アルバム『君に会いに』インタビュー
むぎ(猫)が語る、メジャーデビューと音楽活動への思い 「やさしい気持ちにさせたい」
むぎ(猫)の新しい音楽を表現
ーーそんなむぎさんのメジャー1stアルバム『君に会いに』ですが、作るにあたってはテーマやストーリーなど何か考えましたか?
むぎ(猫):事前の構想は特になかったんですけど、できあがって通して聴いたときに思ったのは、今いる場所からどこかを目指して行く曲が多いなと思いました。たとえば表題曲の「君に会いに」がそうだし、「ギフテッド」という曲も〈このまま遠く知らない場所へ〉という歌い出しから始まります。「四輪駆動の飛び出し坊や」もそうだし、「流れ星」は、流れ星を追いかけていこうという曲です。自分の深層心理が表れているじゃないけど、メジャーデビューする気持ちもあって、新しい気持ちでやっていこうという自分の意気込みが、自然に出ているのかもしれないですね。自分を奮い立たせるじゃないけど、自分に向けて歌っている部分もあると思いました。
ーー表題曲「君に会いに」は、遠くの君に会いに行くという前向きさに溢れた、軽快なビートの楽曲。木琴のソロもあって、むぎさんの魅力が凝縮されている。MVではサビで“恋ダンス”のような、キャッチーなダンスも披露されていますね。
むぎ(猫):初めてプロの方に振り付けを付けていただいたことで、自分では思いつかなかったものがむぎの世界に入って、むぎとしても新鮮な気持ちでした。小さいお子さんが、“むぎダンス”をマネして踊ってくれたらうれしいですね。MVにはメロンソーダが出てくるんですけど、撮影現場に行ったら発注ミスでただの透明な炭酸水が用意されていたということがあって焦りました(笑)。そういうハプニングも含めて、MV撮影は楽しかったです。
ーー「CとDと」という曲は、加山雄三ばりのセリフも入った、ちょっと懐かしい感じがするポップソングです。
むぎ(猫):「AとBと」という曲もあって、それは8ビートのリズムに乗せて、「AもBも両方選んじゃいなよ!」と歌った曲でした。「CとDと」はその続編で、ラブソングになっています。タイトルの読みは「シーとデート」、つまり彼女とデートという意味の語呂合わせです。タイトルにちなんで、歌詞には〈Cute & Danger〉や〈Crazy Desire〉など、頭文字がCとDの言葉がたくさん出てきます。実はイントロのコードも、CとDで始まるんですよ。たまたまコードが曲と合っていたので、遊びで入れてみました。ギターでコピーしてくれたら、気づくんじゃないかな。家で何気なく弾いて「あ、これCとDじゃん!」って。
ーーじゃあ、次回は「EとFと」ですね。
むぎ(猫):むぎもそう思って考えてはいるんですけど、「EとFと」はいくらひねり出しても、まったく語呂合わせが浮かばなくて。何か思いついた方は、ぜひご一報ください(笑)。
ーーアルバム『君に会いに』の収録曲で、ぜひ聴いてほしい曲はどれですか?
むぎ(猫):もちろん全部聴いてほしいんですけど……インディーズで出した1枚目のアルバム『天国かもしれない』は、むぎが天国から帰ったストーリーを交えた自己紹介的なものになっていて。それがあったからこそこのアルバムは、音楽的にも歌詞的にも自由に作ることができたと思っています。それがよく表れていると思うのが「夢から醒めた夢」や「流れ星」で、むぎの新しい音楽が表現されているのでぜひ聴いてほしいです。
ーー「流れ星」は、クラシックっぽいイントロから始まるアッパーの楽曲で、歌詞も前向きで力強いですね。
むぎ(猫):「むぎはオスだぞ!」という気持ちで、勢いを付けて作りました。すでにライブでも歌っていて、お客さんはタオルを回して盛り上がってくれています。もともとタオルを回してほしいと思って作った曲で、歌詞に出てくる〈闇に螺旋の輪を描け〉や〈空を切る緑の光〉は、むぎのグッズのタオルが緑色なので、そのタオルを回してくれている様子をイメージしました。昨年いろいろなフェスに出させていただいたときに、「フェスでみんなが参加して楽しめる曲があったらいいな」と思ったのが、この曲を作ったきっかけでした。
ーーパンクロックの「四輪駆動の飛び出し坊や」という曲もありますが、もともとどんな音楽から影響を受けているんでしょうか?
むぎ(猫):カイヌシが聴いている音楽をむぎも聴くのですが、カイヌシは、最初にお話したように6歳からピアノを習っていて、クラシックをやりつつもJ-POPやロックも普通に聴いていたみたいです。最初に買った“レコード”はチェッカーズで、小学生のときにはTHE BLUE HEARTSのファンクラブに入っていたそうです。
ーーカイヌシさんの世代が、ちょっとわかりました(笑)。これらの楽曲の曲作りは、どうやっているんでしょうか?
むぎ(猫):ひと節ごとにメロディを鼻歌で歌ってレコーダーに録りためておいて、あとでそれをまとめる形です。レコーディングはむぎとカイヌシの共同作業で、宅録でやっています。おうちにドラムセットとギターもあって、打ち込みのドラムの曲もありますけど、「るすばん天国」は、むぎがドラムを叩きました。ただベースはカイヌシもむぎも弾けないので、シンセベースを使っています。
ーー録音機材も揃っているんですね。
むぎ(猫):大したものではないですが、マイクや楽器をデジタルレコーダーに繋いで録って、それをMacに移してGarageBandで編集していますね。今回のアルバムは、さすがにメジャーデビューですから、ミックスとマスタリングをお友だちのエンジニアさんにお願いをしました。