The Vocodersとはどんな新バンドなのか? POLYSICSとの違いをライブから考察
2019年のPOLYSICSは、POLYSICS(以下、ポリ)とThe Vocoders(以下、ヴォコ)の2つのバンドとして活動していくことがアナウンスされたのが2月3日。ニューシングル『Part of me』を、4月3日にポリとヴォコで同時に配信リリース。もともとヴォコは、2018年10月13日(TOISUの日)に、ポリが下北沢四会場で行った単独サーキットフェス『TOISU IN JAPAN FESTIVAL in下北』のうちの、風知空知ライブを行った時の形態、というか新バンドだったが、ハヤシ曰く「なんか意外と評判よかったから、じゃあちゃんとやろうかと思って」こうなった、とのこと。
そしてポリは3月30日代々木Zher the ZOOから、ヴォコは3月24日名古屋のイベント『IMAIKE GO NOW 2019』への出演から、ツアーがスタート。同じハコで2日続けてそれぞれのユニットでやる、というのではなく、別日程・別会場でツアーが組まれており、ポリは通常のライブハウス、ヴォコは“世界唯一のカフェテクノグループ”と名乗っているだけあって名古屋BL cafeとか仙台カフェ・モーツァルトというような会場を7カ所回る。
ただし、東京の3月29日Zher the ZOO YOYOGIはいわゆるライブハウス、そしてここだけ翌日にPOLYSICSがライブをやるスケジュールになっている。Zher the ZOOの14周年企画で何かやってほしいと依頼を受けたのでこうなったらしい。ともあれ、ツアー3本目で「TOISUの日」から数えると4回目になるヴォコのライブに足を運んだ。以下、どんなライブをやる新バンドなのか、この日のライブからわかったことを、箇条書きにしていきます。
スタイル
メンバーは写真のような出で立ちで横一列に着席してプレイ、お客さんも着席して鑑賞、というのがヴォコのライブのスタイル。この日は会場がライブハウスなので、フロアの3分の2くらいがイス席でその後ろは立ち見客でびっしり、という状態だった。
MC
この日演奏されたのはアンコール(1回、1曲)を含め全13曲。という少なめの曲数だったが、全体の尺は1時間40分くらいあった。そう、しゃべるのです、ポリと違って。ポリはもうとにかく立て続けに曲をやる(フェスなどでは頭から最後まで曲間なしのノンストップのこともある)のでライブでMCは少なめだが、ヴォコは1曲ごとに、あるいは2曲ごとにMCを入れる。アンコールでのしゃべりまで数えると全部で9回MCが入った。そんなに入れるとダレるんじゃないかと思うむきもあろうが、おもしろいのだ、これが。基本ハヤシ&フミがAMラジオ深夜放送ノリでしゃべりまくり、たまにヤノとナカムラリョウが振られる、という構成。ハヤシが天然ボケしてもヤノが会話を明後日の方向に持って行っても、軌道修正やツッコミ、ツッコミのフリした解説で、すべて笑いにつなげていくフミちゃんの巧みさに唸りました。
セットリスト
その13曲の内訳。ポリの曲をリアレンジしたものが10曲で、あとはDEVO「JERKIN’ BACK’N’ FORTH」のカバーとヴォコの配信シングルの「Part of me」と「Mandolin Girl」。まずポリの曲のリアレンジだが、1曲目がライブでやるのは2010年3月15日の日本武道館以来9年ぶりだという「BLACK OUT FALL OUT」だったことが象徴的なように、普段のポリのライブではなかなか舞台にかけられない曲がヴォコならできるんだな、ということがわかるセットリストになっている。ハヤシもそんな内容のMCをしていた。