連載「Signal to Real Noise」第一回:Attractions

福岡から世界へ、Attractionsが考える“アジアで通用するということ”

バンドの多種多様なルーツ

ーーAttractionsというバンド名はどこから?

TAKE:日本語でいうアトラクション、「人を惹きつける」「楽しませる」という意味が気に入ってつけました。(エルヴィス・)コステロは関係ないです(笑)。

ーー関係ないんですか(笑)。ある程度以上の年齢の人は皆Elvis Costello & the Attractionsを思い起こすと思うんです。福岡にはそこらへんにうるさい先輩が一杯いるんじゃないですか(笑)。

TAKE:はい(笑)。最初のうちは結構突っ込まれましたね。「ジ・」はついてないんで、とずっと言ってます(笑)。

ーー福岡とか博多はサンハウスの昔から、面々と受け継がれているロックの伝統ってあるじゃないですか。そういうのに関わりはあるんですか。

TAKE:あまりないですね。めんたいロックはかなり上の世代ですし、博多にめんたいロックが未だに根付いているかっていうと、そういうわけではないですし、自分たちもそこに属してる感じはないです。

ーー福岡のロックの伝統の末裔であるというような、そんな自覚はありますか。

TARO:めんたいロックって、サウンド的にはUKロックのイメージがあるじゃないですか。自分は高校の時からKieth Flackっていうクラブでよく遊んでたんですけど、その時やってた『ブリティッシュ・パヴィリオン』っていうUKロック系のイベントには仲間がいっぱいいたし、そこで自分もDJをやってたりしてたんです。UK好きってところでメジャーなものもマイナーなものも幅広く吸収してたところだと思うんです、福岡って。そういう意味での自覚はあります。

TAKE:僕はめんたいロックを好きで聴いてたのでリスペクトはありますし、前のバンドからずっとお世話になってるエンジニアがそういう世代の人なので、繋がりは感じてますし、尊敬の念も持ってますね。

JUN(Ba)

ーーめんたいロックまで遡らなくても、NUMBER GIRLとかMO'SOME TONEBENDERとか……。

Massiveefect:あとPANICSMILEとか。あの時代において新しい音を出していて、福岡でいうとその世代の人たちが、めんたいロックからの流れを分けたと思うんです。今はそっちの方が根付いてますね。あの人たちが出てきたから、自分たちもできるじゃないかと勇気づけられたし。かっこいいものは年に関係なくかっこいいと言えるような、いい環境にはなってますね。

ーーTAROさんの髪型とかルックスとかステージ上の振る舞いとか、ちょっと昔のルースターズっぽいと思いました。

TARO:ああ、それは嬉しいですねえ。そういうロカビリーっぽい先輩とかハードコアの先輩とか、背中を見てきた先輩たちの、立ち居振る舞いだったり、髪型だったり雰囲気だったりを自分のものにしたいと思ってますね。

ーーなるほど。さっきも言ったように、音源ではすごく洗練された今どきのシティポップぽい感じがありつつ、ライブでは熱いロックっぽさも感じます。そのへんは意識してますか?

TARO:自分としては抑え気味に、クールにいこうかと思ってたんです。前のバンドではガツンと行ってたから。でも今年に入ってから、やっぱりちげえなと思うようになって。オレ、パンクを忘れてるなと思って。

ーーいいですね!

TARO:熱くなりました。フフフ。

ーーパンクはどのへんを?

TARO:うちの母親がめちゃくちゃThe Clashが好きで。自分はRamonesとかGreen Dayが好きだったりするんです。でもどっちかというとルーツはUKロックかな。The Beatlesとか。

ーーお母さまが好きで、子供の頃からそういうレコードが家で流れていた。

TARO:流れてましたね。

ーーお母さまはおいくつなんですか?

TARO:52、3かな。自分は28です。

ーーなるほど。みなさんルーツはバラバラなんですか?

TAKE:みんなバラバラですね。自分がロックを好きになったのはTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTとか、BLANKEY JET CITYなど日本のロックですね。そこからNirvanaとか洋楽に入って、雑食でいろんなものを漁るようになったんです。

AKIRA:僕は中学校の時にMTVで見たRadioheadですね。音楽がどうのっていうより、今まで接したことのない世界に圧倒されたというか。

ーーそれまで自分が持っていた音楽に対する概念を打ち壊された、みたいな。

AKIRA:ああ、そうですね! そんな感じです。そこから洋楽とかにアンテナが立ち始めたという。

JUN:中学生の時に家にThe Beatlesのレコードがあって、興味を持ったんです。洋楽ってものを聞きたいと思って『クロスビート』のような音楽誌で表紙を飾っているような、OasisとかNirvanaみたいな音楽を聴き始めた。そのへんが元々のルーツですね。Beastie BoysとかディアンジェロとかヒップホップやR&Bっぽいものも聴くし、The Stone RosesとかThe SmithsみたいなUKロックも聴いてます。

Massiveefect:自分のルーツはもう、親の影響で60〜70年代のロックですね。『ウッドストック』のDVDでジミヘンの映像を見て、すげえなと。それでギターを始めたりして。当時だとThe killsとかThe White Stripesみたいなリバイバルぽいものが好きで。Led Zeppelinとかニール・ヤングとかボブ・ディランとか聴いてました。

ーー楽曲はどうやって作ることが多いんですか?

TAKE:楽曲はだいたい自分が持ってきます。基本はLogicというソフトで作って、編曲をみんなでやって。どういう曲にしたいかわかるぐらいの感じで持っていって、細かいところは各パートの人たちが考えたほうがいいと思うので、イメージが伝わるように。

ーーギターを持ってかき鳴らして鼻歌で作っていくような、シンガーソングライター的なやり方は?

TAKE:入りはいろいろあります。頭の中でビートが鳴って、そこから作っていく場合もあれば、鼻歌から作るパターンもあって、それを形にしていきますね。

TARO:最初はコピーすることから始めて、少しずつ変えていくんです。たまに(デモに)歌のフレーズがないときがあるんですけど、その時は自分が気持ちいいように歌って、それがハマって最終的に歌メロになったりとか、そういうこともあります。

ーーなるほど、じゃあ演奏のアレンジと歌メロはほぼ同時進行で作っていくと。それを最終的にまとめ上げるのがTAKEさんというわけですか。

TAKE:そうですね。今の段階ではいろいろ試行錯誤しつつ、どんどん曲を量産していくという段階ですね。一旦完成してもやりながらどんどん変えていく。

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