンを中心に、会場からは大合唱が響き渡る。

 ソロになって以降の楽曲は、「ラブ・ストーリーは突然に」を始め、「こころ」や「キラキラ」「今日もどこかで」、最新シングル収録の「会いに行く」など、90年代以降の代表曲がピックアップされていた。令和という新しい時代になって始まったこのツアーで、昭和と平成を懐かしみながら、そしてまた令和を共に歩もうという、小田の思いが込められていたように思う。

 曲によってアコースティックギターとエレキギターを持ち替えて、ときにはピアノを弾きながら歌う小田。ひとたびハンドマイクを持てば、とにかく走り回る。右へ左へと、360度を埋め尽くす観客の元に走って駆けつけ、まったく息切れすることなく透明感のある美しいハイトーンを響かせた。古希とは思えないエネルギッシュさには、とにかく驚かされる。

 「ダイジョウブ」を歌った際には、観客一人ひとりの笑顔を確かめるように、ゆっくりと歩きながらファンの歌声に聴き入った小田。〈きっと ダイジョウブ〉という小田からの優しいエールは、横浜アリーナを抱きしめるような大きさで観客を包み込んだ。

「追加公演をやると聞くと、昔は、そんなのは最初からやることが決まっていたんだろうと散々悪口を言ってきました。でもこうして実際に追加公演をやることになって、“そういうこともあるんだな”と、反省しております(笑)」

 そうユーモアたっぷりに、このツアーについて語った小田。同ツアーは、福岡、三重……と続き、7月に愛媛でファイナルを迎える。ファイナルを迎えたそのとき、小田は、今度は何を思うのか? 小田のことだから、さらに追加公演をやるということはきっとないだろう。でも、求められればどこへでも飛んで行き、歌で聴く人の肩を優しく抱きしめるはずだ。求められ続ける限り、小田和正のアンコールはいつまでも続いていく。

(写真=菊地英二)

■榑林史章
「THE BEST☆HIT」の編集を経て音楽ライターに。オールジャンルに対応し、これまでにインタビューした本数は、延べ4,000本以上。日本工学院専門学校ミュージックカレッジで講師も務めている。

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小田和正 オフィシャルサイト

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