TWICE、日本における圧倒的支持の要因は“共感”と“期待感”? 『情熱大陸』から考える
番組は日本人メンバーがスカウトされたという場所にも訪れる。大阪の地下街、百貨店の地下食料品売り場など、誰もが行くような普通のところで声をかけられたのがすべての始まりとなったのだ。「こんなに夢が現実になるとは考えてもみなかった」(サナ)、「人生何があるか分からないって身をもって言えます」(ミナ)というコメントは、歌手を目指す同世代の人たちにとって大きな励みとなったに違いない。また、YouTubeで公開したダンス動画がきっかけでチャンスをつかんだモモが、「今までずっとお姉ちゃんについて行く感じやったから、ひとりで何かするとかなかったから……」と自然体で語る姿も、多くの人が「自分と同じようなタイプだったんだ」と親しみを覚えたはずだ。
TWICEが今までのガールズグループと決定的に違う点はここにある。自分と変わらないんだと思わせる“共感”と、自分もいつか彼女たちのような存在になれるかもという“期待感”。この2つがあったからこそ、圧倒的な支持を得たのではないか。ビジュアルやサウンド、ダンスの良さなど売れる要素はたくさんあったものの、プラスアルファとなる何かがなければ、ここまでの成功を収めることはできなかったと思う。“共感”と“期待感”という要素がある限り、TWICEの快進撃はまだまだ続くだろう。
この1、2年の間にK-POPは新たなフェーズに突入した。TWICEの日本進出を皮切りに、IZ*ONEの日韓でのブレイク、そしてAKB48で活動してきた竹内美宥と高橋朱里が韓国で再デビューしようとしている。日本人が活路を求めて韓国に渡るようになった現在、TWICEが果たした役割・成果が再びクローズアップされつつある。
■まつもとたくお
音楽ライター。ニックネームはK-POP番長。『ミュージック・マガジン』や『ジャズ批評』など専門誌を中心に寄稿。ムック『GIRLS K-POP』(シンコー・ミュージック)を監修。K-POP関連の著書・共著もいくつか。LOVE FM『Kore“an”Night』にレギュラーで出演中。