吉田豪、ライムスター宇多丸も絶賛 『ゴッドタン』出演など注目集まる眉村ちあきの“真髄”に迫る
弾き語りトラックメイカーアイドル・眉村ちあきが、現在多方面から注目を集めている。天才的とも称されるハイクオリティな楽曲群と、天真爛漫で放っておけない個性的なキャラクターでファンが急増。吉田豪も「間違えなければ売れるタイプ」と、激推しだ。
人気に火が着いたのは、6月9日放送の『ゴッドタン』(テレビ東京)への出演がきっかけだろう。どんなに下品な言葉でも即興で曲を作れるという眉村に対し、おぎやはぎのやはぎが「ゲロ」をお題にすると、彼女はギターを弾き始め、<ゲロ それはあなたが今日の1日の頑張った証>と、その人の生き様を肯定する歌に落とし込んだ。即興とは思えないクオリティの高さに、周囲は驚愕。おぎにも「すごい才能だな!」と言わしめた。さらに、7月2日には、宇多丸がMCを務めるラジオ『アフター6ジャンクション』(TBSラジオ)にも出演。終始テンションが高い彼女のキャラクターに宇多丸は少々警戒気味であったが、歌を聴いてみると「半端じゃないっすよ!」と驚きを隠せない様子。さらに、さっき作ったばかりだという「ピッコロ虫」を披露すると、宇多丸は「いやー『ピッコロ虫』、最高」と興奮気味で絶賛した。
彼女の楽曲制作のセンスは、群を抜いている。喋っているときの彼女からは想像ができないほど冷たい感触の密室的なトラック、昭和歌謡のようなメロディ、少女の孤独が描かれたようなエモーショナルな歌詞……唯一無二の楽曲からは、一聴しただけでその才能が伺えるはずだ。しかも、前作『海苔汁』からわずか2カ月ほどでアルバム『Germanium』をリリースするなど、クオリティを維持したまま驚異的なペースでアルバムを制作。そんなスピード感からも彼女の非凡さがわかる。
そして、何よりもすごいのはその歌唱。特に彼女の裏声は最大の魅力だ。幾つもの裏声を使い分け、微妙な感情の起伏を表現している。息を吐くような柔らかさがあったり、芯のある力強さを感じさせるときもあれば、絞り出すように苦しげに発しているときもある。人の心の機微や、その意志の強さが感じられる表現力豊かな彼女の歌声は、誰が聴いても琴線に触れるものがあるはず。
彼女の歌は、大衆というよりも、たった一人の誰かに向かって歌いかけているかのようだ。だからこそ、聴いていると”自分のための歌”のように思えてくる。個性的なキャラクターや独特のパフォーマンスに焦点が当てられることが多い彼女だが、この歌こそファンを惹きつける最大の理由なのではないだろうか。
8月4日には初の新宿LOFTワンマンライブ、さらに7月には新曲「ピッコロ虫」配信開始と、止まることなく飛躍し続ける眉村ちあき。今後、彼女はアイドルというジャンルをさらに拡大させ、JPOPシーンにも衝撃を与えていくことだろう。
(文=北村奈都樹)