SHINee、『The Story Of Light』で示した“今まで”と“これから” 音楽的視点で3作を考察
EP.3は「ファンへ贈る1枚」に
シリーズ最後のEP.3 は先の2枚に比べてスロー&ミドルテンポな落ち着いたナンバーで構成されており、メンバーの歌声そのものをより堪能できる。タイトル曲「Our Page」の歌詞も直接的であり、ファンソングに近い。「ファンから見たSHINee」というコンセプトの通り、アレンジや楽曲コンセプトそのものに新奇性や斬新さを求めるというよりは、装飾が少なく、「メンバーの素の持ち味」など変わらないものにスポットが当たっている。離れていく愛をしっとりと歌い上げた「I Say」の余韻のうちに明るく始まるアップビートな「Lock You Down」にジョンヒョンの歌声が入っているサプライズも含め、「ファンへ贈る1枚」というコンセプトが明確だ。
1〜3までを通して聴くと、今までのアルバムと比べてユニゾンやコーラスの割合が増えたように感じられる。韓国のアイドルソングは日本のグループの楽曲と比べるとユニゾンが少ない傾向があり、特にSHINeeのようなダンスパフォーマンスがメインとなるグループは、曲中でユニゾンやコーラスを取り入れることは少ないようだ。SHINeeは「Alarm Clock」や「Love‘s Way」のように、R&Bスタイルの曲でフレーズ的にユニゾンを使うことはあるが、今回のアルバムではそれ以外のジャンルの曲でもコーラスパートが多い印象だ。
特に「I Want You」は、サビの部分をまるごとユニゾンコーラスでまとめている。これはむしろ、日本での活動曲「Fire」や「Your Number」などに近い処理のようにも感じられる。「Good Evening」の振り付けを菅原小春(テミンの日本活動での振り付けを担当)に依頼したように、今までの日本活動で得たエッセンスがサウンド面にも取り入れられているようだ。『The Story Of Light』は、“今までのSHINee”と“これからのSHINee”をまさにストーリー仕立てで順番に見せたシリーズと言えるのではないだろうか。
■DJ泡沫
ただの音楽好き。リアルDJではない。2014年から韓国の音楽やカルチャー関係の記事を紹介するブログを細々とやっています。
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