ソニーミュージック×JYP、「Nizi Project」始動 国内8都市&LA、ハワイでオーディション開催
2019年2月7日、ソニーミュージックエンタテインメント本社にて宇多田ヒカルや乃木坂46が所属するソニーミュージックエンタテインメントと、2PMやTWICE、GOT7などが所属する韓国の大手芸能事務所・JYPエンターテインメントの合同記者会見が行われた。
壇上にてソニーミュージックエンタテインメント取締役コーポレートEVP兼ソニーミュージックレーベルズ代表取締役会長の村松俊亮氏とJYPエンターテインメントCEOのチョン・ウク氏との間で調印が行われた後、今回のプロジェクトのメインプロデューサーであるJYPエンターテインメントCCOのパク・ジニョン氏からプロジェクトの概要について説明があった。プロジェクト名は「Nizi Project(ニジプロジェクト)」。「虹のように様々なカラーの人材を探して美しい光を放つことを目標としている」からとのことだ。
2019年5月1日から日本国内8都市(札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡・沖縄)にアメリカのLAとハワイを加えた10都市でオーディションを開催、パク・ジニョン氏自身が直々に各都市に赴くという。最終的にデビュー予備軍として選考された20名が東京に集められ、2019年10月からデビューサバイバル番組を放送予定。デビューが決定したメンバーは韓国のJYP本社にて6カ月に渡りトレーニングを受け、その様子も2020年4月からデビューリアリティ番組として放送される。
応募資格は満15歳〜22歳で2019年3月時点で義務教育を終えていること、国籍は不問だが、「日本語でのコミュニケーションをとれること」という条件がある。日本語が必須である理由として、パク・ジニョン氏は「異なる文化や異なる言語からくる齟齬をなくしたい」と語っていた。そもそもこの計画はパク・ジニョン氏が2018年に発表した「JYP2.0」の中での「Globalization By Localization」の第3段階「海外で人材を育成し輩出する」の一環であり、すでに中国では中国内のTV番組を通してスカウティングを行ったBOY STORYがデビュー済みだ。日本での同プロジェクト進行にあたり、2PMやGOT7での日本活動で関係の深いソニーミュージックとパートナーシップを組むということだろう。最終的にはグローバル展開を目標に、一般会話程度の英語教育もカリキュラムに取り入れる予定だそうだが、基本的にはローカライズがベースにある。「日本のアイドルを韓国のトレー二ング方式で育成するスタイル」であると同時に「グローバルな活躍を目標とした韓国のトレーニング&育成方法と、選考過程からデビューまでの成長過程を公開してファンの共感を得るという日本のマネージメントスタイルのハイブリッド」を目的としたプログラムと言えるだろう。
パク・ジニョン氏は以前『日経エンタテインメント!』2011年10月号の小室哲哉との対談でも、日本文化が韓国内では希少だった時代からなんとか様々な手段を使って当時の日本の音楽を聴いており、多くの影響を受けたと語っている。今回のプレゼンテーションも質疑応答以外は全て日本語で行なっており(プレゼンテーションに有用な日本語を中心に集中的に学んだとのこと)、このプロジェクトへの力の入れ方が感じられた。
本プロジェクトから誕生したグループは、2020年11月に株式会社ソニーミュージックレーベルズからデビューを予定しているとのことだ。K-POPという異文化の輸入を超えて、ビジネススタイル自体の輸入という新たな成功例となるのかどうかが注目される。
(文=DJ泡沫)