MAMAMOO、さらなる飛躍を予感させる熱いステージ 日本ショーケースライブを観て

 K-POPガールズグループの中でも実力派として評価されるMAMAMOO(ママム)が2019年2月6日、Zepp Tokyoで単独ライブ『MAMAMOO SHOWCASE LIVE TOUR IN JAPAN “BACK STAGE!”』を行った。この公演は彼女たちにとって日本メジャーデビュー後2回目となるツアーのひとつであり、開催当日は待望の日本2ndシングル『Wind flower -Japanese ver.-』のCD発売および配信もスタート。そのせいか、会場は開演前から祝福ムードに包まれていた。


 定刻通りにライブが始まると、グループをサポートするマスコットキャラクター“ムP”が映像で登場。コミカルなトークで場を盛り上げた後、楽屋からエントランス付近を通り抜けステージに向かう4人のメンバー(ソラ、ムンビョル、フィイン、ファサ)が映し出されると歓声がわきあがる。1曲目は日本デビューシングル曲「Décalcomanie -Japanese ver.-」。満を持して登場したMAMAMOOは、日本のファンと再会できた喜びをかみしめるように伸びやかな歌声を響かせた。

 マライア・キャリーやホイットニー・ヒューストンを彷彿とさせるパワフルな歌唱とガールクラッシュ(女性が憧れる女性)の魅力で幅広いファン層を獲得した彼女たち。2014年の登場以来、数々の名曲を生んできたが、その中でも2016年に韓国でリリースした「Décalcomanie」は、グループの個性をフルに発揮した作品として特に人気が高い。同曲を日本語でリメイクした「Décalcomanie -Japanese ver.-」は、オリジナルに負けず劣らずのゴージャスな仕上がりになっており、ライブの幕開けにふさわしいナンバーだ。

 続けて披露したのは「You Don’t Know Me」。ハウスのリズムが心地良いダンスポップで、日本デビューシングルのカップリングとして日本のファンにはおなじみの1曲である。そして間髪を入れずに歌い始めたのが、待望の日本2ndシングル曲「Wind flower -Japanese ver.-」だ。レトロソウルと呼ばれる、古き良き時代のソウルミュージックを現代風に解釈したサウンドが世界的なトレンドになって久しいが、MAMAMOOもその流れに乗って注目を集めるようになった。今まで以上にレトロソウル色が強い同曲は、グループ本来の持ち味をあらためて認識させてくれる。

 4人の華やかなパフォーマンスで客席の興奮が冷めやらぬ中、本公演の目玉のひとつであるトークコーナーへ。ステージにはソファやついたて、ステージ衣装をかけたハンガーラックなどが置かれ、その中でメンバーが本番中にもかかわらずリラックスしている。今回のツアーのタイトルになっている“バックステージ”そのものだ。


 ここで再びムPが進行役として登場。「これまでの楽屋のケータリングでどんな料理がおいしかった?」という質問に、ファサが「今日食べた日韓フュージョン料理。本当に幸せでした」と答え、「楽屋に入って最初にすることは何?」と聞かれると、フィインが「食べ物を見つけること!」と即答して笑わせるなど、K-POPのガールズグループではめずらしいユニークなやりとりが続き、会場内はすっかり和やかなムードに。最後の質問「日本語の曲で影響を受けたのは?」に対して、ソラが夏川りみの「涙そうそう」をあげてワンフレーズを歌ったのをきっかけに、ステージは歌とダンスのコーナーに移行した。

 あらためてフルバージョンの「涙そうそう」を4人でしっとりと歌い上げ、ミディアムテンポのR&B「Sleep Talk」(『Wind flower -Japanese ver.-』に収録)ではラストに向けてテンションを高めに切り替える。その後も「楽屋探訪記」と題した映像の公開や、先ほどと同じ楽屋セットの中でのライブにまつわるトークなど、サービス満点の演出が続いていく。

 単独ライブもいよいよ終盤に突入。ミラーボールが光り輝く中、「I Miss You」「No more drama」「Starry Night」「Egotistic」といった韓国の人気曲を披露。観客との間に一体感が生まれたものの、名残惜しそうにステージを降りるメンバーたち。だが公演はここで終わらなかった。アンコールを受けて再び登場したMAMAMOOは、ヒット曲「Um Oh Ah Yeh」と「Yes I Am」を楽しそうに歌いながらステージを動き回る。覚えたばかりの日本語「それなー、それなー」を連発するソラ、身に着けていたタオルを客席に投げ込んで盛り上げるムンビョル、「トーキョー愛してる!」と叫ぶフィイン、「お疲れちゃん!」と笑うファサなど4者4様の動きにファンも熱い声援で応えた。


 そして観客全員が「ママムが輝く夜、ムム(ファンの愛称)は幸せだよ」というハングルでメッセージを記した紙をメンバーたちに見せるというサプライズを最後に、多幸感でいっぱいの約2時間のライブは終了した。歌だけでなくメンバーの素顔にも触れることができた充実した内容に、会場を訪れた人たちは誰もが満足したことだろう。

(写真=KWON JJEARY)

■まつもとたくお
音楽ライター。ニックネームはK-POP番長。『ミュージック・マガジン』や『ジャズ批評』など専門誌を中心に寄稿。ムック『GIRLS K-POP』(シンコー・ミュージック)を監修。K-POP関連の著書・共著もいくつか。LOVE FM『Kore“an”Night』にレギュラーで出演中。

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