『うたばん』コンビ復活&『HEY!HEY!NEO!』放送……90年代音楽番組が愛され続ける理由とは?

90年代音楽番組が愛され続ける理由

 中居正広司会の音楽番組『UTAGE!』(TBS系)にとんねるずの石橋貴明が出演する。中居と石橋といえば、2010年放送終了の『うたばん』(TBS系)で司会を務め、名コンビとして知られていた。『UTAGE!』では、約10年ぶりのコンビ復活となる。また、2015年から不定期に放送されている『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』(以下、『HEY!HEY!HEY!』)のスピンオフ番組『HEY!HEY!NEO!』(フジテレビ系)が、今年はすでに2回放送。ダウンタウンとアーティストとの絡みは『HEY!HEY!HEY!』時代から変わらず好評を博している。

 90年代から2000年代にかけて人気を博した『うたばん』と『HEY!HEY!HEY!』。この二つの音楽番組について『社会は笑う・増補版』や『紅白歌合戦と日本人』の著者であり、音楽番組の変遷に詳しい太田省一氏に話を聞いた。

「当時はバラエティ全盛だったこともあり、音楽番組もトークメインのものが多くありました。中でもダウンタウンの『HEY!HEY!HEY!』、石橋貴明さんと中居正広さんの『うたばん』は、アーティストの新たなキャラクターを次々と発掘していった番組だったように思います。例えば、モーニング娘。が成功したのは、音楽的魅力は然ることながら『うたばん』で親しみやすいキャラクターが表に出てきたことも要因の一つになっていたでしょう。また、T.M.Revolution、華原朋美、PUFFYなどは、特に『HEY!HEY!HEY!』のトークを通じて面白さが伝わってきた印象です。2000年代に入るまではバラエティと音楽番組が密接な関係にあったと言えるのではないでしょうか」

 一方、2000年以降、音楽番組はレギュラーの数が徐々に減っていき、現在放送中の『Love music』(フジテレビ系)や『うたコン』(NHK総合)などにも見られるような楽曲やアーティストに焦点を当てた番組として放送されるようになっていった。同氏はこうした変化のポイントに2007年スタートの『SONGS』(NHK総合)を挙げつつ、『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系/以下、『関ジャム 』)が現代の音楽シーン全体を表徴した番組であると語る。

「『関ジャム』は音楽の教養番組のような位置づけにある番組です。アレンジャーやミキサーをフィーチャーするなど、これまでにはないマニアックなテーマを選んでいます。『関ジャム』が人気になった背景にはプロデューサーが音楽シーンを牽引していた90年代から、リスナーは曲を聴くだけでなく作者にも注目する傾向にあることが関係しているのではないでしょうか。さらに、近年では米津玄師さんをはじめ、インターネットを通じて身近に感じられるようなクリエイターが自分たちで音楽を作って発表することが増えている。送り手と受け手の距離が近くなっているからこそ、より専門的な知識を知りたい人が増えてきているのだと思います」

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