『ホトハシル』インタビュー

ORESAMAの“ディスコ”はどこまで拡張する? 『ムヒョロジ』EDテーマ制作秘話に迫る

順調にステップアップするORESAMAの“息抜き”とは

ーーそういえば、タイトルに使っている「ホトハシル」という言葉は、歌の中に一切出てきませんが。

ぽん:そうなんです。「迸る」という言葉の濁点を取るだけで「なんだろう?」と思ってもらえたり、ちょっと呪文っぽかったりするなと思って、とても気に入ってしまったのでこのタイトルにしました。

ーー今回、タイトルも曲も歌詞も、今までと違った意外なアプローチが積み重なっているのに、今までの延長線上にもなってるのが面白いですね。今回はカップリングの「ようこそパーティータウン」もタイアップ曲で、2人の順調ぶりを表していますね。

ぽん:「ようこそパーティータウン」はロッテのアイス・雪見だいふくのプロモーション企画アニメ「雪見家の日常はほんわりで〆る」のテーマ曲なんですけど、お話をいただいた時点で「ORESAMAのディスコっぽい、楽しい感じが欲しいです」とオーダーをいただいたので、今まで培ってきた路線のうえで、また新しいものが生み出せるとワクワクしながら作りました。

ーー音源化する前のバージョンと今回シングルに収録される楽曲では歌詞が少し違いますが、最初は商品にちなんだワードのリクエストが多かったんでしょうか。

ぽん:そうですね。なので、タイアップ曲というよりもコマーシャルソングという側面が強くて、商品に100%寄せる作詞にする面白さもあると思ったんですけど、それはORESAMAのぽんが発信するものとしてはちょっと違うなと思ったので、ここでもORESAMAと雪見だいふくの間に立つような歌詞を書きました。

ーー「ようこそパーティータウン」の歌詞で印象に残ったのが、〈めまぐるしい毎日をマイペースでいきましょう〉という言葉なんですけど、ある意味自分たちにも言い聞かせるようなフレーズでもあるのかなと。

ぽん:まさにそうですね。みんなが生活していて色んなことがあるように、私たちも色んなことがあって。でも、ライブ会場という名のパーティータウンでは一緒に遊べるし、会えない時もイヤホンの向こうであえるよ、という気持ちを込めました。

ーー小島さんもORESAMAとしての活動がありつつ、個人としても作る曲数が増えてきているような。

小島:そうなんです。ありがたいことに。制作に没頭していると時間感覚がなくなっちゃいますね(笑)。

ぽん:そういえば、最近はどうやって息抜きしてるの?

小島:釣りですね。たまに湖とか行ったりして。

ーーそうやって心を落ち着かせるんですね。

小島:でも、結局釣りも頭使うんですよ。集中して魚が食いついた一瞬で竿を引かないといけないのでめちゃくちゃ疲れるんですけど、音楽を忘れて疲れることで、リフレッシュになって新たなアイデアがでてくることはあります。

ーーぽんさんはどうなんですか?

ぽん:私は、一番身近なところでいうと食器洗いですね。綺麗になっていく感じがすごく好きで、ちょっとモヤっとしたことがあったり、制作に行き詰まったら、すぐに食器を洗います(笑)。

小島:掃除じゃないんだ。

ぽん:掃除も好きだけどね。食器洗いって、わかりやすく目に見えて綺麗になっていく感じがするからスッキリするんです。

小島:料理を作るといい、って言われたりもするんですけど、僕はダメなんですよね。調味料を入れてる時に「ハイハットにちょっとひずみを加えてる感じだな」って思っちゃったり、「肉がベースでオリーブオイルがキーボードみたい」とか考えちゃったりして。

ぽん:全然ピンとこないけど、そういう大変さがあるんだね……。

小島:編曲と料理はすごく似てるんです。カレーに砂糖を入れるのは「これにこのフレーズを隠し味として入れる」みたいな感じというか。

ーーなるほど(笑)。話は逸れましたが、今回の2曲を聴いて「ORESAMAの曲がもっと大きいところに行きたがっている」と感じたんです。これまでのように、クラブ規模の箱でダンスさせるみたいなところからもう少し解き放たれて、大きな場所向きになっていってるというか。

ぽん:私たちは今やってることをどんどん広げていく作業というか、色んな人に届けたいし、たくさんの人と一緒に踊りたいと思っているので、規模感が広がっていくのはすごく本望ですね。

小島:規模感についてはあまり意識したことはないんですけど、曲を作ってる時にはライブのことをより意識するようになりました。どんどんお客さんが多様化していくなかで、こういう乗り方、グルーヴ感もあるんだよというのを提示していきたいところもあるので。それが大きなステージでできるとなると本当に嬉しいです。

ぽん:「SWEET ROOM」は“部屋”ですけど、今回の「ようこそパーティータウン」は“街”だったりして、歌詞の規模もきっと広がっているんです。

関連記事