DÉ DÉ MOUSE×80KIDZが考える、クラウドファンディングとインディペンデント活動

「一見無謀なことにも挑戦できる」(DÉ DÉ MOUSE) 

ーー先ほど、アウトプットが一方通行でなくなるという話が上がりましたが、それってアーティストにとってはいい面と悪い面があるような気がしていて。例えば、クラウドファンディングで資金を調達して、作品なりライブなりを制作するにあたって、必要以上にファンのことを意識してしまうようこともあるんじゃないかなと。

JUN:人によってはそうなっちゃう人もいるんじゃないかなって思います。僕らの場合で言えば、もちろん気持ちの部分では常にファンの方のことを考えているけど、作品とかの内容には全く反映されないと思いますね。

ALI&:個人的には、ファンの方もそういう作品は望んでいないんじゃないかなって勝手に思っていて。違ったら「本当、すいません」という感じなんですが(笑)。

JUN:逆に、資金面の心配から開放されて、精神衛生がいい状態を保ったまま、制作ができるような気がします。

ーーなるほど。

DÉ DÉ MOUSE:でも、確かにファンの気持ちに応える形で作品を作るっていうアーティストは、これから増えるんじゃないかなとも思いますね。元々19世紀くらいまでは、作曲家やアーティストにはパトロンが大体いたわけで、それは悪いことではない。もし、そういう世の中になったとしたら自分はどうするか、ということは考えておかなければと思っています。

ーーちなみに、今回DÉ DÉ MOUSEさんはワンマンライブを映像作品、そして音源化するためのプロジェクトを立ち上げるそうですが、これはどういったアイデアで?

DÉ DÉ MOUSE:実は僕、個人的にライブを映像化することに対してはそこまで興味がなかったんです。ただ、スタッフがファンの目線に立って考えてくれて、「絶対に必要だ」って説得されました。でも、今ってアニメの円盤でもあまり売れない状況になってきているし、そもそも映像を制作するっていうのはすごくお金がかかることだから、そうなってくると、自然とクラウドファンディングを使用するっていう考えに至りましたね。時代的にもクラウドファンディングに対する理解がだいぶ進んできたと思っているので。

ーー今年、岡崎体育さんが新しいファンクラブシステムを発表し、大きな話題を呼ぶことになりました。あれも一種のクラウドファンディングに近い形かなと思ったのですが、お二組はどう感じましたか?

DÉ DÉ MOUSE:僕の個人的な印象としては、タイミングが悪かったんじゃないかなということと、それだけファンの裾野が広いんだなっていうことで。炎上騒ぎに関しても、愉快犯みたいな人もいたと思いますし。

ALI&:岡崎体育さんの一件は、僕も別に特段問題があるようには思わなかったですね。時代的に、本当に過敏になり過ぎているような気がしていて。

ーーでは、クラウドファンディングとインディペンデントなアーティストの関係性は、今後どの様になっていくと思いますか?

ALI&:極端な話をすると、将来的には全部クラウドファンディングでもいいんじゃないかなと思いますけどね。レコード会社から制作資金を出してもらって、作品を作って、その売上をアーティストサイドとレコード会社で分配するっていう形が、ファンの方からダイレクトに資金を募るっていう形に変わる。一見リスクがないように思えるかもしれないけど、そこでつまらない作品を作ってしまったら、次は資金が募らなくなるわけで。次の作品やライブにも期待させるように、常にアーティスト自身も気を張るようになると思いますし。

DÉ DÉ MOUSE:僕は割と受動的なスタンスなので、そうなったらそのフィールドで頑張るっていう感じですね。クラウドファンディングが活動の中心になるんだとしたら、それはそれで健全だと思います。ただ、僕は今後はもっと大きいことをするためにクラウドファンディングを使っていきたいなって思ってます。例えば「武道館でやります!」とか(笑)。

ALI&:80KIDZとしては、武道館も両国国技館もいいんですけど、何よりも今はフェスがやりたいなっていう話をしていて。

DÉ DÉ MOUSE:やっぱり自分たちでできないことっていう意味では、イベントとかの方に考えがいくよね。それこそフェスを開催して、同時に映像を撮ってもいいだろうし、もしかしたら生配信とかもできるかもしれない。もしくはドームツアーとか(笑)。そういう、一見無謀な挑戦もできるのが、クラウドファンディングのいいところだよね。だからもっと夢のある試みが増えていけばいいなと思います。

(取材・文=保坂隆純/撮影=竹内洋平)

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