TRUEが『Another colony』で掲げた、ボーカリスト/作詞家としての矜持

TRUEが掲げた“矜持”とは

この作品にこのエンディングテーマ、正解だわ

ーーとなると、そのアニメの中に生きていきたいTRUEさんは責任重大ですね。目を背けたくなるような悪感情すらも、きちんとリスナーや視聴者に届く言葉にしなきゃいけないから。

TRUE;おかげさまでそれが上手くいっているからなのか、私、ファンレターで結構人生相談されるんですよ(笑)。

ーーまさにアニメファンの気持ちに寄り添っている証拠ですね。

TRUE:CDのリリースイベントにも「悩みが解決した」「ありがとう」って泣きながら言ってくださる方がいらっしゃったり。

ーーやっぱり責任重大だ(笑)。でも、お話を聞いているとすごく軽やかに見えるんですよね。気負いやプレッシャーはなさそうというか。

TRUE:どんどん軽やかになってきているのかもしれないですね。自分自身アニメに期待するものが大きかった分、同じように思ってくださる方の期待に自分も応えなきゃと思っていたんですけど、いつからか、私が私の言葉に責任を持てたら、それが誰かの言葉になるんじゃないかな?と思えるようになって。それからすごく軽やかというか、表現することがラクになって、自由になれた気がします。

ーー実際、今回の「Another colony」の歌詞もTRUEさんの実感ベース。TRUEさんご自身の正直な思いの発露ですもんね。2コーラス頭の〈たとえば 言葉が違くてもいい〉〈生まれたところが 違くたっていい〉も『転スラ』が種族を横断する話だからというのと同時に、海外公演も多いTRUEさんならではの思いの表れなのかな?という気がしますし。

TRUE:まさに! 去年『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』というアニメ関連のワールドツアーに出て7カ国くらいで歌わせていただいたんですけど、そこでもらったものってすごく大きくて。たぶん海外の皆さんって日本語の意味はそんなに……特に比喩が含まれる歌詞の意味はそんなに深く理解していないと思うのに、行間や雰囲気からきちんと意味を汲み取ってくださっているのが、すごくよくわかるんです。特にオープニング主題歌の「Sincerely」はどの国で歌っても、皆さんボロボロ涙を流してくれて。たぶん曲が流れた瞬間、アニメのシーンがパッと浮かんで涙を流してくださってると思うので、本当に「アニメは国境を越える」んだな、って思ってます。

ーーだから聴いていて「あっ、ウソがないな」「この人はホントに多様性を認めてるし、だからといって大上段に振りかぶって説教するわけでもないんだな」っていうのがすごく伝わってきます。

TRUE:ありがとうございます。大上段に振りかぶってないっていうのは、まさにというか、今が一番楽しくて、幸せですから。表現することもラクだし。もちろん産みの苦しみはありますけど、できあがった歌詞を見れば、集まるべき必然がきちんとすべて歌詞の中に集まっているなっていう感じがあって。それさえあれば、それこそ歌詞のとおり、誰に勝たなくてもいい……ある意味負けても気にならないというか。ただ生み出すことにさえ素直であれば、そこにウソがなければいいな、と思ってますし、実際、自分の好きなことを忠実にやって毎日を生きている気がしますし。

ーーキャリアを重ねれば重ねるだけ、自分が自分に要求するハードルも、ファンのTRUEさんに期待するハードルも上がると思うんですけど、表現はラクになっている?

TRUE:「まあ、やればできるんだから」という自信はあるし、そのための準備は常にしているつもりですから。マイクを持つようになって、もう随分経ちますけど、週に1度のボイトレは絶対に欠かさず、常に自分をチューニングするようにはしていますし。いつどんなチャンスが巡ってきても、自分をきちんと表現できる自信はありますね。

ーーその成果物である「Another colony」の感想ってもう届いてます?

TRUE:9月にアニメの先行上映会があって、そこで歌わせていただいたんですけど、普通アニメの上映会って皆さんおとなしいじゃないですか。

ーーライブを観に来るモードじゃなくて、どちらかというと映画を鑑賞するのに近いモードで来ますからね。

TRUE:なのにリズムを取ってノっている方がすごくたくさんいて「この作品にこのエンディングテーマ、正解だわ」って実感できたし、自信になりましたね。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる