7thシングル『アンビバレント』インタビュー
欅坂46 菅井友香が語る、幾度の挑戦で芽生えた責任感と新たな決意 「パワーの源になりたい」
変化は必要だけど、今はまだ怖く感じることもある
ーー今年の『欅共和国』はセットリストが独特でしたよね。アニバーサリーライブはデビュー2年目に発表した楽曲が中心だったこともあって、『欅共和国』では久しぶりに披露した楽曲も多かったですし、曲順もかなり練られていて新鮮に楽しむことができました。なおかつ、アンコールでは従来の欅坂46の世界観が反映された演出もあり、笑顔とクールの二面性をうまく両立させられたんじゃないかと思います。
菅井:ありがとうございます。例えば「太陽は見上げる人を選ばない」は今までライブの最後にやることが多かったんですけど、今回はあえて中盤に持って来て。ちょうど太陽がいい感じの位置にあるときに、ひらがな(けやき坂46)のみんなと一緒に歌えたのは印象深かったですね。欅ってクールとかカッコいいって思っていただけることが多くて嬉しいんですけど、それだけじゃない爽やかな曲や一緒に騒げる曲もあるってことを『欅共和国』では伝えることができたんじゃないかなと思うし、普段とのギャップを見せられたんじゃないかなと。特に私は「僕たちの戦争」をパフォーマンスするのが好きで、あの場にぴったりだなって思うんです。ユニット曲だけど、ライブ中で良い役割を果たしてくれたんじゃないかな。
ーー「僕たちの戦争」や「AM1:27」は、もともとは少人数のユニット曲だったものをメンバー全員でパフォーマンスしたりと、新たな見せ方が増えましたよね。
菅井:それもライブの良さだと思うんです。でも、「AM1:27」のときは移動がすごく大変だったことが記憶に残ってます。センターステージから登場するので、みんなで花道の下を屈みながら必死で走って(笑)。今思えばちょっと笑っちゃうけど、そのときは曲に間に合うようにと必死でした。
ーーけやき坂46と一緒にライブをするのは去年の夏の全国ツアー以来でしたが、彼女たちの成長はどのように映りましたか?
菅井:ひらがなちゃんは去年の『欅共和国』の「誰よりも高く跳べ!」がすごく印象的だったんですけど、今年はさらに盛り上げ方がすごくて。ライブをたくさん経験してきたことで、さらに見応えのあるグループに成長していました。圧倒されちゃうぐらいの実力を付けていたし、煽りやMC含めてカッコいいなと思いました。あと、ひらがな2期生と同じステージに立つのは今回が初めてだったんですけど、みんな慣れるのが早いなと思って(笑)。
ーー自分たちと比べて?
菅井:はい。私たちはあの時期、もっと緊張していたし、いまだにうまく喋れないとかあるんですけど、2期生はすでに堂々としていて、すごく元気だなと感じました。グループの雰囲気も2期生が入ったことで少し変わって、漢字欅とは全然違ったものになったし。
ーー現在、坂道合同オーディションの最中ですが、漢字欅も新メンバーが加わることで空気感が変わるかもしれませんね。
菅井:どんな子が入ってきてくれるのか、全然想像できないんですけど……若い子が入ってきてくれたら、また活気づくのかな。3年近くずっとこのメンバーで活動してきたので、これからは変化することも必要かもしれないけど、今はまだその変化をちょっと怖く感じることもあって。でも、良い方向に進んでくれるのなら、グループの今後のためなのかなとも思いますし。いろんなメンバーの意見を聞くと、そこに対してちょっと複雑に感じている子もいるので。
ーーそう考えると、8月の全国ツアーが今のメンバーでライブをする最後のチャンスになるかもしれませんね。
菅井:そういう意味ではこの3年の集大成というか、今までやってきたことをすべて、ツアーにぶつけていきたいなと思っています。
歌詞を読んで平手ちゃんと欅の関係性が思い浮かんだ
ーーちょうどオーディション最終審査の直前に、ニューシングル『アンビバレント』が発売になります。この曲は『欅共和国』最終日のダブルアンコールで、初披露されました。
菅井:選抜発表もまだしていない状態だったので、お客さんからどういうリアクションが来るかドキドキもあったんですけど、初披露することに対してはワクワクしていて。初めてお客さんの前でパフォーマンスしたことで、ライブで盛り上がっていただける曲だなって気づけました。
ーー本当にライブ映えする楽曲だなと思いますよ。サウンドのカッコよさはもちろんですが、歌詞もすごく“らしい”内容ですし。菅井さんは最初にこの曲をいただいたとき、どう感じましたか?
