乃木坂46、メンバープロデュースで見せた“新たな繋がり” 「ジコチューユニットコーナー」振り返る

 さらに仙台公演では、秋元真夏が「あなたのために弾きたい」でピアノ弾き語りに挑戦。小学生の頃にピアノを習っていたという秋元だが、ステージで自信なさげに鍵盤の位置を探る様子からは、普段とは違った緊張感を受け取った。そんな彼女はライブ前日、不安を募らせたピアノ練習後の楽屋で、好物のスイーツとともに、励ましのメッセージを見つけたという。そんな粋な計らいを準備したのは、メモの最後にも記名があった「齋藤飛鳥」。テレビやライブでは見せない彼女の“ツンデレ”なサプライズに、疲れきった秋元は、さぞ元気付けられたことだろう。「ジコチューユニットコーナー」は彼女にとって、これまでにない“挑戦”となった一方、齋藤との信頼関係を深めるのにも一役買っていたようだ。

 現メンバーの豊かな表現力はもちろん、卒業メンバーへの愛情も存分に感じられた「ジコチューユニットコーナー」。その企画背景には、今年7月の『6th YEAR BIRTHDAY LIVE』を、「シンクロニシティライブ」と銘打ったことがあるのかもしれない。同ライブでは、5年にわたり継続してきた“全楽曲披露”を取りやめ、東京・明治神宮野球場と秩父宮ラグビー場の2会場同時ライブをコンセプトに提示。結果として、これまで年に一度は必ず披露された“レア曲”に出会う機会が損なわれた。そんな楽曲群に対して、同コーナーがスポットを当てる役割を間接的に担っていたのであれば、ファンにとって非常に喜ばしいことだろう。

 そんな「ジコチューユニットコーナー」は、ひとまず今回のツアー限りの企画であることがアナウンスされている。メンバーの様々な表情が見られただけに、とても残念だ。しかし過去には、生駒が自らの卒業ライブでセットリストを考案しており、自身の好きなように楽曲やステージ演出を指定していたのは、今回の企画にも共通している。そう考えれば、同コーナーや卒業公演に限らず、今後もメンバープロデュースのライブを楽しめる機会があるのかもしれない。

 4期生メンバーの加入を控える現在の乃木坂46。さらなる大所帯となるに従い、グループ全体で足並みを揃えるように求められるシーンも増えることだろう。しかし時には、彼女たちの見せる、“ジコチュー”な笑顔にも巡り会いたいものだ。

(文=青木皓太)

※記事初出時、一部情報に誤りがございました。訂正の上、お詫びいたします。

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