EP『うたはつづくよどこまでも』インタビュー

さくらしめじが語る、デュオとしての“これから” 「また一つ可能性が広がった」

コラボはさくらしめじとしての成長にも繋がる(高田彪我) 

ーー2曲目にはNHK「みんなのうた」で流れていた「スプーンの初恋 ~あゝ、好きだよベイベー~」が。こういうほっこりした世界観を歌えるのもさくらしめじの強みですね。

ガク:さっきの話と矛盾するかもしれないんですけど、僕らはフォークデュオだけどいわゆる“THEフォークソング”っていう曲は今まであまり歌ってきていなかったんですよ。だから、ちょっとここらでそういう曲をやってみようかなって思ったんです。でも、ただフォークソングを歌ってもおもしろくないから、“フォーク”じゃなくて“スプーン”にしようって(笑)。それをテーマにして作った曲なんですよね。

ーー擬人化されたスプーンがフォークに恋しているという内容がおもしろいですよね。どこか懐かしい雰囲気のある曲調も素敵です。

ガク:ちっちゃい子でもわかりやすいし、ご年配の方が聴いても懐かしめるような曲になりましたね。僕は実際にスプーンになりきって歌いました(笑)。

ヒョウガ:僕は歌謡曲っぽい雰囲気を意識して歌ったんですけど、それがけっこう難しくて。レコーディングのときに「布施明さんみたいに歌ってみたら」っていうアドバイスをされたので、布施さんのように広がりを持った歌声で曲の世界を表現することを心掛けました。

ーースプーンになりきって歌うのも、布施明さんのように歌うのもなかなか難しそうな気がしますが(笑)。

ヒョウガ:確かに難しかったです(笑)。

ガク:僕なんかはスプーンになりきってみた後、それをさらに自分に置き換えて歌ったりしてましたからね。かなりややこしい感じで(笑)。まぁでも結果的には、スプーンと布施明さんによる新しいデュオとしていい曲に仕上がったかなと思うんですけど。さくらしめじとしてもまた一つ可能性が広がった気がするので、機会があればこういう曲はまたやってみたいですね。

ーー続く「恋音と雨空」はAAAのカバーですね。

ガク:はい。今年の6月14日にやった結成記念イベントで実はこの曲をカバーしていて。僕らとしては、男女混合のダンスユニットの曲をギター2本でカバーすることに対して、ちょっと奇をてらったところがあったんですよ。でも、これが思いのほか反応が良かったので、じゃあせっかくだから音源化しようってことになりました。

ーーちょっと大人っぽい歌詞の世界観がさくらしめじとしては新鮮ですよね。

ヒョウガ:最初からいきなり〈好きだよ〉って言っちゃってる歌詞ですからね。今までの僕らは歌ったことのないタイプの曲だと思いますけど、それもカバーだからこそ挑戦できたというか。原曲の良さを大事にしつつ、僕たちらしさを出すことをしっかり考えましたね。

ーーラップパートもしっかり再現されています。

ガク:そうなんですよ! ラップは初挑戦だったからとにかく不安で不安で。「なんでおまえがラップするんだよ!」って言われたらどうしようって。

ーーかっこいいラップになってると思いますよ。

ガク:ライブで最初に披露したときもみなさんにそういっていただけたからうれしかったんですけど、今回レコーディングするにあたってはもっといいラップができるように、ものすごく練習しましたね。これもまた可能性の広がりになったと思います。

ヒョウガ:ゆくゆくはガチラップ曲も作りたいよね(笑)。

ガク:不安ですけどねー(笑)。

ーーそしてラストは「届けそこねたラブソング」。これはガクさんが敬愛しているというシンガーソングライターのコレサワさんに書き下ろしていただいた曲ですね。

ガク:中学の頃から大好きだったので、ほんとに嬉しかったです。コレサワさんが歌っているデモをいただいたときには、曲の感想よりも先に「このデモを家宝にしなければ!」って思っちゃったくらいで(笑)。

ーー曲を提供していただくにあたって、何かリクエストはしたんですか?