菅井:歌詞を読んで最初に、平手ちゃんと欅の関係性がまず思い浮かんで。と同時に、どんな人にも当てはまる内容だなとも思いました。どんなにみんなと一緒にいる時間が楽しくても孤独でいたいときもあるし、ひとりでいたいと思っていても人恋しくなっちゃうこともあるし。自分自身にもそういうときがあるので、みんなと一緒にいるのに心のどこかで孤独を感じたりとか、そういうどっちつかずな気持ちはきっと皆さんにも共感してもらえるんじゃないかな。MVでも社会の中のしがらみが表現されているので、この単純じゃない歌詞も含めてすごく欅っぽいなと思いました。
ーー前作「ガラスを割れ!」もそうですが、欅坂46の歌詞には自分自身の内面と対峙して、そこから外に広げていく、メッセージ性の強い歌詞が多いですよね。
菅井:確かにそうかもしれませんね。でも、この「アンビバレント」は自分と向き合いつつも曲調はちょっと明るくて、今までのダークさとはまた違っていて。そういう意味では、ネガティブな気持ちを吹き飛ばせる曲でもあるのかなと思います。
MVとダンスで表現された“二律背反”
ーーMVは特に、途中途中に入る皆さんの笑顔がすごく印象的でした。
菅井:間奏の部分で、TAKAHIRO先生から「野生のゴリラになれ」って言われて、実際にゴリラみたいに踊ったのが楽しかったです(笑)。全体的にダンスは激しいんですけど、その激しい中にもちょっと主人公が大人になったからか、少しだけ女性らしい振り付けも含まれていて、そこは新しい一面かもしれません。
ーーそういう部分が、このシンプルな衣装にも反映されているんでしょうか?
菅井:そうですね。一応ズボンなんですけど、裾を持ってヒラヒラしたりとか。飾りのない衣装は、アイドルっぽくないかもしれないけど、すごく気に入っています。
ーーMVのオープニングでは皆さんが重なり合ってひとつになっていますが、あれはみんなでひとつの生命を表現しているそうですね?
菅井:はい。「みんなで重なり合ってひとつの生命体になって、一人ひとりが皮膚であり心臓である血管なんだよ」と言われて。そこから平手ちゃんは、その生命体の温もりから離れていくんですけど、でも途中で立ち止まって迷って、また最後は戻ってこようとする。そこに“アンビバレント”が表現されているなと思いました。
ーーなるほど。歌詞の世界観があの動きにすべて集約されていると。振り付けといえば、先日の『欅共和国』で披露したものと、MVの中とでは若干異なりますよね。
菅井:『欅共和国』で披露したバージョンでは、平手ちゃんがメンバー一人ひとりに触れていく振り付けがあって。ちょっと暗い気持ちで歩いていたメンバーに平手ちゃんが触れることで、すごく明るくなるんです。舞台の上で半分がすごく明るくて、半分がすごく暗い、その感情の変化もダンスで表現されていて、それが歌詞にある“二律背反”を表しているんです。あとは、アクロバットもみんな練習していて、それはまだ披露できるかわからないんですけど、いつかお見せできたらいいな。きっと「アンビバレント」のパフォーマンスは観るたびに違うものになっていくんじゃないかと思います。