BRADIO、藤井丈司と組んで再確認した“バンドの強み” 「武器はファルセットとグルーヴ」

BRADIO×藤井丈司対談

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「“今ならできるんじゃない?”というスイッチが入った」(大山)

――それから続けて、2ndシングル「きらめきDancin’」の制作に突入すると。

藤井:12月までどの曲を2ndシングルにするか悩んでて(編集部注:シングル『きらめきDancin’』は今年4月発売)、「きらめきDancin’」で行こうと決めて。でも、年が明けたらドラマーが脱退することになって、どうするの? という状況でした。スタジオミュージシャンでも呼ぼうかって言ったら、「やってみたい人がいるんです」って、メンバーが連れてきたのがヤスくん(現在のサポートドラマー)だった。こんなこと言ったら悪いけど、ダメで元々というか、まずメンバーがレコメンドする人とやってみて、ダメだったら違う人を呼ぼうと思ってたんですね。でもヤスくんと初めて会った瞬間、「よろしくお願いします」と言った時の目を見て、これはすげえなと思った。わかるじゃないですか、雰囲気で。これは叩けるなと思って、叩いたら本当にすごいし、よく聞いてみたらニューヨークで何年間か修業したとか、すごい奴が来たなと思った時に、神様はBRADIOを見捨ててないんだと思いましたね。

大山:レコーディングの直前に我々がバタついちゃったので、申し訳ないなと思っていた時に藤井さんが電話をくれたんですけど、すごい明るい声で「あー大丈夫、大船に乗ったつもりでスタジオに来いよ!」とか言って(笑)。大きい人だなと思いましたね。あれは本当にありがたかった。

――結果的に、そこでピンチがチャンスに一気に逆転する。

大山:年明けって、今年も新たな気持ちで頑張りましょうみたいな気持ちになるじゃないですか。そういう空気の中でみんな無理やり「よっしゃー! やってまえ!」みたいなレコーディングになったんですよ(笑)。パーカッションで来てくれた朝倉(真司)さんも面白い方で、場がすごく明るくて、今までにないほどポジティブな空気感がありました。

大山聡一

藤井:音が出た瞬間に「イケてる!」と思ったよね。

酒井亮輔(以下、酒井):すごかったですね。

大山:そこから一気にアルバムへシフトしていきました。

――その時点で、アルバムの曲は揃っていたんですか。

大山:ネタはいっぱいあって、「きらめきDancin’」を録ったあと、アルバムのレコーディングが始まるまでの2カ月の間に詰めていった感じです。構想はあったけど、まったく音になってなくて。それこそ「きらめきDancin’」のレコーディングをきっかけに「できるんじゃね?」みたいな空気になって、スタジオで考えていった感じですね。

藤井:突然良くなるんだよね。「Funky Kitchen」や「Feel All Right」みたいな、デモの段階ではゴリゴリのファンクな曲が、あれほど都会的な曲になるとは最初は想像できなかった。「Funky Kitchen」を作るのに3年かかったってあとから聞いたけど。

大山:3年間ずっとやってたわけじゃないですけどね。この手のことをやりたいと思ったのは3年前ぐらいで、その時はできなかったんですよ。だから今回のアルバムに入ってる曲は「今ならできるんじゃない?」というスイッチが入った曲ばかりというか。

藤井:できた時はびっくりした。普通のバンドにはできないですよ。ワンコードのファンクな曲をここまで仕上げるには、相当勉強しないとできないことだし、3年かかったと聞いて「なるほど」と納得しました。

――リード曲の「Boom!Boom! ヘブン」は新規で登場して、一気にリード曲に駆け上がったわけですか。

大山:アルバムのキャッチになるような曲を作ろうということで、追加で作っていった曲ですね。

――「Boom!Boom! ヘブン」は最高です。そこはかとない、リッキー・マーティン感がたまらない。

藤井:夏だ! ラテンだ! という感じ。

大山:ホットな曲になりましたね。

藤井:間奏、良かったよね。ミュージックビデオを見て初めて「ああ、こうなるんだ」と思った。

大山:そのタイミングですか(笑)。

BRADIO-Boom!Boom!ヘブン(OFFICIAL VIDEO)

――あの、いきなりテンポアップするところですか。

藤井:そう、「ここでジャケット着るんだ、なるほどね」って。僕は反対してたんですよ。ダンスミュージックで、途中でテンポ変えるのはありなのか? って文句を言ってたんだけど、ミュージックビデオを見てやっとわかった。先に言ってよ(笑)。

大山:(笑)。遊び心で構成を作っていくので、無責任なんですよね。駄目なら藤井さんが「これはない」と言ってくれるし、自由な発想でアイデアを出しただけです。

藤井:そんなこと言って、ものすごく計算してるんですよ。「ここでジャケットを着て踊りだすから、テンポを変えたんだ」っていうことがあとでわかる。

――「BRADIO、こういうのやるんだ」と思って個人的にうれしかったのは、「Sparkling Night」ですね。このジャジーな感じ、めちゃくちゃハマってる。

藤井:「Sparkling Night」は特にベースがいいよね。

酒井亮輔

――あれウッドベースですか。

酒井:エレキのフレットレスに、ピエゾ・ピックアップをつけてウッドっぽくしてます。この曲はドラムがジャズだったので、ベースもそれに寄せて、結果的に歌謡曲っぽくなれたというか。

藤井:そういう楽器へのこだわりはみんなすごくて、特にこの二人(大山&酒井)は、どのアンプとどの楽器でどうやって録るか本当によくわかってるから、録音トラックがとんでもない数になっちゃって。普通は60トラックぐらいなんだけど、BRADIOは200トラックあって、一個の楽器にかけるトラック数が全然違う。200トラックって、コーラスの多いR&Bとかでは行くこともあるんだけど、それと同じぐらいだから「多いよ!」って。

大山:エンジニアさんにいつも怒られてる(笑)。でも怒ってるんですけど、エンジニアさんが一番好きっていう。文句言いながら、すごい数のマイクを立ててくれる。

酒井:そうそう。進んでやってくれる(笑)。

――共犯者ですね(笑)。

藤井:でも本当に、プレイヤーとして、ボーカリストとして、BRADIOの力量はすごいと思う。それはちょっと、ほかのバンドにはないんじゃないかな。

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