和楽器バンドからゆう十、kradness、天月-あまつき-まで 黒うさP「千本桜」カバーで見える個性
天月-あまつき-
軍服に身を包む初音ミク、〈その断頭台で見下ろして〉などのフレーズからも「千本桜」が楽天的な楽曲ではないことは明らか。様々な曲調の「千本桜」が披露される中、天月-あまつき-の「千本桜」はピアノアレンジを施した至ってシンプルなもの。哀感漂う歌詞世界に寄り添った歌い方をしており、ハモリの具合、旋律も心地よい。特に、大サビにかけての〈浮世の随に〉では声のトーンを下げ、ピアノサウンドも力強くなる。ますます、憂いの含みを増していく展開が、「千本桜」の空気感そのものを優しく包み込んでいる。
カバーを一聴すると、特に間奏部分では、誰もが思う存分に、そして楽しそうに音を奏でているのが伝わってくる。今夜、和楽器バンドが奏でる「千本桜」でも、洗練された音色が聴けるに違いない。今後も、「千本桜」は幅広い層に楽しみながら歌われる楽曲として愛されるはずだ。
■小町 碧音
1991年生まれ。歌い手、邦楽ロックを得意とする音楽メインのフリーライター。高校生の頃から気になったアーティストのライブにはよく足を運んでます。『Real Sound』『BASS ON TOP』『UtaTen』などに寄稿。
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