木村拓哉、23年半に渡り旅を続けてきた思い出の船 レギュラーラジオ番組『ワッツ』終了に寄せて

 振り返れば、SMAPの解散報道が流れた2016年1月に、木村が真っ先にコメントを寄せたのも、この『ワッツ』だった。「いつか自分の言葉で話せるときが来たら話したい」と言っていた2016年1月15日放送回には、Coldplayの「Adventure Of A Lifetime」が流れた。この曲が、今回の最終回報告でも選曲されたのは、単なる偶然とは思えない。すべてを話せるときは、まだ先になりそうだ。人生は予測不可能で、完璧なシナリオ通りにいかない冒険なのだから。それでも、キャプテンがクルーに「信じて、ついてきてほしい」というメッセージを伝えたくて、この曲を流したのかもしれない。その想いに応えるためにも7月27日の最終回は、『ワッツ』という船に感謝して、ゴージャスなエンディングを迎えようではないか。

 「航海を終わらせるわけではありませんので。次の旅へ出るための船に乗ろうじゃないかと決めました」。8月からは毎週日曜11時30分からの25分間と、時間を改めて“再出港”するという。新しい船の名前は『FLOW』(TOKYO FM)。“漂う”という意味を持つ、この新しい船の名前に込めたのは、自然体な時間だという。昼の番組になることで、下ネタがどの程度ケアされるのかは気になるところだが、きっと木村のこと、アツい言葉、そしてラジオならではの遊び心を発揮してくれるに違いない。もちろん、選曲も風通し良くお願いしたいところだ。また、「ゲストをお迎えして一緒に時間を過ごしてもいいかな」「たまにはリスナー呼んじゃってもいいんじゃないの?」と話しているように、さらにオープンな雰囲気になりそうな予感がする『FLOW』。そのゲストに、いつか懐かしいメンバーが……そんな夢をそっと胸に秘めるのも自由だろう。地図の代わりに、天空の中心で輝く星を見つめるように。きっとそれがクルーであるファンにとって、長く先の見えない航海を続けるエネルギーになるはずだから。

(文=佐藤結衣)

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