シングル『#film』インタビュー
吉田凜音、初の作詞作曲で深まった音楽への解釈 「Fukaseさんとだったからこそ折れずにやれた」
吉田凜音が、2月13日にニューシングル『#film』をリリースする。表題曲の「#film」は、自身とも重なる卒業を彷彿とさせる楽曲で、吉田凜音が初めて作詞作曲に挑戦。さらに、同曲はSEKAI NO OWARIのFukaseからアドバイスを得ながら制作した楽曲だという。今回のインタビューではそのFukaseとのやりとりの中で感じた楽曲への解釈や音楽への面白さを聞くことができた。(編集部)
歌がもっと好きになった
ーー新曲「#film」は、ほのかにノスタルジーが漂う、淡くてやさしい卒業ソングですが、今回は初めて作詞作曲に挑戦されたそうですね。
吉田:作詞作曲は昔からやりたいと思っていたんですけど、曲の作り方とか詞の書き方とかがわからないままでいたので、なかなか実現できずにいたんです。
ーー今回は、「作詞作曲を自分でやってみよう」というところから曲作りがスタートしたんですか?
吉田:2018年にSEKAI NO OWARIさん主催の『clubEARTH 12th Anniversary』に呼んでいただいたときにFukaseさんと初めてお会いして。そのときにFukaseさんが「一緒に曲を作らない?」って声を掛けてくださったんです。「僕が作詞作曲の仕方をアドバイスしてあげるよ」という感じだったので、「ぜひ!」とお願いしました。
ーーそこからFukaseさんに助言してもらいながら作詞作曲を始めてみた。
吉田:まずはフリーのトラックにリリックを乗せて自分でラップしてみたものをFukaseさんに送ってアドバイスをいただいて、そこを改善していくっていうのを何回か繰り返していきました。
ーーFukaseさんからはどんなアドバイスをもらったんですか?
吉田:私は楽器が弾けないのでアレンジャーさんに私の口から「こういう音で、こうしてほしい」っていうのを伝えて曲に落としてもらって、それを聞いてもらい、トラックのベースラインを変えた方がいいとか、シンセを入れた方がいいとか。あとは、サビをアタマに持ってきた方がいいんじゃないかとか、ここのサビを減らした方がいいとか増やした方がいいとか、曲の構成もアドバイスしてもらいました。
ーーリリックに対してアドバイスは?
吉田:リリックはノータッチでしたね。「いい感じじゃん!」とか「いい気がするー」とか、そういう感じで。
ーーダメ出しもナシ?
吉田:いい感じに厳しかったですけど、私のことを第一に考えてくださって、「俺はこれがいいと思うけど、でも凜音ちゃんが考えて」みたいなスタンスだったんです。「人に任せないで自分で考えてやりたいようにやりなさい」っていう。Fukaseさんだったからこそ、途中で「もう無理です」って折れないでやれたと思います。本当に素敵な人に教わることができたので、すごく楽しく作詞作曲ができました。
ーー作詞作曲をやってみて、いちばん勉強になったことは?
吉田:アドバイスをもらいながら音も1個1個作っていったから、小さな音でもノリに必要だったり、小さな音でもリリックをハメていくと気持ちよかったりすることに気付けたんです。なので、私が作詞作曲していない曲も、小さな音を聞くようになったし、音にハメて気持ちいい感じがよりわかるようになって。
ーー「あ、ここはこうなってたんだ」みたいな。
吉田:そうです。今回の「#film」の作業を通して、楽曲の解釈が深まったし、ライブでダンスをつくるときも小さな音を拾うようになって、ビートの解釈も広がって。なにより歌がもっと好きになりました。
ーーそもそも「#film」は、どんなテーマで書き始めたんですか?
吉田:今回は、女の子同士の曲を書きたかったんです。私ともうひとりの女の子の話にしたくて。女の子の儚さだったり、季節感、曲を聴きながら風景を思い出せるようなリリックにしたかったんです。
ーー「卒業」というテーマは念頭にあったんですか?
吉田:卒業というテーマは考えずに書き始めたんですけど、書いてたら、冬っぽくて、ちょっと切ない感じだけど未来も見ているような前向きな曲になってきて、「あ、卒業っぽさもあるな」っていう曲ができあがったっていう感じです。
ーーご自身もこの春に高校を卒業だから、自分の感情が知らず知らずのうちにペンに伝わっていたのかもしれないですね。
吉田:そうですね。「高校生」っていうことを大切にしたいなと思っていた2018年だったので、自然と出てきたのかなって思います。
ーーリリックで特に思い入れの強いフレーズや自慢のフレーズはありますか?
吉田:えー、自慢のフレーズですか? 自慢じゃないけど、ラップ部分は歌ってて気持ちいい感じはありますね。
ーーラップパートだと、ファーストバースの終わりの〈カーテンの隙間 覗き込むと/朝が来たんだなって感じた〉という歌詞に青春を感じました。学生の頃って、特に何をするわけでもないけど夜更かしをして朝を迎えることがよくあるじゃないですか。
吉田:そうですね。
ーー大人になると、「明日は早いから早く寝なきゃ」みたいになるけど(笑)。
吉田:うんうん(笑)。私も、自然と朝が来ちゃったなっていうイメージで書きました。夜、遊びに出掛けて、お店とかにいて光が差してくることもあるだろうし。部屋の中で女の子と他愛もないおしゃべりをしていて、外に出たら「朝じゃん!」みたいな。そういうイメージで書いたんです。
ーー地元の札幌を離れて、東京で高校生活を送っていましたが、振り返るとどのようなことをいちばんに思い出しますか?
吉田:私服と制服、両方OKな学校だったんですけど、制服着てきたら負け、みたいなところがあって。制服は何を着てもいいんですけど、着ていくとすごい目で見られるんですよ。だから、なかなか制服を着ていく機会がなくて。自分はJKなのか? と思うときがすごくあるんですけど、そのぶん頑張って外で制服着てました。制服を着てディズニーランドに行ったり、タピオカ飲んでプリクラ撮ったり。私なりのJKを3年間楽しめてたんじゃないかと思います。
ーー制服にはやっぱり憧れが強かったんですか?
吉田:制服を着ると「JKだ! 無敵だぜ!」みたいな感じが出てくるんですよね。憧れが強いかもしれないですけど。なので、特別な日というか、はっちゃけようぜ! みたいなときは友達同士、制服を着て集まって遊んでました。
ーー高校生活でコレをやれなくて悔しい、っていうのはありますか?
吉田:指定の制服がある学校だと、朝起きて、制服に着替えて、遅刻をしたら先生に怒られてっていう。そんな日常が羨ましかったですね。自由な学校だったんで、何していてもOKみたいなところがあって。もはや先生に怒られたいって思うくらい。スカートの丈が長いとか、校則に縛られたかったです(笑)。