『FNS歌謡祭』初出演の吉本坂46、坂道グループとの共通点 MVに見るパフォーマンスへの期待
「泣かせてくれよ」は、アイドルソングと言うより、上田正樹「悲しい色やね」やBORO「大阪生まれた女」のような、大阪弁で切ない想いを歌う、心に染み入る大人のバラードといった印象を受ける。しかしMVには、「二人セゾン」以降の欅坂46のシングル表題曲を監督している新宮良平、そして欅坂46の振付を担当しているTAKAHIROを起用。坂道系としての繋がりを見せる盤石の体制と言えるだろう。どこか昭和歌謡曲テイストを感じるフォーキーな曲調も、欅坂46「チューニング」や乃木坂46「渋谷ブルース」などの世界観に通じるものがある。もちろん芸人だけにおふざけな表情も見せるが、曲やダンスはいたって真面目(そのギャップが面白さでもあるが)。2010年代の大阪をテーマにした代表曲として、カラオケの定番になりえるポテンシャルを感じる。
シングル『泣かせてくれよ』には他にもいくつかのユニット曲がある。藤井菜央と榊原徹士(元新選組リアン)をWセンターに、SHUHO、A-NONといった世界的なプロダンサーたちが一列目の脇を固め、三秋里歩、高野祐衣の元NMB48など、ダンス選抜とも言える若手を中心とした16人のユニットREDの「君の唇を離さない」MVが先日公開され、そのダンスのレベルの高さに驚きの声が上がっている。MVの監督は乃木坂46などのMVを手掛ける池田一真。振付師Ruuによる情熱的で激しいダンスは、ベテラン芸人たちでは出せない魅力を引き出しており、坂道系のアイドルユニットとしての本気度が伺えるものとなった。
今回の放送ではおそらく「泣かせてくれよ」が披露されるだろう。 当日は、AKB48、乃木坂46、欅坂46、IZ*ONEの4組がコラボした、吉本坂46にとって直系の姉さんたちが大集結するスペシャルユニットが登場するほか、『ちびまる子ちゃん』企画で爆チュー問題がアニメで声優を務めるTARAKOと一緒に「アララの呪文」を音楽番組で初歌唱するなど、この番組でしか見ることのできない夢のコラボレーションや企画が行われる。そんな中、単なる企画ものでは終わらせない、本気のアイドルグループとしてのパフォーマンスでどのようなインパクトを残してくれるのか。色眼鏡で見ていた人をアッと驚かせるようなステージに注目したい。
(文=本 手)