EXILE ATSUSHIとBoyz Ⅱ Men、『Mステ』共演の意味とは? ドラマティックな背景を読む

 今回、共演するBoyz Ⅱ Menもまた、EXILE ATSUSHIに大きな影響を与えてきたグループだ。「I’ll Make Love To You」(1994年)は、当時すでに世界的に人気を博していたBoyz Ⅱ Menの評価を決定づけた楽曲で、世界中にR&Bのムーブメントを巻き起こすきっかけのひとつにもなった。プロデューサーを務めたベイビーフェイスは、EXILEの前身グループであるJ Soul Brothersの名付け親、ボビー・ブラウンの楽曲も手がけており、その意味でBoyz Ⅱ MenはEXILEにとっての先輩でもある。ATSUSHIがEXILEとしてデビューした後に結成したコーラスグループ・COLOR(現:DEEP)は、いわば日本版のBoyz Ⅱ Menをイメージして作られたのだろう。そう考えると、今回の共演は然るべき時を経て、ようやく実現したATSUSHI自身の夢でもあるに違いない。そして、Boyz Ⅱ Menの「I’ll Make Love To You」のような、繊細で温もりのあるバラードでこそ、今のATSUSHIの実力は発揮されるはずだ。

 一人のシンガーが栄光を極めた末に挫折し、自身のルーツに触れて復活を果たし、晴れの舞台で憧れの存在と共演を果たすーー今夜のコラボレーションは、いわばそのドキュメンタリーのハイライトである。さらにパワーアップしたシンガー・ATSUSHIの歌声と、世界的R&Bグループの生み出すハーモニーは、果たしてどんな響きとなるのか。

(文=松田“tissue”広宣)

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