ROTTENGRAFFTY、日本武道館で示したバンドの矜持と新たな始まり 『PLAY』ツアー最終公演

 終盤ではめずらしく5人がそれぞれ感じた気持ちを口にする場面もあったが、それはこの日ならではだろう。N∀OKIはすべての関わってきた人へ迎えて感謝し、仲間のバンドマンへ向けて「続けることの難しさなんて重々承知やけど、オレらにできてキミらにできへんことなんてオレは絶対にないと思うから。次はお前らの番!」、NOBUYAは「これが生涯最後の武道館のステージになるかもって思ってたけど、やってみたら、もう1回やってみたい。いつになるか約束できないけど、オレはそういう気持ちです」と語り、HIROSHIはツアーを振り返りつつ、「この5人でここに立てることができました。本当にありがとうございます! これからもよろしくお願いします!」と強く宣言。侑威地は「ここに立ててるなんて、19年前はホンマに夢にも思ってなかったんです。今まで出会ってくれたみんなに感謝しかないんですよ、ホンマに。ありがとう。これからもライブバンドとして精進していくんで、一生よろしくお願いします!」と決意表明をし、楽曲制作の中心を担うKAZUOMIは『PLAY』の制作の苦しみを語りつつも「(バンドを)続けるだけで苦しいこともあるけど、こんな1日があるなら、そんな苦しみ、屁でもないと思いました」と手にした喜びをおもいっきり爆発させた。

 そこからスイッチをガチッと切り替え、力強くエンディングへ向かえるのは現場で戦ってきたバンドが持つ力だろう。「D.A.N.C.E.」や「金色グラフティー」といったキラーチューンを連投し、銀テープも舞った「Rainy」で感動的なフィナーレかと思いきや、来年に迎えるアニバーサリーへ改めてスタートダッシュを決めるような「Error...」をプレイ。とにかく熱を高めまくった内容だった。

 鳴り止まない声に呼び戻され、アンコールでは「ホンマにありがとう! 魂こめて、今日集まってくれた人、すべてに捧げる」とN∀OKIの言葉から「マンダーラ」、締めくくりとして2001年2月に初めての作品として発表した『RADICAL PEACE×RADICAL GENOCIDE』の1曲目でもある「切り札」を披露。エネルギーを残した状態では帰れない。メンバーの踏み込み方が尋常ではなく、彼らの熱演が心の奥底までさらに刻み込まれていった。ライブ中にN∀OKIも語っていたように、達成感はあるだろうが、あくまでこの武道館公演も通過点。節目となる来年のアニバーサリーイヤーへ向けて、バンドとしての矜持を示しながら、新たな始まりを告げた一夜だった。

(文=ヤコウリュウジ)

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