ガク:僕は、僕たちが大切にしている音楽に向けてのラブソングを作ってほしいってお願いしました。で、ヒョウガは恋愛ときのことを掛け合わせた曲にしてほしいってリクエストをしていて。かなりの無茶振りにコレサワさんも困惑されていたんですけど(笑)、結果的にはリクエストすべてにちゃんと応えてくださっていて。ほんとにすごいなって思いました。

ーー歌詞にはきのこというワードもしっかり使われていますもんね。失恋ソングではあるけど、コレサワさんらしいポップさがあります。

ガク:そうなんですよね。ちょっと悲しい気持ちになるところもあるけど、全体としてはポジティブに楽しめる曲になっていて。

ヒョウガ:歌詞に出てくる〈君〉という言葉を自分の大切なものに置き換えるとより共感できると思うんですよ。僕らにとっての“君”は音楽やギターだと思うので、レコーディングではそれを思い浮かべながら歌いました。聴く人ごとにいろんな受け取り方ができる曲を作れるなんて、やっぱりコレサワさんはすごいなって思いましたね。

ーー他のアーティストとのコラボは今後もやっていきたいですか?

ヒョウガ:もちろんやりたいです! 提供していただいた曲をどうやったら僕たちの色に染められるのかっていうことを考えるのはすごく楽しいんですよ。アーティストさんとのコラボはさくらしめじとしての成長にも繋がると思いますね。

ガク:いろんな刺激をもらえますからね。いつかはセッションみたいなことをして一緒に曲を作ったりするのも楽しいだろうなぁ。

ーー逆に、他のアーティストへさくらしめじとして楽曲を提供することは考えたりはしないですか?

2人:あー!

ガク:それは考えたことなかったかも。

ヒョウガ:そうだね。でも、できたらいいよね。

ガク:うん。でも、そういうことをするには僕たち自身がもっともっと成長しなきゃいけないからね。いつかそういうことができるように、デュオとして頑張って力をつけていきたいと思います!

ーー本作リリース後、12月15日には中野サンプラザでの初ワンマンライブが決定していますね。

ガク:中野サンプラザはずっと立ってみたかった夢の舞台でもあるので、気合いはもうバッチリです! 野音とこのEPを経て、また新しい僕たらを見せられたらいいなって思ってますね。会場に入った瞬間から楽しめるようなライブにしますので!

ヒョウガ:2人が今やりたいことをどうお見せしようかじっくり考えてきたので、とにかく楽しみでしょうがないですね。

ーー来年6月には結成5周年を迎えますからね。ここからの活躍も楽しみにしてます。

ヒョウガ:そうなんです。でももう5周年かー!

ガク:もっと成長しなきゃ。ここまでがそうだったように、これからも一歩ずつ着実に歩んでいければいいですね。目標であるさいたまスーパーアリーナに立てるように。

ヒョウガ:頑張ります!

(取材・文=もりひでゆき/写真=はぎひさこ)

■リリース情報
1stEP『うたはつづくよどこまでも』
発売:11月28日(水)
<収録曲>
01.My Sunshine
02.恋音と雨空
03.スプーンの初恋 〜あゝ、好きだよベイベー〜
04.届けそこねたラブソング

■ライブ情報
『リリース記念ライブツアー「うたはつづくよどこまでも」』
2018年10月28日(日)【新潟】NIIGATA LOTS  会場16:15/ 開演17:00
2018年11月11日(日)【宮城】仙台darwin  会場16:15/ 開演17:00
2018年12月23日(日)【福岡】DRUM LOGOS  会場16:15/開演17:00
2019年1月6日(日)【大阪】バナナホール  会場16:15/ 開演17:00
2019年1月20日(日)【広島】広島クラブクアトロ  会場16:15/ 開演17:00

『さくらしめじのHappy X’mash LIVE 2018 in 中野サンプラザ』
日時:2018年12月15日(土)開場16:30 / 開演17:30
会場:中野サンプラザ(東京都)

■関連リンク
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