『オンゲキ』音楽スタッフインタビュー ゲームと声優&アニメ文化を融合させた新たな挑戦

『オンゲキ』音楽スタッフインタビュー ゲームと声優&アニメ文化を融合させた新たな挑戦

 昨年夏に稼働を開始したアーケードゲーム『オンゲキ』から、『ONGEKI Vocal Collection 01』『ONGEKI Vocal Collection 02』に続き、アルバム『ONGEKI Sound Collection 01「Jump!! Jump!! Jump!!」』登場。既存の人気曲で遊ぶのではなく、あくまでもオリジナル曲で、キャラクターや声優の声の魅力と共に遊んでもらうことを主としたこのシリーズは、キャラクタービジネスが百花繚乱の時代で、どこを目指しているのか? SEGAの音楽チーム総合ディレクター小早川賢氏、キャラクター設定・監修の武田円氏、KADOKAWAの水鳥智栄子氏という、『オンゲキ』のキャラクターと音楽制作に関わる三者に、『オンゲキ』が贈る音楽の魅力について聞いた。(榑林史章)

ゲームユーザーと声優ファンの融合に新たなバリューがある

ーーでは最初に、それぞれどういったポジションなのか教えてください。

水鳥:KADOKAWA音楽制作課の水鳥です。『オンゲキ』では、オリジナルキャラクターソングのディレクションとプロデュースを手がけております。

小早川:主にゲーム制作の総責任者をしていて、世間的にはプロデューサーに近い形で関わっています。今回のお話をする以前、僕らも音楽ゲーム制作チームとして多くの曲を作ってきましたが、実は音源の展開について色々と課題を抱えておりまして、パブリッシングの面や音楽制作を強みとしている会社さんと手を組みたいと、様々な会社さんにお話をさせて頂いたのですが、その中でKADOKAWAさんが手を上げていただいたことがきっかけで、一緒にお仕事をさせて頂くことになりました。音楽面では、ゲームのリリースとそこと合わせての音楽展開など、ゲーム側と連動した音楽活動に関わっております。

小早川賢氏

武田:『オンゲキ』のキャラクターや世界観まわりを担当させていただいています。キャラクターソングはこういうのがいいとか、意見を最初に言い出す人です(笑)。キャラクターの設定も私が担当しています。

ーー近年、声優とキャラクターを絡めたコンテンツがたくさんあり、声優がリアルライブを行うことで人気を集めています。そういう状況において、『オンゲキ』はどういうところを目指しているのでしょうか。

小早川:『オンゲキ』は、アーケードゲームから発信するコンテンツということで、軸足が音ゲーというゲームジャンルにあることが特徴です。ゲーム展開されているキャラクターコンテンツも数多くあると思いますが、それらはキャラクターコンテンツをゲーム化しているんだと思うんですよね。オンゲキでは逆のアプローチで、音楽ゲームというゲームの特性を活かすようにキャラクターを作りました。

武田:音楽ゲームは楽曲のジャンルを重視する傾向があって、ロックならロック、テクノならテクノと、ジャンルが明確に分かれていることがほとんどです。『オンゲキ』は、そこに女の子のキャラクターを与えて、キャラクター性と音楽性をマッチさせる試みをやっています。つまり女の子のキャラクターごとに、違ったジャンルの音楽が割り当てられているという具合です。

小早川:それに弊社の音楽ゲームユーザーは、コンポーザーの名前に注目する方が多いのも特徴です。誰が歌うかと同じくらい、誰が作ったかも重要で、ジャンル名、コンポーズするアーティスト名、そしてキャラクターをワンセットにしてパッケージすることを意識しました。

ーーそれをアプリゲームではなく、アーケードゲームから発信していくところが新しい。KADOKAWAさんとしては、そういう話を受けてどんな印象だったのでしょうか?

水鳥:アーケードの音楽ゲームから発信するコンテンツで、ボーカルに声優を起用する、ある種アニメ的な『オリジナルキャラクターソング』が最初から全面的に出ているコンテンツはあまりなかったので、面白そうだなと思ったのが第一印象でした。彼女たちはやはりすごく声がかわいいので、音楽やゲームとの親和性もいいですし、実際にプレイしても曲の良さはもちろん、キャストの声の良さは際立って聴こえます。アーケードの音楽ゲームというなかでは、新しいアプローチだったのではないでしょうか。

ーーアーケードゲームのユーザーと、アニメや声優のファンでは、近いところもあるのでしょうか?

水鳥:じつは、あまりありませんね(笑)。

小早川:むしろ、距離があるお客さん同士だったと思います。だからこそ、そこを結びつけることで、新たなバリューというか魅力が生まれるのではないかと期待して制作しています。実際に『ONGEKI Vocal Collection 01』のリリースイベントをやった時は、声優さんのファンが多く足を運んでくださって、声優ファンの方に『オンゲキ』の音楽性を知っていただく場にもなりました。これを定期的に続けていくことで、いい相乗効果が生まれていくと思います。

水鳥:最初にイベントをやったときは、『チュウニズム』と『maimai』のファンの方が多かったのですが、回を重ねるうちに、「ゲームはやったことがないけど声優が好きだから行ってみた」という声も聞こえてくるようになりました。まだこれからではありますけど、上手く混じり合ってきているなと思います。

ーー各キャラクター設定や、そのキャラクターに対する楽曲を考えられる時は、どんな風に考えていったのですか?

武田:最初はあまり細かいところまでは詰めず、ざっくりとしたところを考えて進めていきました。この子はクール系のキャラクターで、じゃあ格好いい曲が合うだろうとか、この子は明るい子だからポップにしよう、と。

ーー例えばキャラクターの星咲あかりは、明るく前向きなキャラクターなのでアイドル的なポップソング、藤沢柚子は弾けた元気ナンバーみたいな感じですね。

小早川:そうですね。音楽ゲームというジャンルを作っていて感じるのは、オリジナル曲など、知らない音楽の魅力を伝えることはすごく難しいということです。今のお客様は、最初の数秒で魅力を感じなければ、触りたくなる、聴きたくなるところまで、なかなか進んでもらえない。特に音楽は、イントロがあってサビまでの時間を考えると最低でも30秒〜1分は聴いてもらわないと魅力が伝わらないわけで、その時間をどう圧縮するかが、音楽ゲームを作る側にとって重要です。過去『チュウニズム』と『maimai』を制作して学んだのが、曲だけでなく絵でも音楽性を彷彿とさせることの大事さです。今回はそこからさらに踏み込んで、女の子のキャラクターという表現方法を使って、より速く直感的に音楽性を伝える手法を取りました。それは声優さん選びもそうで、声の魅力、キャラクターの絵の魅力、そしてキャラクターの性格の魅力によって音楽を伝えることに挑戦しているところです。

武田:開発初期のコードネームが、そのままジャンル名だったキャラクターもいますよね(笑)。

武田円氏

小早川:例えば「ふんわり子ちゃん」というコードネームだったら、ふんわりとした曲を作りましょうみたいな。藍原椿というキャラクターなんかは、最初は「ボカロ子ちゃん」と呼んでいたんです。それで、和風のボカロっぽい曲を作ろうと思って。

ーー実際に着物風の服を着ていて。きつねのお面を頭に付けているところも、ボカロの世界観である感じですね。

水鳥:そう、すごく分かりやすいんです。でもコードネームの「ボカロ子ちゃん」があまりにも馴染みすぎてしまって、内部ではキャラクター名でなかなか呼んでもらえないということもありました(笑)。

ーー世の中にはごまんとキャラクターがあるわけですけど、個々のキャラクター作りで意識することは何ですか?

武田:より特徴をはっきりさせることですね。アーケードゲームはワンプレイの時間が短く、キャラクターに接する時間も少ないです。そんな限られた中でもキャラクターの魅力が伝わるように、特徴をかなり盛りました。

小早川:椿は、今一番人気があるキャラクターですが、当初はここまで人気が出るとは思っていませんでした。それがここまで人気が出たのは、やはり見た目と性格がマッチしていて分かりやすかったからこそだと思っています。

武田:ただ「尖ったものだけだと疲れる」というようなご意見も聞こえているので、今後はバランスの取り方にもより注意を払おうと思っています。

小早川:特徴が尖ったキャラクターの人気がある一方で、安心感のあるテンプレート的な存在も求められているのは確かですね。でも、すでに出ている既存のキャラクターも、見た目や性格は尖らせているけど、基本的な特徴はテンプレに忠実だよね。

武田:そうですね。実験的なことはやっていないです。

水鳥:音楽もそうで、アヴァンギャルド=キャッチーではなくなるんですね。私は、音楽はキャッチーさこそが正義であると思っていて、そうでなければ覚えてもらえないし、歌ってもらえない。ツボは突きつつ尖らせすぎないという絶妙のバランスが、音楽面では重要です。2月にリリースする「ONGEKI Sound Collection 01 『Jump!! Jump!! Jump!!』の表題曲も、絶対みんなが好きだと言ってくれる、王道要素の強いものを目指して作りました。

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